BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――一刻も早い快癒を

 9Rで事故が出てしまった。1マークで2コースから差しハンドルを入れた今垣光太郎がターンマークに接触して転覆。最内を差そうとした定松勇樹が乗り上げて落水してしまった。今垣は妨害失格で賞典除外。ピットに戻ってくると、近畿勢が駆け寄り、心配そうに今垣の様子を覗き込む。今垣は右腕を気にはしていたものの、自力でレスキューから降り、医務室に向かっている。その後、着替えを終えると転覆整備にも向かっていて、身体のほうは問題なさそうだ(明日も出走表に載った)。

 その今垣に寄り添って医務室へと誘導していたのは田中信一郎だったが、田中はその途上、さらに心配そうにレスキューのほうを振り向いていた。定松の状態も心配していたのだろう。定松は、レース後のリリースによると右膝を打撲。レスキューからは担架で降ろされている。まさか昨日の訓練に続いて……。オールスターVで手にしたグラチャン出場権、その初日で無念の途中帰郷。オールスターの栄光から暗転してしまったわけだが、しかし定松にはまだまだ先がある。とにかく早い快癒を願うし、2カ月後のメモリアルでは元気な姿を見せてほしい。

 こうした事故は選手にとって他人事ではなく、誰もが心配そうに今垣や定松を見つめていた。対戦選手も同様。エンジン吊りが終わると、桑原悠と菊地孝平がレースを振り返り合ってわりと大きな声で会話を交わしていた。そこに上條暢嵩、片岡雅裕も加わり、4人での感想戦が繰り広げられている。

 その会話が一段落つくと、すぐに菊地の表情が変わって「2人は大丈夫?」と周囲の選手に尋ねたのだった。感想戦の最中も頭にひっかかっていたのだろう。特に菊地に関しては自分の後方で起こった事故なので、状況も把握できていなかっただろう。2周目に2人がレスキューに乗せられたのは見ただろうが、その前段階がわからなかったからなおさら、今垣と定松への心配が大きかったのだと思われる。水面では敵同士でも、文字通り選手“仲間”なのだ。お互いを労わりながら、ガチンコでぶつかり合う。それがボートレーサーというものだ。

 10Rは石野貴之が順当に逃げ切り。レース後の表情はさすがに柔らかで、吉川元浩との会話では思い切り目を細めるシーンがあった。

 2番手には5コースからまくり差した関浩哉が入った。4コースの山田康二を叩きながら、2コースの佐藤翼の内、ターンマーク際を入っていく見事なハンドルワーク。レース後、その関に声を掛けたのは、6コースから最内を差して3番手に浮上した峰竜太だ。峰は関をからかうように笑顔で語りかけ、そして最後に「ナイスまくり差し」と称えた。おそらくは峰も狙っていたコースだったのだろう。そこを見事に突いていった関に、賛辞を送ったというわけだ。峰に褒められて関はニッコリ。

 一方、3コースから握ったものの前がつかえて最後方まで後退してしまった岡崎は、脱力したように肩を落として引き上げてきている。逃げた石野と航跡が重なったかたちで、不運な大敗でもあった。カポック脱ぎ場では疲労感いっぱいの様子で、顔を合わせた峰が苦笑いの態。その表情を見て、岡崎も愚痴るような苦笑を浮かべ、また肩を落とした。うーん、元気がない岡崎はやっぱり寂しいぞ! 今日は大きい着が並んでしまったが、明日の1号艇で巻き返せ!

 さてさて、尼崎のピットはスタンドから近く、ファンの歓声がビンビン響いてくる。それは10R発売中のこと。「ミヤチー、ガンバレー!」「ミヤチー!」という声援が聞こえてきた。ん? レース中でもないのに、どうしたどうした。と水面を見たら、12Rドリーム戦のスタート特訓が行なわれていたのであった。しかも宮地は6コース、間近にその姿が見られるわけで、思わず声も出るということか。特訓にも声援を送るとは、お客さん、アツい! なんだか嬉しくなった次第でありました。ドリーム戦の宮地は残念だったけど、声援で燃えたか、競り込む姿がありましたね。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)