主砲、復活!
12R優勝戦
①秋元 哲(栃木)15
②馬場貴也(京都)15
③丸野一樹(京都)11
④関 浩哉(群馬)15
⑤坪井康晴(静岡)16
⑥峰 竜太(佐賀)16

スピードスター馬場貴也が2コースからブッ差し、深紅の優勝機を京都にたぐり寄せた。
このシリーズをまったく見ていない人なら、フツーに脳裏に浮かぶ光景だろう。1号艇は記念優勝のないダークホース。馬場は地元の絶対エースにして、捌きのハンドルワークは天下一品。それだけで②-①は当たり前に買いたくなるフォーカスだ。

だがしかし!! 優勝戦までの71レースをくまなく観戦した私にとって、この美味しそうなフォーカスは危険な落とし穴。ありえそうで、ほぼほぼ実現しないフォーカスと決めつけていた。大きな理由はふたつ。
★まずはシンプルに①秋元37号機のパワーがすこぶる強い。
★新燃料E30の影響か、71レースで2コースはわずか1勝!! どんなに出足が強い2コース選手でも落としてからの立ち上がりが極端に鈍く、初日8Rの②関浩哉が差しきった以外はすべて引き波に揉まれて勝ちきれなかった。
関1着以外、すべて2コースがズブズブ敗れ続けるレースを70回も見てしまうと、いくら地元で2コース巧者の馬場でも不可能だ。そう思い込んだし、その判断が正しいと確信さえしていた。

さらに今日は、10Rあたりからホーム追い風~向かい風~横風と目まぐるしく変わり、優勝戦本番は強めの左横風になった。握って回る選手にとってサイドが掛かりやすくて有利、落として差す選手は風に押し戻され立ち上がりが重くなって不利。全国24場に共通のセオリーが、圧倒的に2コースが不利な水面に拍車をかける。
馬場さん、ツいてないな、残念!
私はファンファーレを聴きながら、心の中でそうつぶやいた。

だがしかし、それは起こる。スタートは3コース丸野の舳先がちょい突き出た以外は、きれいな横一線。その後の行き足はやはり秋元37号が優勢で、挟まれた馬場はやや窮屈そうに1マークに向かった。もはや、私の眼中に馬場は入らない。
もちろん、最初の攻め手は丸野と見ていたら、丸野は昨日とは違う戦術を選んでいた。すぐには絞め込まず、しばらく直進してオーバーターンしてからの鋭角なまくり差し。スリット隊形的には連日の決め撃ちまくりもありえたが、おそらく「秋元には昨日の残像があって握り込むから、割り差しが入りやすい」の戦略、判断があったかも知れない。
丸野を強力な第一仮想敵に据えていたであろう秋元は、丸野の動きをしっかり睨みつつ、まくりを牽制しながらターンマークを漏らして旋回した。
丸野のまくりさえ浴びなければ勝てる。
そんな意識があったかも知れない。あるいは、びわこ特有のうねりが影響したのかも知れない。①と③がそれぞれの戦術、駆け引きをしている間に、やや凹んでいた馬場はオーソドックスな差しハンドルを入れた。今節、のべ60人以上の選手が選択して、たったひとりしか決まらなかった差しハンドル。

ズボッ。
音がするような勢いで、馬場が最内から抜け出した。直後に十八番のウイリーでさらに差を広げる。何度も書くが、今節をまったく見ていないファンなら、当たり前の馬場差しなのだろう。だが、私は我が目を疑った。まるで、教科書に載っている物理の法則を覆すような出口の押し足。そうとしか思えなかった。

「1マークは風で波があったし、うねりにも助けられましたね。びわこの神様が、助けてくれたんだと思います」
レース後、地元のエースは謙虚に地元の神様を讃えたが、いやいやいやいや、それは答えになってないって。ほとんどすべての2コース選手が尻もちをつくように失速した出口近辺で、どうしてあんなに力強く出て行ったのか。うねりが他者の邪魔をすることはあれ、馬場の背中を押したわけではないのだから。

現状、真の勝因はわからない。このまま、わからないままかも知れない。この6日間の2コース失速、惨敗を見すぎて、私が妄想に近いまでの思い込みを抱いただけかも知れない(私のあるある、ではある)。これをダラダラ書いている今もまだ狐につままれた気分なのだが、とりあえず、今はたった一言で片づけておこう。

馬場貴也が凄すぎた。
それ以外に浮かばないっす。長いスランプがこれでキッチリ終わったわけではなかろうが、今日の2コース差しVが京都の主砲に与えた勇気とエナジーは半端ないだろう。まだまだ混乱している頭の中で、心からの「おめでとう」を贈りたい。

最後に、E30使用シリーズの参考データとして、大苦戦した2コースと活躍した3コースの着順集計を書き留めておきたい。
① ② ③ ④ ⑤ ⑥着
2コース 2・15・11・12・16・14
3コース 9・20・10・11・13・9
※2コースはフライング1、エンスト1あり
直接対決は3コースの42勝30敗! こんな極端な優劣が、果たして7/15からの大村GⅡモーターボート誕生祭にも反映されるのか。逆に2コースが活躍したりするのか。明後日からのE30燃料の気配に注目していただきたい。(photos/チャーリー池上、text/畠山)