2着/3着の深い溝
11R
①鎌倉 涼(大阪)07
②西橋奈未(福井)12
③遠藤エミ(滋賀)09
④守屋美穂(岡山)11
⑤川野芽唯(福岡)20
⑥小野生奈(福岡)11

鎌倉が逃げた。遠藤の凄まじいツケマイをブロックしきった。初動の早さと鋭い入射角的には決まって不思議のないツケマイだったが、鎌倉の応接も凄い。
「来るのは分かってたわよ! 来るなら来なさいよ!!」
ってな気合でターンマークを外して牽制。一瞬だけエミが怯んで落としたところ、鎌倉も何事もなかったかのように落としながらくるり旋回した。怖い女たちの高いレベルの鍔迫り合いに見えたが、どうだろうw

これであっさり1-3決着かと思ったらば、凄い勢いで1艇が割り込んできた。6コースの小野生奈だ。
ま、ま、またセーナっっ!!??
第1戦もそうだったが、ちょっと内側に目を離しているうちに、あっちゅう間の2、3番手進出。レース後にリプレイを覗いてみたら、なんとも実にえげつない全速のまくり差しをやらかしていた。そりゃそうか。そうでもなければ、6コースからあんな瞬間移動みたいに2、3番手は取れない。

それでもバック中間は、遠藤が踏ん張って1-3-6隊形がほぼほぼ完成。今節のエミ11号機なら抜かれることはないだろう、と見ていたらば……。
このレースの1周2マークは、今年のV戦線の流れを大きく書き換えたかも知れない。先行する遠藤に対して、3番手の生奈は2マーク手前でするり内に潜り込んだ。マウントを取っている遠藤には「行かせて差す」or「握って攻め潰す」の二者択一が残されたが、決断は後者。スピード任せにぶん回し、生奈の息の音を止めようとした。結果論でいうと、この攻めで2着を取りきればトータル26点で、1着鎌倉の25点も超えてファイナル1号艇がほぼほぼ決まったはずだ。

だが、その全速ぶん回しはハズレだった。内からくるり小回りした生奈の出足~押し足が、外から外へロスを承知で握り倒した遠藤のスピードを凌駕した。ふたりの戦法が真逆すぎてパワー決着かどうかわからないが、結果的に生奈の作戦勝ちとなった。

速報で触れたとおり、バック2番手を守りきれずひとつだけ着を落とした遠藤は、得点でも生奈に抜かれて完走した6人の中の4位に甘んじた。2着ならほぼ全体の1位確定から、12Rの結果次第ではファイナル6号艇という立場に成り下がった。私はトライアルの怖さ深さ面白さを改めて感じながら、12Rのピットアウトを待った。
平高ロクの奮闘
12R
①浜田亜理沙(埼玉)15
②實森美祐(広島) 13
③平山智加(香川) 13
④高憧四季(大阪) 16
⑤渡邉優美(福岡) 15
⑥平高奈菜(香川) 23

インコース浜田が圧勝した。昨日までの元気のなさが嘘のような素晴らしいインモンキー! そして、昨日までの5着6着でもはや焼石に水のイン逃げかと思いきや、実はそれなりにファイナルチャンスのある1着=トータル19点でもあった(たとえば着順が①②③⑥⑤④とか、滑り込むパターンは多かったはず)。

だがしかし、最終的にその夢を打ち砕いたのは、やっぱり6号艇6コースの平高だった。道中、素晴らしい追い上げで11Rの生奈に続いて2着GET!
「今日は伸びをつけようと思ったけどダメで、ひらめきの調整をしたら出足の方が当たりました」

初日から苦しんでいた出足を「ひらめき」で克服し、またしても6号艇だけどファイナルに滑り込んだ。で、この調整が明日にも結びつくとしたらば、もちろん明日の緑カポックも軽視できない。出足に確固たる自信がつけば、明日こそ一発勝負の前付けもありえるだろう。

3着は混戦を捌ききった渡邉で、こちらはトータル23点で余裕の当確ランプ点灯。ただ、11R組の4人がハイスコアを叩き出したため、明日は5号艇でのVアタックとなった。本人には悔しい3着だったと思うが、明日は4号艇・遠藤のマーク枠。遠藤が「伸びに寄せてみようかなぁ」と不気味なコメントも発しており、なかなかにチャンスの膨らむ枠番ではないだろうか。

すでに速報でも伝えたが、改めてファイナル6PITをアップしておこう。
12Rクイクラ優勝戦
①鎌倉 涼(大阪)
②小野生奈(福岡)
③川野芽唯(福岡)
④遠藤エミ(滋賀)
⑤渡邉優美(福岡)
⑥平高奈菜(香川)
11Rと12Rの道中での、ほんのひとつひとつの入れ替わりが紡ぎ出したこの枠番。もちろん大村のポールポジションを勝ち取った鎌倉が断然有利なわけだが、自称穴党の私はなかなかに波乱含みな番組だと勝手にほくそ笑んでいる。(photos/シギ―中尾、text/畠山)