THE勝負駆け①予選トップ争い
余裕の?バトルロワイヤル
ここはイン受難の戸田水面。予選トップは他場より美味しくないと思っていたらば、黒須田からこんな情報を聞かされた。
「戸田の優勝戦って、去年の11月から1号艇が16連勝中なんですよっ! やっぱ戸田でも予選トップは絶好有利なんです」
なるほど。この情報を念頭に入れつつ、今日の実戦を振り返ろう。まず、昨日までの暫定トップ・白井英治と同3位・吉川元浩はともに11Rの1回走。つまり、ガチンコの直接対決だ。で、同2位・長田頼宗は6R・11Rの2回走。前半戦を勝ちきれば暫定1位で11Rの直接対決に合流できたのだが……6Rは2コースからのジカまくりを弾き飛ばされて6着大敗。トップ争いから2歩も3歩も遅れを取ってしまった。
11Rの3者のトップ条件はこうだ、
2号艇・白井英治…③着以内で自力トップ確定。④着以下でも相手次第で当確に。
4号艇・長田頼宗…自分①着&白井⑥着&吉川③着以下だった場合にトップ確定。
5号艇・吉川元浩…自分が①②着で白井が3着差以上で負けた場合にトップ確定。
つまりは白井が断然有利なのだが、直接対決だけに勝負は下駄を履くまでわからない。まずはピットアウトから吉川がするすると艇を進めて2コース奪取。白井はその吉川の背中を監視するように穏やかな3コースを選択。当人同士がどれだけ直接対決を意識していたのか分からないが、なかなかにスリリングな隊形が生まれた。
そして、1マークの攻防もかなりドラマチックだった。3コースから握った白井に対して2コース吉川も握って応戦。白井を弾きながらジカの強ツケマイを放つという“奇襲”を敢行したのだ。最近の吉川の2コースはジカまくりが多く(by新概念データ)、たまたま白井と呼吸が合った可能性は高い。が、勝手にトップ争いを意識しつつ観戦している側からすれば
「白井さん、アンタを張り倒して大敗させれば、俺がトップだっ!」
と啖呵を切るような張りまくりだったな(笑)。
で、この2艇が競っている間に、5カドからスピーディーなまくり差しを入れたのが長田だった。このまくり差しがアタマまで届けば、長田にも一縷のチャンスが生まれる。
「白井さん、吉川さん、俺はアタマまで突き抜けるから、アンタらは消波装置までぶん流れてくれ!!」
そんな長田の心の声が聞こえたのだが、勝手な妄想はほぼ2マークまで。態勢を立て直した白井が2マークの混戦を捌いて3、4番手に食い込み、そのまま予選トップの順位をガッチリと守りきった。昨日までの貯金を活かしきった4着=トップ通過と言えるだろう。1号艇が16連勝しているファイナルへ、明日から真性ホワイトシャークと化してひたすら逃げるのみ、だ。
THE勝負駆け②準優ボーダー争い
紙一重のバトルロワイヤル
準優ボーダー争いも熾烈を極めたが、最大のハイライトは12R。3人の選手が「1着条件」を懸けた直接対決となった。①峰竜太、④中田竜太、⑥中越博紀。いざ実戦、自力でケリを付けに行ったのは地元の中田だ。4カドからコンマ06、断トツのタイミングで一気に内を絞め潰しに行った。1着なら通過、2着以下はダメという分かりやすい状況だからして、一切の迷いを感じさせない猛攻だった。
が、まくられたら準優の目がなくなるインコース峰も黙ってはいない。明らかに劣勢な状況だったが、ターンマークよりも中田に飛びつく勢いで直進して見せた。まくる気満々だった中田は、峰の気迫に圧倒される形で差しに転換。このまくり→差しへのわずかな逡巡が、準優を遠ざけたと言っていいだろう。それにしても、中田ブロックの姿勢から急速にハンドルを傾け、結局はターンマークを1ミリも外さず鋭角に旋回してしまった峰の超高速インモンキーと言ったらもう! まだご覧になってない方は、是非リプレイで堪能してくださいな。中田と峰、W竜太のサバイバル対決は、本当に髪の毛一本のほどの僅差で峰リューに軍配が上がった。「これぞ1着勝負駆け」と呼ぶべき迫真の一騎打ちだったなぁ。
そこそこ大きなトピックは、遠藤エミが自身3度目のSG予選を突破したことか。エミと小野生奈に関してはもはや当たり前の事象という気もしないでもない。今日のエミは4R6号艇の1回走。すでに完走当確の身の上で、仮に①着ならば予選7・80!!という高得点をマークすることになる(結果論として7・80なら白井に次ぐ予選2位だった)。
が、いざ実戦は例によって甘くはなく、道中3、4番手あたりから揉まれに揉まれ5着で予選を終えた。SGの勝負駆けで目の色を変えて襲い掛かる猛者どもをどう捌ききるか、は女子選手にとって大きな課題のひとつではあるな。残念な5着ではあったが、堂々の予選13位通過。これまで2度の準優は5着に散っているエミが、5号艇からどれだけファイナルに近づけるか。または、その分厚い壁を突き抜けてしまうのか。日々刻刻の成長の成果を見せてもらうとしよう。
それからそれから、実に残念でならないのだがパワー&リズムともに絶好調だった濱野谷憲吾が、まさかの非常識なフライング(コンマ07)で即日帰郷に……レース直前に追い風が吹き始めたのが影響したのか。インからコンマ10まで突出した中谷朋子にうっかりお付き合いしてしまったのか。原因は分からないが、東都のエースが急にいなくなった戸田水面はやっぱ寂しいっす!(photos/シギー中尾、text/畠山)