BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ごっつい勝負駆け

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 昨日、山口哲治と今村暢孝が途中帰郷し、明日より石田豪が追加参戦することとなった。

 なにしろ36名が準優進出戦に参戦するので、4日目の一般戦6個レースには選手が足りない。残り16名が全員2回乗りでも4人足りない計算となり、もともと準優進出戦の6号艇4人(予選33位~36位)が4日目は一般戦との2回乗りとなることになっていた。そんななかで帰郷者が2名出たことで、一般戦は準優進出戦6号艇を総動員しなければ番組が組めない。もし帰郷者がさらに増えてしまったら……(実際、三宅爾士が本日帰郷)。というわけで、予備最上位の石田豪が追加参戦となった次第である。個人的には非常に舟券相性のいい選手なので、楽しみです。

 石田にはお初にお目にかかるという次第なのだが、いや~、若いっすね! 見た目がとにかく若くて、最初目にしたときには匠バトルのお手伝いに若手選手がやって来たのかと思ってしまった。そもそもボートレーサーはみな若々しいが、石田はバツグン! 前検を終えたあとはさっそくエンジン吊りなどにも参加しており、ハツラツとした動きが爽やかであった。追加だからって遠慮する必要はまったくない。残り3日間、大暴れを!

 

 

 

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 さて、本日は準優進出戦の勝負駆けだったわけだが、もっとも鮮烈な勝負駆けは10Rの山室展弘であろう。3号艇からイン獲り! そして逃げ切り! ゆったりとした待機行動で1号艇・西山昇一、2号艇・山﨑毅も安心し切っていたのだろうが、スキあらば内コースをせしめるというのが、ボートレースの進入である。つまり、山室はザ・ボートレーサーとでも言うべき、素敵なイン獲りをしたと言っていいと思う。

 だからこそ、と言うべきだろう。西山と山﨑は悔しい! しかもそろって大敗してしまったのだから、後悔しか残らない進入だっただろう。レース後、西山は表情をカタくしていたし、山﨑は「やられた……」とばかりに苦笑まじりの表情を浮かべていた。ともに準優進出戦には駒を進められたとはいえ、ともにもっといい枠を狙えただけに、内枠を落としてしまったのは痛恨の極みだろう。

 

 

 

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 ピットに戻ってきた山室は、エンジン吊りを終えると、まず西山と山﨑に駆け寄って、頭を下げた。もちろん、それぞれに後腐れなどあるはずがなく、ただしそれでも西山と山﨑は悔しげな表情を崩してはいなかった。では山室は、というと、ヘルメットをかぶったまま控室に消えて行ったので表情は見えなかったが、ただエンジン吊りに加わった石田は笑顔で話していたので、山室もヘルメットの向こうで笑みを浮かべていたと思われる。そんな山室に、江口晃生が拍手を送る。やっぱり見事な勝負駆けだったのだ。

 

 

 

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 そのレースで悔しさを浮かべたのは、西山と山﨑だけではない。岡孝も同様に、後悔を残すレースとなった。なにしろ「今の、やり直しだよねぇ~」と自嘲気味に笑っていたのだから、スリットでのぞき、内を締めにかかりながらまくり差しにチェンジし、挙げ句西山に弾き飛ばされたレースぶりにはまるで納得していなかったのだ。もっとも、岡はかなり明るかった。「おどき! って感じでどかされた。あぁ~、当たるぅ~、って思ったらやっぱり当たった」なんて快活に語っていたのだ。その後に「足は良くなってた」とも言っており、敗れたとはいえ感触を得たことが岡を饒舌にしたか(大敗の危機がありながら、3着に追い上げてもいるし)。それにしても、岡の笑顔って相変わらずダンディだな~。真摯な表情のときは、彫の深い迫力ある顔つきになっているのだが、笑うと一気に優しさが浮かぶ。見ているだけで心が和む容貌は、お人柄のあらわれであろう。さらに上のステージで、ド迫力の、また穏やかな表情を見たいものである。

 

 

 

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 ところで、ピット内でのレース観戦はもちろんモニターによるものになるのだが、唐津ピットではレースを見ているとおおむね選手が同じモニターを見にやってきて、緊張の時を過ごすことが多い。まあ、今日などは青山登さんと中村裕将がおかしそうにジョークを交わし合っているのを後ろから眺めて大笑いしたりもしているのだが(けっこう昔、青山さんと中村さん、新人の平石和男で海外旅行に行ったりもしたとか)、ともあれレースを注視する選手たちの反応も肌で感じられて、なかなか興味深い。昨日までは今村暢孝と並んで見る機会が多かったのだが、今日からそれができなくなっちゃって残念です。

 

 

 

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 レースを見ながら、もちろん選手たちは思い思いの声をあげる。11R、「おぉ、グミぃ~~~」という声援が飛んで、こちらはキョトンとしてしまったり。グミぃ? グミ、グミ、具ミ、具巳……泉具巳のことか! 声援を飛ばしていたのは星野政彦で、なるほど、後輩の健闘に祈りを送っていたというわけか。念のために説明すると、泉トモミです。

 同じレースの2周2マーク、星野がまた声をあげた。熊谷直樹が全速ツケマイで2番手を獲り切ったシーンだ。

「おぉっ、ごっついな~」

 たしかにごっついツケマイで、そこにいた報道陣も唸ったシーンである。もちろん僕も、「おぉっ」と声をあげた。ということは星野さん、ファンみたいな気分で見ていたということか(笑)。明日も星野の近くで観戦できたらいいな~。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩=泉、西山、中村、星野 TEXT/黒須田)