BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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大村チャレカ準優ダイジェスト&賞金ランキング

地味な超抜

 

10R

①森高一真(香川)08

②魚谷智之(兵庫)12

③丸岡正典(大阪)10

④菊地孝平(静岡)01

⑤篠崎仁志(福岡)01

⑥平本真之(愛知)01

 

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「456のアウトセットかっ??」と思わせる悶絶スリット。タイミングは上記の通りで、これでダッシュ勢が全速だったら一気に内3艇を呑み込んだか。が、スリットの直前で菊地のスピードが一気に落ちた。おそらくアジャスト。デジタル頭脳によってFの危機は回避されたが、同時に内のスロー勢が息を吹き返した。森高がしっかりと1マークを先制し、魚谷が差し、丸岡が全速マイ。

 大村の準優らしい3艇の堅い決着か、と思ったところに、スパンッと黄色い矢が飛んできた。仁志のスピーディなまくり差し。岡崎や毒島、茅原などでお馴染みの「見る前に飛ぶ全速ニュージェネまくり差し」。これがあるから、彼らからは目が離せない。一瞬、仁志の舳先が逃げる森高を捕えた。もうひと伸びあれば両者の体は入れ替わっただろう。が、そこから伸びたのは外の森高だった。森高の足は派手ではないがストレート系が何気に強い。その差が、はっきりと見て取れるバック中間だった。

 

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 1着・森高、2着・仁志。

 地味だけれど何気にストレートが強い53号機とともに、明日の森高は2度目のチャレカ制覇と“初めての”グランプリ参戦を目指す。GPが12人制だった3年前は僅差で齊藤仁にその座を譲ったが、明日は文句なしにそれが決まる。

 仁志は敗れはしたがSG初優出。こちらは優勝すれば嬉しい初タイトルに加え、兄を飛び越し王者を蹴落としてのTOP6=GPトライアル2nd入りが確定する。兄の背中を追って、この若者は日々年々強くなっている。

 

Vのフラグ

 

11R

①石野貴之(大阪)15

②重成一人(香川)12

③坪井康晴(静岡)13

④井口佳典(三重)15

⑤岡崎恭裕(福岡)16

⑥谷村一哉(山口)15

 

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 強い。スリットはぴったりの1艇身。しかも、舳先が真一文字に並ぶような横一線。持ってる男は、スリット隊形すらも己に優位にしてしまうのか。そのまま6艇は並走し、誰も仕掛けられないうちに石野はくるりと1マークを回った。回った瞬間、3艇身差。もう揺るがない。前検で前宣言通りにエース44号機をゲット、昨日はあれよあれよと準優1号艇圏内に浮上、そしてこの一連のレースの流れ……まだファイナルの艇番がわからない状態で「石野Vのフラグが立ったのではないか」などと考えていた。

 

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 バック中間、すでに焦点は2着争いだ。内の井口と外の坪井が激しくぶつかり合っている。舳先が揃っているから、態勢は明らかに内の井口が有利。が、10R同様、ここからパワー差がものを言う。外の坪井だけがじわじわ伸びてゆく。舳先が抜けそうになった井口は、ブロックを諦めて2マークの先マイを目指した。態勢に余裕のある坪井はスッと外に開いて冷徹な差し。流れる井口と、真っすぐ突き進む坪井と。ここで2着も決した。

 1着・石野、2着・坪井。

 この時点で石野のファイナルの枠番は不明だが、白か黒のカポックは確定。優勝に近づくと同時に、GPトライアル2ndの1号艇(ファイナル2着以内)も見えてきた。それは坪井も同じで、明日、坪井が1着&石野が2着なら賞金ランクの1・2位は最後の最後にそっくり入れ替わる可能性もある。

 

21号機との呼吸

 

12R

①辻 栄蔵(広島)15

②赤岩善生(愛知)08

③吉川元浩(兵庫)08

④長田頼宗(東京)11

⑤瓜生正義(福岡)13

⑥桐生順平(埼玉)09

 

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 石野と同じコンマ15なのに、辻のイン戦は肌寒い光景となった。2コースの赤岩が思う存分に覗いている。とは言え、すぐに叩けるほどの間合いではない。直進して辻との艇幅をたっぷりキープした赤岩は、満を持して差しの初動を入れた。が、この戦法はむしろ3コースの吉川にとって僥倖だった。赤岩の初動とともにレバーを握る。日ごとに呼吸の合ってきた21号機のサイドが鋭く掛かる。あっという間に赤岩を引き波に嵌め、ふんだんな幅を利して辻の内懐を突き抜けた。11Rの石野44号機に挑戦状を叩きつけるようなまくり差しだった。

 

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 1着が決まって、焦点は2着争いに。これまた内の長田と外の辻が激しくやり合っている。そして、これまた雌雄を決したのはパワー差だった。ストレートの伸びで分の悪い長田は、辻を捨てて2マークの先マイに懸けた。が、吉川の引き波をなぞって大きくバウンド。一方の辻は焦らず騒がずブイ際をくるりと回って、一気に安全圏へと突入した。辻の回り足は、おそらく節イチだろう。

 1着・吉川、2着・辻。

 

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 森高とともにメイチ優勝条件の吉川は、明日も3号艇で勝負する。今節の2日目には外から一気にまくられて10万舟の起点となり、今日は目の覚めるようなまくり差しを突き刺した3号艇。今日と同じ攻めが石野44号機に通用するかは微妙だが、何かが起きておかしくない赤カポックだ。明日は21号機とどれだけシンクロ率を高められるか。それで勝機は高くも低くもなる。

 ひたすら悔しい敗戦だったであろう辻だが、優出でスッキリとGPを決め、「優勝でTOP6」の権利を継続させた。明日は想定していた1号艇が4号艇になっただけのこと。キレにキレまくる鬼の回り足は、4コースでも十二分に活かすことができるだろう。

 

SGチャレカ部門

 

賞金ランキング   明日   短評

 

★1菊地孝平 9630 A戦 優勝戦直前まで1位キープでGP優位に

★2瓜生正義 9617 B戦 優勝戦直前までに1位奪取でGP優位に

★3石野貴之 8967 優出 準V以上で1、2位を目指す

★4桐生順平 8097 B戦 6位以内確定

★5坪井康晴 7892 優出 6位以内確定、優勝で1位目指す

★6松井 繁 7590    優勝戦1・2・3・5号艇VでTOP6、4・6号艇Vで7位

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★7平本真之 7138 B戦 GP1st組確定

★8山崎智也 6983    GP1st組確定

★9井口佳典 6833 A戦 GP1st組確定

★10池田浩二 6784    GP1st組確定

 11篠崎元志 6673    GP1st組確定

★12岡崎恭裕 6453 B戦 GP1st組確定

 13白井英治 6019    GP1st組確定

★14篠崎仁志 5824 優出 GP当確。優勝でベスト6目指す

★15太田和美 5594    GP1st組確定

★16重成一人 5394 A戦 GP1st組確定

★17辻 栄蔵 5371 優出 GP当確。優勝でベスト6目指す

 18茅原悠紀 5256    事実上、GP権利消滅

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▲19峰 竜太 5254    魚谷が2走完走でGP権利消滅

★20魚谷智之 5247 B戦 2走完走で暫定18位以内も、吉川か森高Vでアウト

▲21田中信一郎5209    魚谷が2走完走でGP権利消滅

★28吉川元浩 4364 優出 優勝条件

★33森高一真 4049 優出 優勝条件

 

※★印はチャレカ参戦中、▲は他場参戦

※単位/万円。千円単位から切り捨て

 

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賞金TOP18位の行方

 

 準優を終えて、状況がかなりスッキリした。17位の辻までが当確で、残る1議席は「魚谷智之vs吉川vs森高」の争い。「吉川か森高が優勝すれば自力確定、それ以外の選手が勝てば魚谷」ということでほぼほぼ間違いないだろう。神のように精緻な「ひまひまデータ3」さんはまだ様々な可能性を想定していますが、大雑把なこちらは決めつけちゃいます(笑)。

 一方、TOP6争いも場合分けがスッキリした。上記とよく似ていて、残る1議席は「松井vs辻vs仁志」の三つ巴。「辻か仁志が勝てば自力TOP6確定、それ以外が優勝したら松井」だ。それぞれ選手名は違うが、TOP6も18位ボーダーも三つ巴の戦いと覚えていただきたい。

 

レディースチャレカ部門

 

女子賞金ランキング   

★1遠藤エミ  3270 

★2海野ゆかり 3034 当確

★3松本晶恵 2943 当確

★4小野生奈 2931 当確

★5長嶋万記 2905 当確

 6平山智加 2652 当確

 7寺田千恵 2589 当確

★8竹井奈美 2486 当確

★9中谷朋子 2411 当確

★10樋口由加里 2406 当確

★11山川美由紀 2390 当確

★12魚谷香織 2319 一般戦&選抜戦

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★14日高逸子 2247 優勝戦

 

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クイクラの行方

 

●今日の動向

 魚谷香織がやっとこさ12位だった渡邉優美の賞金を超えて圏内突入。ただし、自身はファイナル勝負駆けに失敗して選抜戦回りに。一方、日高はしっかりと勝負駆けを決めて優勝戦6号艇に名を連ねた。福岡3選手による悲喜こもごも、当事者に複雑な思いが働いたことだろう。

●勝負駆け条件

 山川が事実上の当確で、完全に香織VS日高の一騎打ち。現在、約72万円差で香りがリードしており、明日両者が稼げる賞金額(完走条件)の範囲は

★香織…2走で21・4万~71・5万円

★日高…優勝戦で78万~400万円

 自力の権利があるのは日高で、たとえ香織がピンピンでも準Vで自力確定。香織の成績がそれより悪ければ、日高の条件もそれに応じて楽になっていく(たとえば香織6・6着なら日高4着でOK)。するかどうかはともかく、日高としては香織の成績を見て目標を決められるというメリットもある。香織としてはできる限り2連勝を目指して、少しでも日高にプレッシャーを与えたいところだ。(photos/シギー中尾、text/畠山)