横一線なら……
10R 進入順
①石野貴之(大阪)06
⑥魚谷智之(兵庫)07
②重野哲之(静岡)08
③烏野賢太(徳島)08
④平本真之(愛知)07
⑤川﨑智幸(東京)06
魚谷が気迫の前付けを見せた。
スタート展示からゴリゴリ行って重野に抵抗されたが、
本番は重野が受け入れての2コース発進。
地元の意地ということだが、魚谷にしては珍しい前付けが、
結果的に功を奏したか。
スタートは上記の通りの美しい横一線。
スタ展よりも楽な起こしで、しかもこの隊形になってはイン石野に負けるべき要素はない。1マークをくるりと運んで危なげなく独走態勢に持ち込んだ。
例によって、2番手が混戦ムードに。差し粘った魚谷がバックで2艇身ほど抜け出したかに見えたが、内から烏野、川﨑、重野がドドドドドと2マークに殺到。全部まとめて握りつぶそうとした魚谷は、やや流れてさらなる混戦になった。
勝負の2周1マーク、久々のSG制覇に燃える烏野と、悲願のSG初Vを狙う川崎が、もつれるようにして先マイを目指す。外の魚谷は、再び全速マイで先輩2艇に襲い掛かった。そして、この握りマイが鮮やかに決まった。
1着・石野、2着・魚谷。
石野の足は、やはり節イチ級だと思う。
特にいいのはスリット付近の行き足。
回り足がいちばんの弱点(と言っても上位だが)なので、2コースからの差しだと井口には届かない可能性が高い。2号艇は微妙な枠番だ。
魚谷は昨日になってトップ級の伸びが来た。
今日の2コース差しもそれなりに回れていて、伸び一辺倒ではない。明日は前付けしないと宣言したのでアウトコースが濃厚だが、
単騎がましなら現状の足でも見せ場は作れる。
2着返り咲き!
11R
①井口佳典(三重)14
②中島孝平(福井)14
③瓜生正義(福岡)12
④服部幸男(静岡)15
⑤丸岡正典(奈良)09
⑥赤岩善生(愛知)23
今日の丸岡はしっかりと踏み込んだ。
が、さすがは準優、5コースから半艇身のアドバンテージで
攻めきれるほど甘いパワー相場ではなかった。
中島の差しと瓜生のまくり差しを封じて、井口の完勝。
2着も2番差しからスッと抜け出した服部で決まりかと思ったが、
準優の2着争いは何が起きるかわからない。
スタートでひとり立ち遅れ、3番差しに甘んじた赤岩が、
最内6番手からもこもこ伸びて服部にプレッシャーかけつつ
2マークへ。そのまま服部に下駄を預けるような形で、
無理気味の先マイに打って出た。握っても差しても捌ける態勢だった服部は、余裕がありすぎて迷ったのかもしれない。
差しハンドルが遅れ、赤岩の捨て身の強襲が
ドンピシャのダンプになった。1
マークからは想像すらできない1-6態勢。
が、服部と赤岩がもつれたことで他艇も息を吹き返す。
2周ホームは赤岩の1艇身後方に、残りの4艇がずらり並んだ。
勇躍、力でねじ伏せようと赤岩が握った2周1マーク。
今度は、服部の全速まくり差しが赤岩に届いた。
2マークの失敗を帳消しにする、値千金にして絶妙なターン。
遠回りではあったが、とにもかくにも服部は大切な2着を取りきった。逆に、ミラクル優出まであと一歩まで迫った赤岩は、
2周2マークでバランスを崩して転覆。
絶望のスリット~希望の2マーク~落胆の2周2マークと、
とかく心の浮沈が激しいレースだったことだろう。
1着・井口、2着・服部・
井口の足は笹川賞ほどではないが、全部が少しずついいバランス型という感じで落ち着いた。ただ、今節の井口は「もう一足、もう一足」と探究心が旺盛すぎて、ころころ素性が変わっているような気がする。
明日もあれこれしそうだが、考えすぎ叩き過ぎなどで、
逆に変なことにならなければいいのだが……。
服部は初日からレース足を中心とする出足系統が強力。
今日もそうだったが、「あれ、いつの間にこんなところまで?」と
瞬間移動するようなレース足がある。つまり、引き波に滅法強い。
さらに2周1マークの絶品のまくり差しを見る限り、
向きたいところに舳先が向くという俊敏さも兼ね備えている。
明日は4号艇。混戦になればなるほど強みを発揮するパワーなので、スロー勢に紛争があれば一気に突き抜けるかも??
男前の「恵まれ」
12R 進入順
①重成一人(香川)+02
②寺田 祥(山口)05
③太田和美(奈良)21
⑤今村 豊(山口)01
④森高一真(香川)10
⑥吉田拡郎(岡山)14
太田のドカ遅れか、と思ったが、先行艇が早すぎた。
SG初Vに王手をかけたいシリーズリーダー重成が、
我慢の一線を踏み越えてしまった。
痛恨過ぎるフライング欠場……
F2の足かせ+賞金王シリーズまでのSG除外という罰則は、
あまりにも痛い。ドカ遅れとは言えないものの、
太田のスタートはやはり遅すぎた。
コンマ01の今村が軽々と叩き、それに連動した森高のマーク差しが
炸裂した。炸裂した、と言っても、実際の水面では
はるか前方を重成が走っていたのだが。
決まり手は「恵まれ」。恵まれでもなんでも、
準優1着の価値は変わらない。それに、枠なりにこだわらずに
ダッシュの5コースを選択する潔さ、
早い艇にも遅い艇にも左右されずに唯我独尊のコンマ10スタート、
そして、狭いところをズバッと割って入った度胸。
今節の森高は、実に男前だ。キムタク以上にセクシーだ。
もしも今節「寝たいレーサーアンケート」をやったら、
森高がナンバーワンになるだろう。私なら、迷わず森高を選ぶ(笑)。
それにしても、寺ショー、2マークきっちり捌いて
2着を取りきってくれたら、準優予想パーフェクト(恵まれ)
だったのにぃぃ><
1着・森高、2着・今村。
森高のパワーは出足を主軸にしたバランス型。
らしいセッティングで、この足なら3コースあたりから自在に動ける。
今村は、やはりバランス型で中堅の上レベルか。
今日は同郷の寺ショーを冷静な差しで負かしたが、
実質的には先頭(重成含む)からかなり離れた3着争いだったのだ。
むしろ、その分をスタートで、という気合いが怖い。
もちろん、今日と同じタイミングは考えにくいのだが。
(photos/シギー中尾、text/H)