BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――柔らかな時間

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 今日は来年度SGに関する記者発表会があったため、ピットに入った時間はいつもより遅めだった。さっそく目に入ったのは、報道陣に囲まれている篠崎元志。今日も色男ですなあ……などと感心しつつ、そういえば篠崎は優出メンバーなのだと思い出したのだった。ようするに、すっかりSGの顔なのだ。優出はもはや事件でもなんでもなく、篠崎もいつもと変わらない表情で記者さんたちの質問に応えている。こちらも篠崎の優出をふつうにあることとして捉えているから、特別な視点で彼を見なくなっているのだ。余裕すら感じられる篠崎のふるまいに、改めて感心させられたのだった。

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 銀河系軍団の優出も、やっぱり事件でもなんでもないが、3人が優出というのはちょっと心が沸き立つものだったりする。開会式でぶち込み宣言をしておおいに沸かせた井口佳典も、優勝できる気がするという田村隆信も、夢舟券を提供したい丸岡正典も、それぞれにリラックスした様子だが、彼らが肩を並べていたりすると、思わず唸ってしまう。

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 特にリラックスしているように見えるのは井口だ。笑顔が多いし、田村と話しながら「アカン、隙がないわ~」と爆笑している声をピットに響かせたりもしていた。もちろん、田村もそれに合わせて笑っており、こちらも今のところは穏やかに過ごしているようだ。

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 丸岡も同様ではあるのだが、なんとなく緊張感も伝わってくる表情であった。まあ、あくまで緊張感であって、緊張丸出しというわけではない。それでも、もっとも枠が外の丸岡からそれを感じられたことが少々意外だったし、師匠との優勝戦への思い入れを裏読みしたくなったりもしたのである。

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 もっとも鋭い雰囲気を発散していると予想していた赤岩善生だが、朝の時点ではそこまでビンビンではなかった。寺田祥と談笑している姿には、ちょっと意外さも感じたものである。モーター返納作業のヘルプに飛び回っていることもあって、本格的に戦闘モード突入はまだ先になるのだろう。もちろん、ここから時間を追うごとに、気合が上積みされていくことは間違いない。

 

 全体的に柔らかい雰囲気だったと感じた朝のピットだが、ようするにまだ本格的に始動する優出メンバーがいないということでもある。井口がペラ調整、田村が点検作業など、動きがまるでなかったわけではないけれども、今はまだ態勢を整えるための助走時間のように思えた。

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 ポールポジションの太田和美。姿を見かけたのは、エンジン吊りのみである。控室からゆったりとあらわれ、仕事を終えるとふたたび控室へ。少なくとも、3R終了まではその導線をなぞる姿しか見ていない。そしてそれは、今節を通して見かけた太田の姿と同じだと言ってもいい。ゆったりと過ごしながら心を整え、レースが迫ってくれば機も整えて、太田はグラチャン連覇の偉業に挑む。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)