BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――モーターと精神

 マユとハナがセクシーでしょ
 by Hideki Tokumasu
 JLCのウィナーインタビューでの恒例“カメラサイン”に徳増秀樹が書いたヤツである。

 実際にどうかは皆様の評価に任せます(笑)。これ、もちろん同期の上平真二「髭と笑顔がステキでしょ」をもじったもの。あるいは、同期によるリレーである。ようするに、9Rを勝ってゴキゲンなのだ。明日以降、上平が勝ったらこれをやってくれるかも!? 75期生でSGやプレミアムGⅠ出場がありそうなのは林美憲、大澤普司あたりか。今後、この流れの継承をお願いします。

 徳増の気分が上がる一方で、1号艇で取りこぼした篠崎元志の表情は実に微妙だった。平静を装ってはいたけれども、いかにも不機嫌さが伝わってくる、そんな雰囲気。報道陣にコメントする間も、悔しそうな顔や苦笑いなど、いっさい見せることなく、だからこそそこに不満や不完全燃焼ぶりが浮き上がっていた。今日は篠崎仁志が転覆と、篠崎兄弟にとっては厄日のような日になってしまった……。

 同じ9Rで田口節子が大敗を喫して、レース後に茅原悠紀と長く話し込んでいた。田口の顔には痛恨がありありと浮かんでおり、茅原とは調整の失敗について話していたようだ。いわば、茅原との答え合わせというか。このグランプリウィナーとレースや調整について話せるのは実に大きなことだろう。さらに、田口がその後プロペラ調整を始めると、丸岡正典がすっと隣に座って、会話を交わし始めている。井口佳典にしろ田村隆信にしろ、銀河系軍団が身近にいて、SGで情報を交換したりアドバイスを求めたりできるのは、これまた大きい。明日以降、大穴一発が出ても驚けないぞ。

 そうそう、9Rには辻栄蔵が元気に出走した。3Rで今垣光太郎と接触して両者転覆(辻は選手責任かつ不良航法)。ふたりともレスキューから担架で運ばれていたからおおいに心配されたが、大腿骨捻挫で今垣は10R欠場となったもののしっかり歩いていたそうで、辻は無事にレースに登場。ひとまず今垣の一刻も早い快癒を願うとして、大事にはならなかったようなのは何より。そして辻はレース後にはペラ調整に取り掛かっており、明日も出走表に名前が載った。15点減点のうえに、完走したレースの着順はゴンロクと、予選突破は絶望的な状況ではあるが、明日も元気いっぱいに奮闘して穴を叩き出してほしいぞ。

 勝っても微妙な表情だったのは10Rの原田幸哉だ。先マイして押し切ったものの、2番手を走る坪井康晴に迫られるようなところがあったりして、どうにも心もとない道中。原田の65号機はもともと評判機だったのに新ペラ交換で気配ガタ落ちの代表選手みたいなところがあるわけで、勝ったとはいえそんな雰囲気が見える内容だったと言える。もちろん1号艇をしっかり活かせてホッとした部分はあっただろうが、決してスッキリ心が晴れるようなものではなかったということ。明日からはまだまだ調整に苦労が続くことになるだろうか。

 背後から「クロさん!」と声がかかったので振り返ってみると、西山貴浩。何かと思ったら「良うなりましたわ」と明るい声で言うのだった。前半記事で「お手上げ」と口走りながらも整備に取り掛かった話を書いたが、7Rはセット交換にキャリアボデー交換とまたまた大整備で登場。結果は6コースから4着だったが、特に直線足などに改善が見られ、戦える足になっている様子はたしかに見えていた。西山はその後キャブレターの調整を始めていたが、いよいよ外回りに手をつける余裕が生まれたということだろう。それにしても、勝った原田が微妙な雰囲気で、負けた西山が心が晴れた雰囲気というのも面白いところ。ようするに、モーターの仕上がりは選手たちの精神的な部分におおいに影響するということなのである。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)