BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

一鬼夜行

10Rルーキーズ準優
①仲谷颯仁(福岡)14
②吉田裕平(愛知)08
③川原祐明(香川)11
④村松修二(広島)11
⑤外崎 悟(埼玉)12
⑥眞鳥章太(長崎)08

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 大本命の仲谷が危なげなく逃げきった。今日の仲谷51号機の仕上がりは「鬼」の部類と言っていいだろう。スタートでやや後手を踏んだが、スリット後の伸び返しはゴキゲンの一語。1マークを先取りしてくるり回ると、差した吉田と握った川原を瞬時に2艇身ほど突き放していた。もちろん、ウィリーを織り交ぜた天性のターンスピードも圧勝の一因だとは思うが、前半の6コース突き抜け圧勝も込み込みで完璧すぎる仕上がりと言うしかない。勝ちタイムの1分49秒0も出色。この10Rまで50秒を切った選手は5Rの仲谷とこの仲谷だけだった(笑)。明日のファイナルはこのままの足をキープするだけでも、紅組にとっては計り知れない脅威となることだろう。さらにこれ以上の上積みがあったら、もうっ!

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 2着は2コースからすんなり差した吉田。ターン出口で仲谷に千切られたが、今日は相手が悪かったと言うしかない。パワーでは仲谷に分が悪いとしても、この若者には底知れぬハートの強さがある。F2持ちの身の上ながらゼロ台連発でヤングダービーを牽引した裕平にとって、今日のコンマ08は当たり前の踏み込みでしかない。センター枠の明日は、さらにこの怖いもの知らずのスタート力が破壊力を増すはずだ。それを踏まえて伸び型に特化する可能性もあるので、明日のスタート展示と展示タイムには目を光らせておいたほうがいいだろう。

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 3着は村松との接戦をギリギリ制した外崎。3日目あたりまでストレート足だけが光っていたが、今日は出足・回り足も上々でそれが村松を攻め落とす決め手となった。逆に言うと、危惧していたとおり村松の実戦足には余裕がなかった。今節は緒戦の前にセット交換というギャンブルに踏みきったあたり、前検はワースト級の感触だったはずだ。この整備でやや上向いたとは思うのだが、本体の底力のなさがシリーズ後半に露呈したに違いない。

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 私が◎に推した川原は1マークの握りマイから3番手に付けたが、2マークの差しが他艇と接触して万事休す。不利がなければ2着争いだった気はするが、今日のところは鬼の仲谷より見劣っていたと言わざるをえない。台風の目の眞鳥クンとともに、点増しの選抜戦でパワフルな猛攻を見せてもらいたい。

激闘の枠なり決着

11Rレディース準優
①平高奈菜(香川) 17
②櫻本あゆみ(東京)19
③長嶋万記(静岡) 11
④實森美祐(広島) 07
⑤西村美智子(香川)12
⑥寺田千恵(岡山) 12

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 着順だけを記せば123456の順当すぎる大本命決着。だが、ファイナル1号艇に直結する1・2着争いと、最後の切符を奪い合う3・4着争いはなかなかに熾烈を極めた。
 スリット隊形は波乱を予感させるものだった。シュッと覗いて行ったのは4カドの實森。唯一のゼロ台発進でそのまま「まくらんかな!」の勢いではあったが、今節の實森の弱点は伸びの部分。すぐにカド受け長嶋が伸び返して舳先を並べ、この時点で内寄り決着が約束されたと言っていいだろう。

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 で、激しい局地戦はここからだ。まんま行った行った行ったの123かと見ていたらば、櫻本の差しハンドルが平高の内フトコロに突き刺さった。いや、突き刺さったは言い過ぎで、出口からの150mの伸び足で櫻本がじわじわと舳先を捩じ込んで行った。初戦から直線の好脚を魅せてきた櫻本と、苦心の整備でなんとか上位レベルまで持ち上げた平高と、ここではやはり底力のある櫻本の伸び足が際立っていた。
 続く1周2マーク、平高は渾身の握りマイでぶん回したが、今や出足系統も充実している櫻本がさらに突き放す。どちらが勝ってもファイナル1号艇が約束されているこのバトルは、櫻本に軍配か上がった、かに見えた。

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 2周1マークだ。内で2艇身先を行く櫻本がややターンマークに寄るのが早すぎてハンドルを切り直した瞬間、大外まで開いていた平高の凄まじいリベンジ差しが突き刺さった。こちらは文字通り、ズッポリと! これはもう、パワー比較とは別次元の逆転劇だったと思う。わずかなターンミス(と呼ぶレベルでもないのだが)を容赦しなかった平高の激辛すぎる全速モンキー。もちろん、機力の上積みがあってこその逆転ではあったが、正味のパワー比較では櫻本が上だったと私は思っている。

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 で、その5艇身ほど後方では、實森vs長嶋が雌雄を分かつ3着争いを演じていた。優勢を築いていたのは實森だ。ちょうど1周前の1着争いと同じような位置取りで、實森が3周1マークを先取り。2艇身後方の長嶋が外に開いての差し。實森のターンに不備はなかったように見えた(モニター越しなので断言はできない)が、ここでもまた長嶋の舳先がしっかりと食い込んでいた。シリーズ前半からやや足色が落ちた實森と、じわじわ低調機を底上げした長嶋と、こちらの逆転劇はその微妙なパワー差が関与したと思うのだがどうだろう。

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 熾烈な局地戦の果てに生まれた123456の着順。この結果、ファイナルの奇数艇はすべてレディースの手に授けられた。地元のエース格・平高を筆頭に、3号艇はパワフルな櫻本、5号艇は百戦錬磨の長嶋。団体戦として最強の布陣が組み上がったと見ることもできる。平高はあれだけのデッドヒートを繰り返しながら、1分49秒9と仲谷×仲谷に次ぐ勝ち時計をマークした。明日もインから押しきるのみ。ただ、明日の2号艇はその鬼足も含めて、一度差されてしまえば二度と逆転のチャンスを与えない最強の敵。1ミリの予断も許さない1マークの攻防が見られそうだ。(text/畠山)