BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――大混戦レディース!

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171214180403j:plain

 優勝戦進出のボーダーが、とにかく難しかった。5Rを終えて、守屋美穂が当確らしい、ということは判明した。7R終了後には、一番乗りで守屋は優出共同会見に登場しているが、守屋自身が当確と理解してその場にあらわれたかどうかは微妙なところだった。ある程度の確信というか希望というかはあったかもしれないけど。

 

f:id:boatrace-g-report:20171214180415j:plain

 その時点で、平山智加も相当に有利だということは明らかになっていた。落ちる可能性はあるけれども、かなり限定した条件であって、守屋と変わらないタイミングでの会見も考慮されていたようだ。たまたまその頃、平山はステアリングバーの交換(もしくは調整)を行なっており、8R終了後に持ち越されてはいたが。

 で、8Rの結果を受けて、平山は晴れて当確となっている。しかし、平山自身は「ほんとに?」という表情。競走会職員さんの説明を受けて、なんとか納得したようだったけれども、表情はまだ半信半疑。僕も一生懸命に計算して、どう転んでも7位以下に落ちる可能性がないことを確認。平山にOKサインを出したのだが、それでもまだ「もしかして……」という思いをぬぐえなかったようだ。

 大混戦となった第1回レディースチャレンジカップ。選手たちでさえ自身の置かれた立場を把握し切れないという状況になったわけだ。ちなみに、その8Rが終わった時点でも、優出当確は会見を終えた守屋と平山のみ。20レース戦っても20人のなかのベスト6が2人しか決まらないのだから、強烈な接戦だったわけである。いや~、第1回目から面白いシリーズになったぞ!

 

f:id:boatrace-g-report:20171214180431j:plain

 8Rに関しては、結果的に減点をとられてしまった平高奈菜の悔しそうな顔が印象的であったが、それよりも大瀧明日香に浴びせられた喝采について記しておきたい。大瀧は、そこまでに5走戦って、オール6着。すべてシンガリ負けを喫していた。モーターはまったく言うことを聞かず、大瀧の思いに反抗し続けた。予選突破はとっくに絶望となっており、最後に回って来たのが1号艇。大瀧はどんな思いで白いカポックを着たのだろう。

 大瀧、苦労が報われましたね! 予選最後に1着! 大瀧も嬉しかっただろうが、周囲の仲間が嬉しそうだった。リフトに戻ってきた大瀧をサムアップで称えたり、両手をあげて祝福したり、拍手を送ったりしていた選手の名前をあげれば、菊地孝平、坪井康晴、井口佳典。東海地区の仲間、しかも男子選手たちが、大瀧がやっとの思いで手にした白星を喜んでいたのだ。池上カメラマンによれば、坪井が「泣いてもいいよ」とからかったそうである。大瀧は泣き真似をしたそうである。あえて言うが、予選の1レースに過ぎないレースで、這いまくった選手が1着を獲っただけである。しかしそこにはSGの優勝戦……は大げさでも、何らかの大レースを優勝した選手を出迎えるような空気が漂った。いやあ、大瀧おめでとう! くさることなく努力し続けた末の勝利は、たとえ単なる1勝だとしても、格別だろう。来年こそ、今節の借りを返せ!

 

f:id:boatrace-g-report:20171214180538j:plain

f:id:boatrace-g-report:20171214180547j:plain

 というわけで、優出争いの焦点は9Rに移った。勝負駆けをクリアしたのは、岸恵子、鎌倉涼、向井美鈴。岸は予選トップをもぎ取ることになった勝利をあげて、淡々としつつも笑顔を見せていた。向井は地元で優出。また、優勝でもベスト12には届かないかもと見られていたわけだが、結果的には充分届くことが判明。会見でも「届くんですか?」と逆質問をしつつ、ニッコリと笑っていた。仮に届かなくても地元ビッグの優勝は欲しかっただろうが、さらにクイーンズクライマックス出場の可能性があるとあらば、決意を新たにしたことだろう。2500円差の20位でぎりぎりこの舞台に来た向井が、優勝して一気にクイクラへ、となれば、このレースを新設した意義が改めて浮き彫りとなることだろう。

 

f:id:boatrace-g-report:20171214180557j:plain

 で、8Rで2着、6・00まで得点率をあげていた三浦永理が、9Rの結果を受けて、6位で優出となった。不思議そうな顔で会見場に登場した三浦は、「ダメだと思ってた」と一言。そりゃそうだろうなあ。たとえば、1号艇だった日高逸子が順当に逃げ切っただけで、様相はかなり変わっていたはずだもの。日高のスタート遅れ→6着というのは、なかなか想像しにくいものである。

 三浦の気楽さがちょっと怖い、という物言いはちょっとベタかもしれないが、実際にそうだろう。コースを問われた三浦が「仕上がりによる」と具体的に言わなかったこと、少なくとも6コースとは口にしなかったことがちょっとだけ気になるぞ。まあ、おそらくは枠なりに収まるようにも思われるが、三浦の動きにはちょっと注目してみたい。第1回レディースチャレンジカップをさらにドラマチックにするカギになるかもしれないからだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)