昨日一昨日の静けさが嘘のように、朝からピットは賑やかだ。報道陣の数がぐっと増えたのは確かだが、ざわめいているのはそれが理由ではない。準優組も、朝から精力的に動いているのだ。1号艇を手にした篠崎仁志も、早々に水面に出ていく。すぐにピットに戻ってきてはいたが、早い動き出しである。表情は爽快。1号艇のプレッシャーのようなものは微塵も感じられない。その後はペラ調整を始め、着々と準備を進めている。
辻栄蔵も、朝からプロペラ調整に励む。辻はいつもギリギリまでペラを叩く……ということを頻繁に書いてきたが、今日も同様の動きになることは間違いない。ということは、辻は相当に長い時間、プロペラと向き合って過ごすことになるわけだ。今日も、辻らしい姿で一日を送り、準優に臨む。
松井繁、田中信一郎の大阪勢も、1R発売中には水面に向かった。ともに力強い目つきで、気力充実であることがうかがえる。田中が水面とペラ調整所を往復するのを、今節何度見たことだろう。田中の着用するオレンジやイエローのウェアが、視界を通り過ぎることは実に多い。松井も同様だ。ともに、万全の準備で不利枠での準優に臨むことになるだろう。
昨日、大阪支部がF離脱の太田和美以外全員が準優へ、てなことを書いたが、九州もすごいっすね。1Rの篠崎元志のエンジン吊りに参加していたのが、原田幸哉、下條雄太郎、峰竜太、平田忠則、岡崎恭裕、篠崎仁志。全員が準優組である。ん? 元志以外全員が予選突破だったのか! つまり今日の準優は、大阪vs九州の構図が色濃くなっている、ということだ。層の厚さを誇る両者だけに、起こってもおかしくないことではある。
東京モンとしては、関東頑張れ! と肩入れしたくなったりもするのだが、関東地区で準優進出はなんと一人。桐生順平だ。今日の桐生は関東の砦として戦うわけだ。1Rには濱野谷憲吾と齊藤仁が出場していたので、桐生はエンジン吊りに走り回っていた。先輩たちの声援を追い風にして、準優に臨んでほしいところだ。
そういうなかで、穏やかに過ごしていたのが茅原悠紀。ペラはモーターに着いたままで、作業らしい作業をしていなかった。中尾カメラマンと話し込んだりもしてたし。早くから動くのも大事だが、必要以上にジタバタしないのは機力信頼の証し。石野貴之にとっていちばん怖いのはやはり、隣の枠からプレッシャーをかけるこの男かもしれない。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)