BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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涼しくも湿気ムシムシの初日前半ピットから

 よっしゃーっ! 我が信州のキラ星こと飯山泰が2R逃げ切りじゃーっ! スタート展示で馬場貴也が前付けの動きを見せたときには、うがーっ、深くなっちゃうーっ、と心配したものだが(飯山曰く「深くてももつと思っていた」)、本番は鹿島敏弘がバナレで後手を踏んだことで穏やかなイン戦に。あっさりと1マークでケリをつけるイン逃げであった。というわけで、いきなりの贔屓原稿です。
 飯山自身は、満面の笑顔を見せたものの、「この後! この後!」と明日以降の戦いに目を向けている。1号艇で逃げるのは必須として、問題は彼の言う通り、他の枠番でどうかということになるだろう。勝って気を緩めず次を見据える飯山なら、調整作業にも抜かることはないだろう。

 3Rでは小林泰が1号艇。長野-山梨の甲信ラインで連続逃げ切りか、と期待したわけなのだが、西村拓也に差されてしまった(などと書いているが、予想と舟券は当たった)。しかも、最後の最後で佐藤翼に逆転を許しての3着。これは悔しいイン戦となってしまった。ヘルメットを脱ぐや、すぐにネックウォーマー状のマスクで口元を覆ったため、表情自体は読み取れないが、それがむしろ悔恨を内に封じ込めようとしているようでもあった。山梨はお隣で肩入れしたくなるワタシとしては、明日からの巻き返しを願うわけである。

 差した西村は、小林に歩み寄って「ごめん!」とレース後の礼節儀式。1期違いということで心安い部分もあるのか、爽快に笑いかけていたのだった。もちろん、小林の心中を察してもいるだろうから、何度か頭を下げる場面も。西村のほうが先輩ではあるが、気遣いは忘れないのである。

 オープニングを制したのは、佐賀県代表の上野真之介だ。ちなみに、昨年のオープニングは岡山代表の茅原悠紀、一昨年は東京代表の永井彪也、その前の第1回は宮崎代表の池永太が開会式直後の一戦を制している。池永と永井はイン逃げ、茅原は2コース差し、上野は深谷知博のまくりに乗っての4コースまくり差しである。台風接近で開催も危ぶまれた初日、結局は無事開催となり、そして気温は26℃ほどと涼しい一日なのだが、湿度は93%もあって、だからレース後の選手はみな汗だく。上野も汗を光らせながら、丁寧に対戦相手に頭を下げるのであった。

 さてさて、初日から大きな整備をしていたのは、まずは最年少の中山将太。整備士さんに見守られながら、本体を割っていた。その合間にも、こちらに気づくと「おはようございます!」と元気いっぱいに挨拶をしてくるのだから、なんとも気持ちのいい若者だ。そういや、富山県も我が長野県に隣接している県のひとつなんだよな。応援するぞ。

 もうひとりが辻栄蔵だ。こちらは完全に本体をバラバラにして、かなりの大手術をしていた。シリンダケースを手にしていたから、交換があるかも(ピストンリング4、ピストン2も併せて交換するセット交換かもしれない)。これまた整備士さんたちが見守っていたのだが、もうひとり、西島義則も整備室内のベンチに腰かけて、じっと辻の様子を見守っているのだった。この大会においては広島代表と島根代表、背負うものにちょいとばかり違いはあるが、同じ広島支部。先輩としては、ドリームに参戦する後輩の様子が気がかりということだろうか。3R発売中には整備が終盤に差し掛かっていたようで、あっ、今まさに辻が試運転をしているぞ(5R発売中)。整備の内容は直前情報をご確認ください。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)