BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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トライアル2回戦ダイジェスト

鬼旋回

11R
①大山千広(福岡)09
②小野生奈(福岡)09
③細川裕子(愛知)09
④平高奈菜(香川)09
⑤遠藤エミ(滋賀)08
⑥寺田千恵(岡山)11

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 スリット隊形は美しいまでの横一線。2カ月半ぶりのイン戦となる千広も、しっかり踏み込んで絶対的な優位を築く。1マークの手前で揺さぶりをかけたのが2コースの同県・生奈だ。ここ一番の切り札として採用しているジカまくり。先のGPトライアルでもこのジカまくり攻撃が頻発したが、選択する側にとっては「外から付け回って届けば御の字、届かなくても2マークでもう一丁の勝負」的な、つまりは「差して揉まれるより惨敗しにくい、重い点数を取りにくい」という心理が反映される戦法なのかも知れない。

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 今日の生奈のそれはひたすらアタマ狙いのツケマイにも見えたが、インの千広は「想定済み」とばかりに飛びついてブロック。直前で吹きはじめたホーム向かい風もあって、舟がしっかりと返ってバックの出口を1着10点を決め込んだ。スタートといい咄嗟の判断力といい、長期休養明けとは思えないイン戦でもあった(本人はこの1マークの旋回を反省していたようだが)。
 少し弾かれるように外に流れた生奈の内から、最内を差した4カドの平高と5コースから全速まくり差しの遠藤が凄まじい勢いで襲い掛かった。昨日は遠藤の回り足を絶賛したが、平高の引き波を超えて出て行くレース足も素晴らしい!

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 バック直線はその2艇がグイグイ抜け出し、2マークは内の利がある平高がこれまた無駄のない旋回で2番手確保。逆に遠藤は内へ内へと殺到した後続艇に行き場を失い、最後方までズリ下がった。ここで6着のままならファイナル入りに黄信号が点る遠藤だったが、ここからの追撃足がエグイこと。今日は外から外へのフルターンと最内の小回りターンを臨機応変に使い分けて先行艇をズンズン追い抜き、最終ターンマークでは安泰の3番手と見ていた生奈までをも小回り旋回で抜き去った。昨日に続いて、ピッカピカに輝く鬼足だった。昨日は松本晶恵を、今日は生奈をラスト1周で追い抜いての2ポイント加算は、遠藤にとって大きなアドバンテージになるはずだ。明日の4号艇でも、この光輝く回り足をフル稼働してもらいたい。

薄氷の圧勝

12R
①守屋美穂(岡山)01
②香川素子(滋賀)06
③平山智加(香川)13
④松本晶恵(群馬)14
⑤岩崎芳美(徳島)14
⑥田口節子(岡山)14

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 2連続の6号艇6コースは我慢ならん! と田口が朝特訓から気合の前付け~スロー発進を連発。本番でもゴリゴリ動いてコースを奪いに行ったが、内隣の岩崎はじめ全員がブロックして横一線の最終隊形に。結局は枠なりに収まったが、6人全員が100m起こしのヨーイドン競走は、それなりにスリリングな景色ではあった。出足勝負、あるいは度胸勝負のスリットライン。

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 この重要なキーポイントでひとりだけ突出したのは、またしてもインの守屋だった。行きも行ったり、コンマ01。昨日の07から、さらに臨界点まで踏み込んでいた。本当に、入っていてよかった。そして、入ってしまえば、圧倒的に有利な花道が開ける。昨日と同じような貯金を保ったまま、昨日と同じようなインモンキーで、昨日と同じように影をも踏ませぬ圧逃劇。守屋だけの航跡を追うなら、まさに昨日のデジャヴを見ているようだった。

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 まあ、端的に言うと「スタート勝ち」であり、正直、逃げ逃げ連勝の守屋66号機のパワーはよく分からない。グランプリの峰竜太のように。現在の私は暫定的にA【出A・伸A】と無難な評価を授け、5号艇の明日に競り合っての足色を測る腹積もりである。

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 そしてそして、今日もゴキゲンな実戦足を見せたのが香川12号機だった。昨日のセット交換がどりだけ当たったのか、サイドの掛かりといい出口からの押し足といいそこからの行き足といい、とにかく安定感が半端ない。回るたびにズンズンと後続を引き離し、むしろ守屋にじわりにじり寄るような気配さえ漂わせていた。単に戻ったとか言うレベルではない、トップ級の実戦足と認めざるを得ない。セット交換、恐るべし!

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 バック3番手も3コースの平山が取りきり123の大本命決着かと思いきや、その平山が2マークで切り返した岩崎と接触してズルリ後退。不運な降着にも見えたが、トライアルではこのゾーンが修羅場と化しやすい。そのあたりを踏まえれば、やや詰めの甘いターンとも言えるだろう。長期休養から復帰してかなりの実戦を積んだ平山だが、大一番の勝負どころでのレース勘がまだ戻りきっていないのかも知れない。

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 最後に、私が戦前から期待していた岩崎18号機は、今日もトライアルの展示ワースト時計~その数字どおりの冴えない実戦足で5着大敗。2戦目にしてほぼファイナルに赤信号が点ってしまった。もはや私のパワー評価もB+【出B+・直B+】で期待すべき破片すら感じないのだが、「あるいは明日には?」という微かな期待だけは脳みその片隅にしまっておきたい。芳美姐さん、頑張って!(photos/チャーリー池上、text/畠山)