ガバターーン!
12R優勝戦
①末永和也(佐賀)13
②渡辺浩司(福岡)14
③新田雄史(三重)12
④茅原悠紀(岡山)19
⑤桐生順平(埼玉)20
⑥赤岩善生(愛知)25

26歳の末永が勝った。
いやーーーー凄いモンキーだったな。相棒37号機はエース候補と呼ばれていたが、スリットからグイグイ出る怪物タイプではない。このレースのスリット後も、節間で一気に急上昇した渡辺21号機ににじんわり煽られる見え方。しかも、先マイを狙った初動で、わずかながら艇尾が左右にぶれたようにも見えた。

もしかして、渡辺に差される??
ガチで思った直後の、舳先の旋回スピードのヤバかったこと!! あまりに速すぎたその舳先は、私に過去のとんでもアクシデントを想起させた。3年前の多摩川ヤングダービー優勝戦の最終ターンマーク。先頭の近江翔吾を追って追って追っかけ回して、末永は最後の最後に恐ろしく初動の早い逆転差しをブッ込もうとした。
そんな角度とスピードで、回りきれるんか??
思った直後、末永の艇は左右に激しくバウンドして振り込み、一気に2番手から最後方まで後退した。あの日の当欄で、私はこんな感想を記している。
――優勝の2文字がはっきり脳裏に浮かんで、人間の能力を少しだけ超える異次元のターンをやらかした。
そう、今日の1マークはあれほど極端ではないものの、あまりの早さと速さに同じような危惧を感じたのだ。そんな人間離れした初動とターンスピードで、ちゃんと回れるのか? と。

1秒後……そんな私の見立ては、すっとこどっこいの杞憂でしかなかった。長身の上半身をぐわん!と左にメチャクチャ深く折り曲げた末永は、出口から飛ぶように出て行った。飛ぶように、は誇張だろうか。差した渡辺と握った新田がややもたれ合ったとはいえ、その異次元のモンキーから3秒後には後続を軽く5艇身は引き離したのだから。

なんじゃこりゃっ!?
である。今節は最初から最後まで新田新田と騒ぎたてた私だが、実のところ昨晩からの脳内レースは末永の高速インモンキー逃げばかりが浮沈した。そして、その脳内レースはぜんぜん間違っていた。私のそれより、はるかに早くて速かった。初日から何度も何度も見せられたイン逃げの中で、ブッチギリに並外れたインモンキー圧勝だった。

もちろん、今日のとんでもインモンキーは、天賦の才能だけではなかったはずだ。初日からシンクロ率がやたらと高かったエース37号機(ターン回りが絶品)を、とことん信頼しきっているからこその超鋭角ターン。出口から飛ぶように突き抜けた末永37号機は、まるでシンクロ率200%を超えた碇シンジとエヴァ初号機のようだったな。

「すべては(師匠の)真之介さんのおかけです。真之介さんのアドバイスがなければ、準優1号艇にも乗っていなかった。プロペラ調整とか何から何までぜんぶ、真之介さんのおかげです」
師匠より先にSGを獲ったくすぐったさを笑顔に包み込んで、末永は独特の低音ボイスで感謝の言葉を連ねた。その重厚な声は、佐賀支部の層の厚さを連想させた。去年の5月、125期の養成所チャンプ定松勇樹がオールスターを獲った。1年半後の今日は、124期チャンプの末永。この先には、126期チャンプの常住蓮が手ぐすね引いてチャンスを窺っている。

★末永和也=52優出17V
★定松勇樹=44優出11V
★常住 蓮=34優出9V
ほどよく段々畑のように成長している自称「佐賀の団子3兄弟」が、どんだけSGで暴れまわるか。近い将来、我々は畏怖めいた気持ちとともに彼らを見守ることになりそうだ。で、こと現状のターンスピードに関しては、やっぱ長兄の和也が抜けて凄いかも?? なんて思ったのだがどうだろうか。(photos/シギ―中尾、text/畠山)