GPシリーズ・準優ダイジェスト
連覇へ、そして今年こそっ!
8R
①新田雄史(三重)11
②丸岡正典(大阪)13
③齊藤 仁(東京)16
④中野次郎(東京)10
⑤佐藤 翼(埼玉)09
⑥秋山直之(群馬)15
1マークで秋山が転覆したため、実戦は1周のみ。4カドから覗いた中野が珍しく絞めまくりで同じ東京支部の齊藤、地元の丸岡を叩き潰したが、同じだけのスタートを張り込んでいたインの新田がその猛攻をギリギリ交わして逃げきった。GPシリーズ連覇へ、王手! 結果的に優勝戦の枠番は去年より厳しいものになったが、去年は惜しくも実現できなかった師弟のグランプリW制覇を目指して、明日も全力で“あのふたり”に襲い掛かることだろう。
惜しかったのは佐藤翼で、中野のまくりに連動してのマーク差し。バックでは届かず3番手だったが、2マークで素晴らしいスピードの全速握りマイをブッ放して2番手・中野に肉薄した。残念ながら中野の舳先を交わしきれず、そこで実戦は終わってしまった。今節の翼は道中でミスらしいミスのない的確なターンを連発、抜群のリズムだっただけに、その後の次郎との激闘も見守りたかった。残念!
新たなるスタート
9R 並び順
①石野貴之(大阪)09
②山田康二(佐賀)09
⑥木下翔太(大阪)11
③中田竜太(埼玉)18
④前田将太(福岡)13
⑤長田頼宗(東京)20
地元の木下がピット離れで飛び出し3コース奪取。並びは変則の126/345となったが、バナレでの変動だったためスロー勢はまったく深くならない。たっぷりの助走をとった大本命の石野がゼロ台の踏み込みで一気に逃げきった。
今年のグランプリも厳しいモーターを引き当ててしまい、前検から整備に明け暮れたであろう石野。常にGP優勝だけを目指す男からすれば、戦うべき舞台は理想のそれにはほど遠いだろう。が、このシリーズを優勝して、来年のいの一番SGの権利を獲得して、そこでしっかり大きな賞金を稼いで……と、来年のGP戦線はもう始まっている。地元の意地も含めて、明日の石野は「絶対に負けられない勝負駆け」の意気込みで臨むだろう。
2着も人気の山田康二。2コースから石野と同タイムで発進し、的確な差しハンドル。コースの差で石野は捕えきれなかったが、安定感抜群のターン&レース足で後続を寄せつけなかった。つい先日に地元のGIを制した勢いは、今節の道中にもしっかり反映されている。今日も石野を追撃する姿はなかなかに凛々しく、ターンマークごとに追い詰めた足色は石野以上に思えた。明日の4号艇でも、展開ひとつで突き抜けるチャンスはある。
強すぎて、イン!!
10R 並び順
①平尾崇典(岡山) 18
②濱野谷憲吾(東京)17
③池田浩二(愛知) 20
⑥湯川浩司(大阪) 23
④山崎智也(群馬) 17
⑤寺田 祥(山口) 18
うーーん、強い。湯川の前付けで起こしがやや深くなっても、5カドの智也がゴリゴリ絞めまくっても、イン平尾はお構いなしにぐんぐん伸び返し、1艇だけ何事もなかったように逃げきっていた。私が思い描いていた「平尾がうっかり2着でファイナル4カドvsイン石野」という構想は、荒唐無稽な絵空事でしかなかった。それくらい今節の平尾27号機は半端ない。「4カドからあの怪物パワーを」という夢は実現しそうにないが、節イチパワー平尾vs浪速の勝負師・石野の直接対決はそれなりに楽しみではある。
天晴れを贈りたいのは2着の湯川だ。5カドの智也にゴリゴリ攻められ玉突き状態になりながらフルスロットル。混戦から鮮やかに抜け出した気合とハンドルワークは実に見事だった。
逆に展開に泣かされたのが2コースの憲吾だ。玉突きで外の3艇が接触しながら押し寄せてしまっては1ミリのマイシロすら見当たらなかった。優出イコール来年の多摩川グラチャン当確。おそらく、この一事を念頭に置いて51キロまで絞り込んだ憲吾にも、労いの拍手を贈りたい。(text/畠山、photos/チャーリー池上)
トライアル最終戦ダイジェスト
『バトル・トライアル』
11R
①中島孝平(福井)16
②馬場貴也(滋賀)22
③井口佳典(三重)14
④白井英治(山口)09
⑤笠原 亮(静岡)20
⑥桐生順平(埼玉)18
これがトライアルだ。朝特訓から桐生が「ひとつでも内へ」と70m起こしなどの陽動作戦を展開したが、本番はすべての艇がブロック。ならばと桐生が艇を引いて、枠なり3対3に落ち着いた。内コース有利の隊形で12秒針が回ったが、4カド白井の勢いが凄まじい。さらに内のカド受け・井口も伸び返す。その内の馬場はさすがにこの舞台は家賃が高かったか、半艇身ほど凹んでいる。
1マーク手前、トップSの白井に小突かれるような形で井口が内2艇を絞めはじめた。素晴らしい伸び足! あっという間に2艇を叩き潰す。その攻めを催促した白井は、狙いすましたマーク差し。出口ではどちらの舳先が抜けているか、すぐには分からない。2艇が徐々に寄り添い、井口の優位が判明した。その差はちょうど1艇身。
2マーク、井口が内の利を生かして先マイし、白井は3番手の笠原を回してからの差し。普通は届かないとしたものだが、白井11号機は2本の引き波を軽々と超えて井口の艇を捕えた。
「よっしゃ、4-3だっ!!」
今日も白井アタマ決め撃ちの私は大声を張り上げた。明らかに半分ほど舳先がめり込んでいるように見えた。が、スリットラインを通過してからの井口の伸び足がまた半端ない。グングン伸びて白井の舳先をギリギリ振りほどき、2周1マークを先取りする。一方の白井は艇を開いて鋭角差し。これがまた届いたかと思いきや、そこから井口がスーッと伸びてぴったり1艇身だけ抜け出した。まさに死闘。
2周2マーク、井口が激辛の落としマイで白井の4度目の差しを封じ、やっと勝者が決まった。昨日は両者ともにありえないターンミスで大波乱を演出してしまったが、今日の一騎打ちバトルは心の底から酔いしれることができた。もちろん、白井アタマの舟券で美味しい酒を飲みたかったのも事実。だがしかし、今日の舟券は負けて悔いなし。井口のアタマを買わなかった自分の選手責任として納得できる。超一流レーサーの最高レベルの『バトル・トライアル』に乾杯!
で、あれだけ派手にやり合ったので、両者のパワーもそれなりに鑑定できた。予想した通りと言うか、白井11号機は全部の足が強いバランス型で一分の隙もない安定感を見せつけた。井口79号機はやや出足系統が劣る代わりにストレート足が上。その直線のパンチ力の差が、ふたりの明暗を分けたと思っている。明日はどちらの足が生きるレース展開になるか。「GP節イチ決定戦・第3戦」を楽しむとしよう。
3着は、道中でまたしても3番手の笠原を追い抜いた桐生。今節4度目の「追い上げ逆転」は流石の一語。この起死回生の逆転で333着とし、GP連覇に希望の光を残した桐生だったが……。
千両役者の「大見得」
12R
①菊地孝平(静岡)11
②毒島 誠(群馬)11
③吉川元浩(兵庫)09
④守田俊介(滋賀)16
⑤峰 竜太(佐賀)11
⑥岡崎恭裕(福岡)08
千両役者の華やかな舞いに、観衆の目は釘付けとなった。この大一番で、アレをやらかすとは……。そう、峰や茅原など、ごくごく限られた天才レーサーにしかできない離れ業、5コースからのツケマイまくり差し! 参った、参りました。
岡崎がピットアウトから動いたが、全員がブロックしての横一線の枠なりオールスロー。もちろん全員がほぼ同時にレバーを握ったわけだが、4コース守田がわずかに遅れた隙を峰は見逃さなかった。1マーク手前、内3艇の動向には目もくれず、ただひたすら俊介だけをターゲットに舳先を転換。4コースから正攻法の差しを目指していた俊介を、異次元のターンスピードで瞬く間に引き波にハメていた。斬られた俊介は、あまりの切れ味に痛みを感じなかったかも?(笑)
初動から5秒ほどで隊列のど真ん中を突き抜けた峰は、返す刀で逃げる菊地に斬りかかる。バチッと体当たりしながら舳先をねじ込む。2マークはキャビテーションで態勢を崩したが、必死に追いすがる菊地をなんとか振りほどいて独走態勢に持ち込んだ。このダイナミックにもほどがあるウルトラE難度の激勝で、終わってみれば得点トップ。明日の1号艇を手繰り寄せたのだから、まさに今日の12Rは峰竜太の峰竜太による峰竜太のための晴れ舞台だった。一瞬で辻斬りされた俊介には「相手が悪かった」と言うしかない(涙)。
さてさて、ここで終われないのがトライアル最終戦だ。11Rでファイナル当確を決めたのは井口、白井のふたりのみ。一人旅となった峰も当確となったが、残り3枚のチケットはこのレースの道中次第。2番手の菊地は、21点状態でまだ相手待ちでしかない。
で、峰のスーパーターンに目を奪われて視界に入らなかったが、実は6コースの岡崎も超スピーディーなブイ差し~2マークの高速ターンで3番手を取りきっていた(←リプレイ観戦。岡崎、すんません!)。そのまま安全圏に持ち込んだ岡崎は22点想定となり、ほぼほぼファイナル当確。
最後の2議席は熾烈な4番手争いを繰り広げる毒島と吉川、そしてその結果次第で当落が決まる菊地と桐生……予断を許さぬ4着争いは俊介も含めてもつれにもつれたが、4着・俊介、5着・毒島、6着・吉川という結果でやっとファイナル6戦士が確定した。生き残ったのは毒島と菊地、敗れ去ったのは吉川と桐生。今節、ドラマチックな道中の追い抜きでファンを魅了した桐生は、着順点の差で次点となりグランプリ連覇の夢は閉ざされた。
すべてのトライアルが終わってみれば、賞金ランク1~4位がしっかり優出。その分厚い牙城に、1st組から命からがら勝ち抜いた岡崎、菊地が挑むという構図か。うん「6号艇の菊地」はそれだけで波乱の匂いプンプンだし、大本命になるであろう峰の足は中堅上位(例によって、ターンスピードがアレ過ぎて実は鑑定不能)と私は勝手に思ってるし、まだまだ予断を許さぬファイナルバトルだ、とお伝えしておこう。(text/畠山、photos/チャーリー池上)