3R、1周2マークで倉持莉々が転覆し、これに平田さやかが乗り上げる形で転覆(五反田忍もエンスト)。ピットに悲鳴があがった。シリーズ優勝組で地元の長嶋万記は、すぐに医務室に走る。不安そうな表情だ。幸い、その直後に「選手異常なし」のアナウンス。ピットの緊張もほぐれている。
東京支部の2人の事故、さらに4Rにも東京支部が2人出走。転覆艇の引上げ等の作業には人手が足りなかった。それを選手たちも察したのか、支部も地区も世代も関係なく、多くの選手が転覆艇を待った。そのなかには、海野ゆかり、山川美由紀のシリーズ優勝戦1、2号艇の姿も(その隣にはテラッチ)。地区も違えば、平田と倉持にとってはかなりの先輩なのに、必要ならばヘルプしようという構えか。クライマックス優勝戦組の姿もちらほら。その時点で優出組は精力的に調整作業をしていたというのに、それを後回しにしても、事故選手とその関係者を気遣うのだ。
そう、女子戦のピットらしいというか、優出組も動き出しは早い。海野も山川もペラ調整を始めていたし、シリーズ組の他の3人、竹井奈美、渡邉優美、塩崎桐加もペラ室を出入りしていた。
今日は、序盤に出走があって、さらに二回乗りの選手の何人かはレース間隔が短い。たとえば1Rの勝浦真帆は、2走目が5R。中3レースしかない。ということで、引き上げてきてからはダッシュで次の準備に取り掛かる、という次第なのだが、そういうこともあってピットを走って移動している選手が多かった。いつも走ってる樋口由加里ももちろん走ってたし。そして、渡邉優美も走っていた。別に焦っているふうはなかったけれども、優出組も走る、のである。
クライマックス組は、ざっくり言うとほぼペラ調整。ようするに、シリーズ組もクライマックス組も、優出選手は早くからプロペラ室にこもっていたということだ。ひとり、平高奈菜は2R発売中にギアケース調整に取り掛かった。いずれにしても、調整スタートは早いが、大きな整備をしている選手はやはりいないわけである。平高はSGジャンパーを着用。優勝戦1号艇、とっておきの装備ということか? まあ今日は昨日よりもグッと気温が下がっており、一枚余計に上着を着ている選手もちらほらと見かける。平高も単に防寒でSGジャンパーを着ていた可能性もあるかも。もちろん、「気合のSGジャンパー」と見たほうがこちらもテンションは上がるわけだが。
ペラ調整組では、遠藤エミが試運転とペラの往復。ひとまず、水面にボートがあるクライマックス組は遠藤のみだった。もっとも、これが遠藤のルーティンでもあるわけだが。
大山千広は、川野芽唯がもろもろアドバイスしている模様。ペラをボートに装着しようと大山がペラ室を出たとき、川野が後を追うように出てきて、長めの会話を交わしていた。大山にとって、最大に心強い援軍と言えるだろう。
あとの3人、平山智加、小野生奈、そして守屋美穂は、序盤の時点ではマイペースと見えた。ヒリヒリするような緊張感も、今のところは見えなかった(平高も同様だった)。今年最後の大舞台。それぞれがいい状態で朝を迎えている。ここから、それぞれがそれぞれのかたちで気合を高めていくことだろう。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)