BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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GPトライアル1st第1戦 ダイジェスト

連覇の覚悟

 

11R並び順

①山崎智也 07

⑥重成一人 11

③岡崎恭裕 12

②井口佳典 12

⑤太田和美 13

④篠崎仁志 12

 

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 待機行動は大波乱があっても不思議ではない複雑な隊形になった。引き金は岡崎のピットアウト遅れ(スタ展も怪しかったから、改善が必要だろう)。ぐるり大回りでコースを取り戻そうとしたところに、6号艇の重成が抵抗する形で2コースに陣取った。スローは横並びの163。これを尻目に井口が4カドを選択、その外ではいつの間にやら仁志と太田が入れ替わっている。163/254。今どき珍しい変則隊形で、しかも横並びのスロー勢だけがじわじわ深くなってゆく。ダッシュ勢のチャンス?

 

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 だが、今日の智也はGP連覇への心の準備がしっかりできていた。100mちょいの起こしから過不足のないタイミングで握り込み、おそらく全速でスリットを通過した。智也の本気はスタートでわかる。コンマ07。4カドの井口がダッシュ任せに仕掛けたが、完璧に踏み込んだ智也を脅かすには至らなかった。文句なしのイン逃げ。初日にして2ndへの当確ランプを点したのは、さすがさすがの前年度覇者だった。

 

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 バック中間で、すでに焦点は2着争いだ。自力で攻めた井口が抜け出し、マーク差しの太田、ブイ差しの仁志が追いすがる。足色が最も光っていたのは仁志で、ターンマークごとに差を詰めていく。井口が並の足なら逆転しそうな勢いだったが、井口の足もまたしっかりしていた。中堅上位~上位はありそうな足色で、仁志の追撃を振りきった。この2艇に後れをとった太田のパワーは、3者の中ではやや非力だったか。徐々に縦長になってゆく隊列を見ながら、「今節の台風の目は、仁志だ」と予感した。大敗した重成と岡崎は、1マーク手前で井口の猛攻を浴びて置き去りにされたため正味のパワーはわからない。ただ、ふたりとも勝負師寄りのファイターなので、明日はスリットから渾身の攻めを見せてくれるだろう。岡崎の場合は、ピット離れの悪さを克服できれば、だが。

 

サプライズの布石

 

12R 並び順

①平本真之 18

②池田浩二 19

③篠崎元志 17

④辻 栄蔵 17

⑥魚谷智之 14

⑤白井英治 13

 

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 11Rほどではないが、こちらもピットアウトで小波乱が起きた。白井が遅れて、コースを取り戻すことができずに最アウトへ。魚谷と入れ替わった以外は大勢に影響はなく、すんなり穏やかな123/465、3対3で12秒針が回りはじめた。スリットもほぼ1艇身の横一線。今日は直前(といっても本番の2レース前だが)に4本ものスタート特訓が行われたため、各選手のスタート勘が十二分に磨かれたかもしれない。おそらく明日以降も4本だと思うので、「スリット横一線になりやすい」と肝に銘じたほうがいい。メイチ勝負駆けでタッチまで攻める選手がいれば別だが。

 

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 ここは住之江、スリット横一線で外から仕掛ける選手がいないとなれば、インの平本が断然有利だ。平本のインモンキーに不備はなさそうに見えたが、やや握りすぎたか。2コースから差した池田の舳先がぐいぐい伸び、バック中間で平本を完全に捕えきった。さらにその内、2艇身後方から辻がぐいぐいぐい! ストレートの迫力では、池田を上回っていた。勢い辻が2マークを先取りし、池田が鋭角に差す。直線だけでなく、両者のサイドの掛かりもかなり良さそうだ。2艇が舳先を並べて突き進み、平本以下は完全に置き去りにされた。

 

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 2周1マーク、内側の利を生かして池田が先マイ、今度は辻が鋭い差しハンドルで追いすがる。舳先が届きそうな見事な差しではあったが、池田のレース足も素晴らしく僅差のリードを守りきった。ド迫力の攻防。そのはるか後方でも3着を巡って激しい鍔迫り合いが続いたが、前の2艇は一枚上のパワーレベルだった。今日の時点で言うなら、池田と辻のパワーが他を圧倒していた。どちらが上かは微妙で、直線後半は辻、ターンの出口は池田、その他は互角というのが私の勝手な見立てだ。辻の12号機はさほど注目していなかったのだが、間違いなく上位~抜群。最近の辻は恐ろしく噴かせるような気がする。

 

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 智也に続いて、2ndステージへの当確ランプを点した池田。上のステージでは怪物級のパワーが立ちはだかるだろうが、現時点の機力でもV候補のひとつと決めつけていい。

「3つ目を獲ったらサプライズがあります」

 今朝のインタビューで意味深なセリフを発した池田。我々がその得体の知れぬサプライズを目の当たりにする可能性は、低くはないと実感した。(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)