BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

セミファイナル終了!――ピットから

f:id:boatrace-g-report:20200112182413j:plain

 セミファイナル9R。まずは白石健がしっかりと逃げ切ってファイナル行きを決めた。地元から優出者が出ることが確定したわけだ(結果的に白石のみ)。出迎えた稲田浩二らに人のよさそうな笑顔を見せるシラケン。同期の香川素子も祝福していた。今日は2日目にして最終日前日、ということでボート洗浄がレース後に行なわれている。手の空いている選手がすべて参加するので、シラケンのボートを他地区の若手選手が洗っていたりもしていた。そうしたはるかに後輩の選手に対しても「ありがとうございました!」と最敬礼で頭を下げるシラケン。お人柄爆発のレース後なのであった。

f:id:boatrace-g-report:20200112182434j:plain

 金子龍介は3着で敗退。さすがに2連続6枠を嘆いた。慰めたのは菊地孝平。「6号艇6号艇でピンサンなら上出来じゃないっすか!」。確かに。選手班長の大役を担いながら、よく奮闘したと言っていいだろう。ま、そのあとに6号艇6号艇でピンピンが出現しちゃうんですけどね。

f:id:boatrace-g-report:20200112182454j:plain

 10R。福田宗平が4カドまくり一撃。栗城匠が笑わない男だと昨日書いたが、福田もまたこの快勝の後だというのに笑顔を見せず。ヤングダービー優出のときも、淡々としていた記憶がある。冷静なタイプなのか、腹が据わっているのか。GⅠ初出場で優出、SGクラスが多数参戦しているバトルトーナメントに初出場で優出。やはり大舞台に強い男なのか。今回は2号艇、4号艇での勝ち上がりだから価値も高い。明日も侮れないと見た。

f:id:boatrace-g-report:20200112182521j:plain

 11R。笑わない男が今日も逃げ切った! 栗城匠が連続1号艇をしっかりとモノにして優出。ニューヒーロー誕生の予感を漂わせた。そして、レース後は今日も笑わない。尼崎のカポック脱ぎ場は別棟の小屋のようなところで、6人がそこで感想戦を語り合ったりしながら装備をほどいていくのだが、そのなかでの栗城の表情やたたずまいは、勝者なのか敗者なのか、もっと言えばそのレースに本当に出場していたのかどうかわからないほどに淡々としたもの。118期のA2級ということで、まだ馴染みの薄いファンの方もいるかもしれないが、順調に出世していって大舞台に出ていったとき、この動じない雰囲気はきっと武器になる。明日の結果いかんに関わらず、ぜひ注目してほしい。

f:id:boatrace-g-report:20200112182539j:plain

 2着は興津藍。9Rの2着=新田雄史、10Rの2着=柳沢一はトーナメント3着だったが、興津はトーナメント2着だったため、新田と柳沢のファイナル行きがここで消えた。といっても、新田も柳沢も特に感情を表に出さないままエンジン吊りに登場。まあ、トーナメント3着組はセミファイナル2着でも不利な立場だから覚悟していたか。一方、興津はバトルトーナメント初出場ということで、そのあたりのルールを完全には把握していなかった様子。報道陣にその時点で自分にファイナル行きの権利が生じていることを聞いて、なるほどとうなずいていた。

f:id:boatrace-g-report:20200112182602j:plain

 12R。6号艇6号艇でピンピンは峰竜太だ! まったくもってスーパースター。今日は6コースからのまくり差し一閃だから、なお驚かされる。峰がバックで突き抜けた瞬間、ピットがざわついたのは言うまでもない。
 レース後はいつも通りに笑顔満開の峰だったが、しかし浮かれすぎの様子はなく、敗者と接するときには気遣うような素振りも見せていた。今日はもちろん1着を狙い、そしてその戦略がハマったそうだが、ただ本当に6号艇で連勝できる自信があったかといえばそうではなかっただろう。それをやってのけたことが峰に少々の敬虔な気持ちを生み出させたように見えたがどうか。

f:id:boatrace-g-report:20200112182824j:plain

 2着は瓜生正義。瓜生はトーナメント2着だったから、これで興津とのファイナル行き抽選が行なわれることが決定した。5カドからレースを作ったのは瓜生。それもあってか、悔いのなさそうな表情を見せていた。また、ファイナル行きの可能性が残ったことも把握していたかも。最低限の仕事は果たした、というところか。

f:id:boatrace-g-report:20200112182718j:plain

 さあ、ファイナルの枠番抽選! と、その前に。興津と瓜生のファイナル行きをめぐる抽選が行われている。方式はガラポンで、白、黒、赤、青、黄、緑の6つの玉を使い、白を出したほうが勝ち、というもの。この手の抽選は平和島、福岡、多摩川では封筒式、住之江で割り箸式で、ガラポンを使うのは今回が初めてだ。これがまた盛り上がった。それぞれ何が出たのかは視認することができなかったが、立会人の班長キンリューが「はい、ダメー!」と大声で喧伝するものだから、瓜生と興津がガラポンを回すたびにどよめきと笑いが起こった。

f:id:boatrace-g-report:20200112182852j:plain

 選出順位が上の瓜生が先行でスタート。瓜生「はいダメー!」興津「はいダメー!」瓜生「はいダメー!」興津「はいダメーーーっ!」ということで、ラスト1回に運命は託された。このへんでキンリューが「超おもしれーーっ!」とテンションマックスになっております(笑)。そして5回目、瓜生の順番でついに白が出た。その瞬間、瓜生は両手を合わせて興津に「ごめん」。興津はニッコリと瓜生に握手を求め、瓜生のファイナル行きが決定! これでファイナルの5号艇=瓜生、6号艇=徳増秀樹までが決まった。

f:id:boatrace-g-report:20200112182914j:plain

 つづいてセミファイナル1着組による1~4号艇の枠番抽選だ。こちらの抽選で用いられるのは昨年暮れのBBCトーナメントで大きな話題を呼んだ、スーパーあみだマシーン! それも4艇バージョン! BBCT以降、このバトルトーナメントでも使えるように改良を加えたらしい。司会の内田和男さんが手順を説明したわけだが、隣のシラケンと話し込んでいる峰に、内田さん「峰選手、聞いてますか?」峰「聞いてません」という爆笑やり取りがあったりしつつ、さあ行こう、枠番抽選。

f:id:boatrace-g-report:20200112182941j:plain

 手順は「枠番が伏せられたプレートを、峰、白石、福田、栗城の順で好きな箇所に貼る」→「伏せられた番号を同じ順で選び、そこに書かれていた番号の線があみだに追加される」→「やはり峰、白石、福田、栗城の順でヒュンヒュンヒュン!とあみだが進んで、辿り着いた箇所のプレートがめくられて枠番決定!」。トップバッターの峰は…………ダハハハー、4号艇! 枠番抽選を3回やって、3回とも抽選される枠の中でいちばん外枠(笑)。「また右端だーーっ!」と峰は天を仰いだ。その右端から連勝しているだけに、いろんな予感が生じてくるわけだが。

f:id:boatrace-g-report:20200112183007j:plain

 その後、白石=3号艇、福田=2号艇となって、ラストの栗城が1号艇。栗城は3連続1号艇だ! それでも淡々とした様子ではあったが、さすがに頬が緩み目尻が下がった瞬間もあった。抽選後に行なわれた記者会見では「優勝したい」と力強く宣言。外枠3艇がまさに濃すぎる面々だが、明日も動じずインから自分のレースができるか。この相手を破ってデビュー初優勝を果たすことができたら、それをステップボードにして一気にブレイクするかも!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)