BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――穏やか

 準優メンバーはそれぞれ、実にリラックスした表情を見せていた。笑顔も多く、今のところプレッシャーのようなものは見当たらない。あたりが暗くなるにつれて状況は変わっていくだろうが、序盤の時間帯はなんとも穏やかな空気なのであった。

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 強いて言うなら、松尾昂明がやや神妙に見えただろうか。仲間とともに過ごせば笑顔は浮かぶが、それが弾けたものにはなっていない。モーター装着作業時には、ぐっと鋭い目つきになっており、虎視眈々という言葉を思い起こさせる。唯一「新鋭王座複数V」の権利をもつ松尾。予選を突破したのだから、それを強く意識していてもおかしくはない。

 

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 動きが目立ったのは中嶋健一郎だ。1R前にはボートが係留所にあり、水上での調整をしていた唯一のベスト18メンバーとなっていた。エンジン吊りでも精力的に動き、1Rで2着となった同期の古田祐貴を笑顔でねぎらう場面も、やけに目を引いた。係員がモーター架台をピットの隅に移動し始めると、率先してお手伝いをしたりもして。マッドドッグとシュー長が名づけたジマケンだが、それとは裏腹に献身的な好青年っぷりを見せていた。

 ウェアの背中には「MICHIYA.G」。自らをアウターと名乗り、外からの大まくりで名を馳せた後藤道也(引退)だ。三重の大先輩の魂を背に、マッドドッグらしいレースで優出に挑む。

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 背中、といえば、谷川祐一のTシャツの背中には「国士無双」。役満! 最後の新鋭王座でつかんだベスト18の座。しかし、行き着くべき場所は、もちろんここではない。そう、役満をツモれ! 人生経験とか言ってしまうのは、あまりにも固定観念が過ぎるというものだが、とにかく落ち着いた様子で準優日を迎えているのは、好感がもてるというものだろう。

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 それにしても、埼玉軍団、ノッてますな。エンジン吊りでずらり顔を並べるのを見ると、壮観としか言いようがない。1R後には小山勉のエンジン吊りに集結しているが、7人のうち6人がベスト18(しかもうち5人が3枠以内)なのだから、やっぱり彼らは強かった。

 もう、誰がどうとかいう問題ではないわけだが、今節あまり取り上げなかった中田竜太の写真を載せておこう。こんな童顔の青年が、水面では豪快なターンを見せる。11Rでは予選トップの篠崎仁志に一矢報いることができるだろうか。

 

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 というわけで、最後は桐生順平。わりとゆったりした動き出しの選手が多かった準優組のなかで、ペラ調整を早くから熱心に行なっていた。決して機力は抜きん出ていないが、存在感は突出している。装着場からは一部死角になるペラ調整所にいても、結局は目を留めてしまうのだから、雰囲気は超抜なのである。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田=背中、桐生 TEXT/黒須田)