BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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宮島レディースオールスター準優ダイジェスト

地元のド根性、及ばず。

 

10R 並び順

①細川裕子(愛知) 20

②松本晶恵(群馬) 15

③川野芽唯(福岡) 19

⑤角ひとみ(広島) 22

④鈴木成美(静岡) 19

⑥櫻本あゆみ(東京)18

 

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 地元の角が大暴れ! そんなインパクトだけが強烈に残るレースだった。まずはスタート展示でインコース奪取。最近、あまりコースに頓着しない角だけに観衆は騒然となったが、本番は……。角の手の内を知ってしまった内3艇がガッチリ受け止めて1235/46。大波乱の予感は、この穏やかな並びで急速にしぼんだ。

 

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 12秒針が回ってスリットはきれいな横一線。細川が逃げて、松本が差して、川野がぶん回すというセオリー通りの展開だ。で、今日の細川もインコースから豪快に握り、松本の差しが鮮やかに突き刺さった。早々に2-1態勢が固まったところに、2艇身後ろの最内から角がじわりとにじり寄る。そのまま真っ直ぐに突き進んで2マークを先取り、自慢の回り足でマイシロのない分を補い、わずかながら先頭に立った。1艇身キッチリ出切ってしまえば、そのまま圧勝までありえただろう。松本の舳先が微かに残ってしまったのが、角にとって命とりになった。

 2周1マーク、外にやや開いた角は、松本・細川を回してからの差しハンドル。さすがに先行2艇のターンスピードが速く、再び2艇身のビハインドを強いられる。が、まだ諦めない。2周2マークも最内から突進気味に勝負して、細川の艇を大きくのけぞらせた。結局は角自身も失速して逆転の優出はならなかったが、随所に「地元の意地」が散りばめられた角のワンマンショー、そんな印象を残した。

 

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 1着・松本、2着・細川。

 最近の松本の安定感はどうだ。今日も過不足のない的確な差しハンドルで、楽々という感じでバック先頭に立った。細川の握りすぎ、を込みにしても「どこからでも自在に捌いて1・2着をもぎ取る」というイメージは今日も健在だった。パワーの見立ては「出足を中心に好バランスの仕上がり」で、スロー向きの足と言えるだろう。

 細川の足は、伸びを中心に上位レベル。伸びるのだから、もちろんダッシュ戦法にはなんの不満もないだろう。4カドの細川、相当に怖いぞ。

 

「2着」のハードル

 

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11R

①山川美由紀(香川) 13

②香川素子(滋賀) 16

③三浦永理(静岡) 12

④寺田千恵(岡山) 12

⑤堀之内紀代子(岡山)18

⑥水野望美(愛知) 20

 

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 望美、惜しかった! レースは枠なり3対3から、スリットで突出した選手はなし。こうなれば、百戦錬磨の山川が慌てず騒がず的確なインモンキーを繰り出す。その2艇身後方に香川・三浦が並んで「大本命コース」と思わせたものだが、10Rの角と同じように、最内から水野が急接近。前で競り合う2艇より先に、2マークをくるりと旋回してしまった。丸亀の実況さんが言うところの「好旋回」で一気に2着争いに浮上。2周バックでは香川を1艇身ちょい突き放して単独の2番手を取りきったが……2周2マーク、香川のイブシ銀の「切り返し気味に見せての小回りターン」が炸裂して再び体が入れ替わった。

 三浦とテラッチのパワーがかなり劣勢だったというのも大きいが、あわや2着=優出の見せ場を作った水野には諸手を上げて「あっぱれ!」を贈りたい。最後の逆転負けは経験則の差、大舞台でこういう接戦をしていれば、水野のスキルも大幅にレベルアップするはずだ。

 

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 1着・山川、2着・香川。

 山川のパワー評価は、初日から中堅上位あたりで変わっていない。悪い部分も見当たらない代わりに、突き抜けるような迫力も感じない。もちろんインからスタートをバチッと決めれば逃げきりもあるが、パワー相場が大きく変わる明日はどうか?

 香川の足はクルクル回れるターン回りを中心に、中堅上位~上位の間くらいか。F2でスタートに気を遣う身の上だけに、明日は大外から気楽に行けるのがプラス材料になるかも? ヒモ穴で要注意。

 

絶対エースが……

 

12R

①長嶋万記(静岡) 19

②今井美亜(福井) 20

③海野ゆかり(広島)15

④日高逸子(福岡) 18

⑤後藤美翼(東京) 21

⑥樋口由加里(岡山)24

 

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 宮島で「絶対エース」と呼ばれ続けた11号機が不覚を喫した。この鬼足とともに4節連続Vを狙った長嶋に引導を渡したのは、地元のエース海野。3コースのトップスタートから伸びなりに今井を絞めた海野は、迷うことなくインの長嶋まで攻め潰しに行った。安全策ならまくり差しもある状況だが、これが海野ゆかりという女。迷いのないツケマイは、地元のエース機と長嶋の野望を同時に引き波に嵌めた。

 が、ここからの11号機の追い上げが半端じゃない。2番手の今井にジリジリ詰め寄り、あっという間に勝負態勢に持ち込んだ。2周1マーク、今井は追いすがる長嶋に自慢の全速ターンを浴びせる。再びその差は2艇身に開くが、ジリジリジリジリ長嶋が差を詰めてゆく。最終ホームでは半艇身差まで追い詰めたが、それが雌雄を決するゴールだった。

 

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 1着・海野、2着・今井。

 海野のパワーはどれほどだったか、正直まだわからない。前検から「本来の54号機の動きじゃない」と軽視し、昨日あたりからやや見直したものの「11号機に比べればまだまだ」という思いがあった。今日もスタート全速勝負&気合のツケマイという印象があるのだが、最後のひと伸びで長嶋を呑み込んだあたり、54号機の底力も感じさせた。明日も同じ3号艇。今節の4勝はすべて「まくり」決着だからして、明日も同じコースから獰猛に攻める可能性は高い。11号機も20号機もいない優勝戦だけに、54号機のパワーを完全に引き出せば5度目のまくりが決まっても不思議ではない。

 

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 今井のパワーは、ターン回りを主武器とする中堅上位~上位レベル。今節、何度も道中で切れ味のいい全速ぶん回し~追い抜きを決めているから、乗り味もいいのだろう。結局、4600番台でファイナルに駒を進めたのは美亜ひとり。現状、この子のターンスピード&艇の安定感は若手の中では抜けており、明日は「このスピードを活かせる展開になるか」で着順が決まるだろう。去年の平和島バトルトーナメントで歴戦の猛者どもを一撃で切り裂いた、あの光景の再現も念頭に入れておきたい。(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)