BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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濃い優勝戦! 進入は!?

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 準優については、3着争いを演じた守田俊介と湯川浩司が軽口を飛ばし合ったり、山崎智也が負けたときによく見られる不貞腐れているような笑顔を見せていたり、太田和美が峰竜太にクレーム(?)をつけて二人で大笑いしていたりと、さまざまなシーンがあったのだが、ここでは進入に関する話で進めていきたい。普段の優勝戦以上に、さまざまな思惑があらわにされていたのだ。

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 まず10R、峰竜太が「逃げられてよかったぁ~。3割方は負け戦だと思ってた」と安堵の笑顔を爆発させた。何事かといえば、2コースの今垣光太郎の伸び足にやられてしまうだろうと半ば覚悟していたのだ。それくらい、今垣23号機のパワーは凄まじいということ。1マーク、今垣はまくれる態勢にも見えたが、「峰くんは反応が早いから、握ったら飛ばされてしまう」と差しに構えた。これが峰にとっては幸甚だった。

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 ただ、峰の不安はまだ消えない。もし11Rが順当な結果に終わったとしたら、峰が3号艇、今垣が4号艇なのだ。つまり、枠なりなら今垣のカドまくりの直撃を浴びる。峰いわく、この並びになれば「僕は散り役(笑)」。さらに、今垣はとりあえず回転を止めて伸び仕様というかまくり仕様にプロペラを叩いてみる、とも語っていた(もしあまり意味がないようなら元に戻すとも)。そして実際、11R発売中にはペラをかなり強く叩き始めていたのだ。
 となると、峰は「今垣さんの外が欲しい。今垣さん、3コース入ってくれないかなあ。3カドでいいですから、って(笑)」。今垣に3コースを譲って自分は4コースで今垣マークが理想、というわけだ。その後、ピットの奥のほうで二人は談笑していたから、そんな話をしていたかも!? まあ、首尾よく今垣に3コースを譲ったとしても、外枠がドカドカと入ってきて6コースになるような気もするけど(笑)。

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 ただ、峰は自分が2号艇になれば話は別、とも言った。「今垣さんがまくって、インが張って、小差しでピュッ」。なるほど、2コースならこの展開がありうる。そして、11Rの結果で峰は枠がひとつ内になるのである。1号艇の茅原悠紀が2着に敗れたのだ。峰の希望通りになった? いや、そうではない。茅原が2着なのだから優勝戦の枠は今垣より内、12Rが順当決着なら今垣は5号艇なのだ。こうなると、今垣には前付けの可能性が出てくる。実際、会見では5、6号艇なら動くかもしれないと表明しているのだ。そして、深めのスローから起こしたときにいちばん伸びる足、とも言っていた。まあ、そうなると今垣が始めたペラ調整も意味がなくなるのだが。このレース、勝ったのは中田竜太。12R順当なら、中田は優勝戦3号艇。もし前付けがあったときには「基本は主張したいけど、意味がないと思ったらやめるかも」と臨機応変を示唆。ただ、今垣の足を知っているだろうから、前付けを入れる可能性もある。そうなると峰も? おぉ、入れたら今垣をマークできるぞ。

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 ただ、話はそう簡単ではない。茅原悠紀だ。1号艇で敗れたこともあってか、やや不機嫌モードでピットに上がってきた茅原だが、足的にもどうにも不満だという。そうなると、例えば今垣が動けば入れてマーク、という手もあり、それをほのめかしたりもした。しかし、中途半端な調整はしたくないし、レースを面白くするためにも思い切った調整をしてみたい、とも。そこで飛び出したのが「チルト跳ね」だ。茅原は、甲子園の事前PRのYouTube動画に、菊地孝平とパチスロライターのういちさんと出演。そこで浜名湖のみが採用しているチルト2・5度の話などをしている。ここはそれを試して、レースを面白くする場面ではないのか。茅原自身「そのほうが面白くないですか?」と報道陣に同意を求めたように、やや迷いもあっただろうが、しかしどうやら決断したらしい! 12R発売中、茅原はプロぺラ調整室に入って、激しくハンマーを振るいだした。そこに菊地孝平もやってきて、並んで腰かけアドバイスを送る。実際にどうするかはまた明日乗ってみて、ということになるだろうが、ひとまずチルト跳ね仕様の調整を始めてはいるようだ。もし、それで臨むのなら、茅原は6コース発進の可能性も? 逆転満塁サヨナラホームランを狙っての大振りが充分にありそうだ。いや~、進入が面白くなってきたぞ。

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 12Rが終わって、さらにもう一発、スパイスが加わった。徳増秀樹が2着で、優勝戦は6号艇となったのだ。今年はクラシックとグラチャンで優出し、ともに6号艇。いずれも黙って6コース、のわけがなかった。もちろん明日も同様だろう。徳増ももちろん今垣マークは理想で、その外枠なのではあるが、地元戦でもあることだし、しかももし11Rも1号艇が勝っていた場合の「今垣4号艇」とは事情が異なってくる。そうそう、その時点では茅原の策については、徳増は知らなかったと思います。だから、やはりコースを動くことを徳増は示唆もしているのである。茅原のチルト跳ねを知ってまたどう考えるかは、今のところわからないけど(それは今垣も同様)。
 ともかく、2~6号艇がどう動くか、実に興味深くなってきた。それも皆が勝つためにはどうするか、そして同時に盛り上げるにはどうするかを考えて、枠なりとか枠主張にこだわらない姿勢を見せている。これぞボートレース! いや~、甲子園最高!

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 で、12Rを逃げ切って優勝戦1号艇を手にした桐生順平はもちろん、何があってもイン死守である。ここだけは鉄板だろう。桐生自身「100m起こしは普通だと思っている」と断言。すべての攻めを迎え撃つ構えだ。もちろん、65号機の仕上がりは良い。どんな並びになろうと、起こしがどこになろうと、ただただ先に回って押し切るだけである。
桐生の牙城は強力だが、同時に何が起こってもおかしくないと思える優勝戦メンバー。第1回甲子園優勝戦(本家にならうなら決勝戦)、最高に面白くなるのは間違いない!(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)