王国の寵児
10R
①山崎智也(群馬)13
②石野貴之(大阪)06
③茅原悠紀(岡山)05
④毒島 誠(群馬)08
⑤今村 豊(山口)10
⑥吉田俊彦(兵庫)12
茅原時代の到来だ!! 下関水面に、今日もまた凄まじい全速ツケマイの轟音が響き渡った。まず、インの智也に鈴を付けに行ったのは、2コースの石野だった。石野は2着以内=優出で賞金ランク18位以内が内定する。大敗もある2コース差しより、伸びなりに智也の上を叩こうとした。が、内からぐいぐい伸び返して、智也がこの猛攻を受け止めきった。
そう思った瞬間だ。ハッと外を見ると、もう赤いカポックが智也の真横を凄まじいスピードで通り抜けていた。今節、何度も茅原の驚くべき全速マイを見てきたが、今日のソレも目を疑うほど速かった。わずか3秒ほどで、5艇身差。やまと学校の頃から「ターンスピードはケタ違い」と謳われた茅原だが、いまやSGの準優でも桁違いの早さ&速さを誇る男に成長した。あのダービーの猛追は、フロックではなかった。
2着争いは吉田俊彦VS毒島のデッドヒートに智也も加わり、互いに水しぶきを浴びあうデッドヒートになった。最後に笑ったのは俊彦。一度は毒島に抜かれながら、しぶとく食い下がって再逆転した粘り腰は見事だった。グランプリ当確組より、一発勝負に賭ける根性が上回ったか。
1着・茅原、2着・俊彦。
「これが私にとって最後の下関SGになると思う」と並々ならぬ気合で臨んだミスター今村は、展開を突けずに6着に敗れ去った。
第2ステージ突破
11R
①濱野谷憲吾(東京)07
②菊地孝平(静岡) 11
③松井 繁(大阪) 15
④深川真二(佐賀) 22
⑤赤岩善生(愛知) 10
⑥白井英治(山口) 03
地元・平和島のグランプリへ、憲吾が順当に第二関門を通過した。インコースからのスタートはコンマ07。「菊地より早いスタートはウルトラデンジャー」が選手間の定説だが、委細構わずゼロ台まで踏み込んだ。こうなれば、今節は負ける憲吾ではない。菊地を壁にしてあっさり逃げきり、優勝戦の1号艇か2号艇を自力で手繰り寄せた。
残すは最終関門のみ。ここまで大健闘の憲吾だが、明日、頑張らなければ(1着確定、2着でも有望)今日までの5日間は意味のない徒労、無駄骨なのだ。できればスカッと勝ちきって超久々のSG制覇&黄金のグランプリチケットを手にしたい。だかしかし、インに立ちはだかる相手は、浪花のモンスター。東京在住の一ファンからすれば、痺れるようなファイナルバトルになった。
2着は今年の第一人者・菊地。赤岩の怒涛のまくりをガッチリ受け止めて、当たり前のように優出のキップを手にしてしまった。今年の菊地はスタートのみならず、実戦での判断も抜群に安定している。パワーは良くて中堅上位までと見ているのだが、4カドからいつでもゼロ台全速が行ける男は、やはり脅威だ。
地元の白井はコンマ03まで踏み込んで絶好の展開に見えたのだが……まくり差しにいつものキレがなかった。パワー負けか、判断ミスだったか。ミスターに続き、弟子も敗れ去った。
怪物の舞い
12R
①太田和美(大阪) 16
②井口佳典(三重) 19
③今垣光太郎(福井)12
④田中信一郎(大阪)11
⑤寺田 祥(山口) 09
⑥石渡鉄兵(東京) 11
レースを盛り上げたのは、やっぱり光太郎だった。平常心の3カド攻撃。スタート展示はありきたりのスロー3コースだったが、もう本番の光ちゃんときたら、ホーム水面に入った瞬間からソワソワと後ろを見やり、4コースの信一郎が動く前に艇を引っ張ろうとしていた。どこが平常心やねーーん??とツッコミたくなるほど挙動不審だったな(笑)。
お、やっぱ引くんか。ほな、行ったってや。
その怪しい動きを見た信一郎は、そんな感じですぐに艇を引いた。10Rの石野同様、信一郎も2着=優出でグランプリ内定の出る身の上。3カドの光ちゃんが暴れてくれれば絶好の展開が生まれやすい。頼むぞ、光太郎! といったところか。勇躍、光太郎は凄まじい勢いでスリットに向かったが、おそらくその50mほど手前でアジャストしたと思う。スリット付近で思ったほど伸びないうちに、井口と太田にするすると伸び返された。まくり不発。すかさず太田が1マークを回る。64号機が唸る。あっという間に他艇を突き放す。3カドの奇襲にも慌てず騒がず、全速1艇身のスタートからきっちり逃げきった。怪物×怪物の方程式は、今日も狂うことなく正確な答を弾き出した。
2着争いは、あわや大外からブイ差しの鉄兵か??とも見えたのだが、井口が的確に捌いて順当に2番手を獲りきった。前検からトップ級の伸びを誇っていていた井口は、優勝戦での外枠でこそ面白い。ただ、日に日に自慢の伸び足が垂れている感もあり、今日のままの伸び(上々ではある)では、太田や憲吾を超えるのは難しいだろう。私が言わずとも、おそらく明日の井口はこの伸び足だけを強化すると思うし、そうであってほしい。
地元の寺ショーは唯一のゼロ台スタートで攻めたが、6着大敗。私が初日から応援してきた長州三羽烏は、枕を並べて討ち死にした。残念!
グランプリの行方
さてさて、次はグランプリ18人を巡る戦いである。準優を終えて16位の桐生順平に当確ランプが点り、明日は残る2議席を決める戦いとなった。これが、恐ろしく複雑なことになっている。関連する選手を記しておこう。
17位 田村隆信 4985万…明日次第
18位 吉川元浩…4944万…ほぼ脱落
――――
19位 石野貴之 4908万…明日次第
20位 田中信一郎4885万…明日次第
30位 吉田俊彦 4348万…優勝戦1・2着で確定、3着以下アウト
31位 濱野谷憲吾4243万…優勝で確定、2着有力、3着以下アウト
こんな塩梅なのだが、特に「明日次第」という部分がややこしい。吉川は石野が2走を無事故完走した時点で抜かれるので、ほぼ脱落と考える。で、田村、石野、田中がすべて無事故完走したときのMAXとMINの範囲を記しておくと
MAX MIN
田村隆信(6Rのみ) 5002 4991
石野貴之(2R8R) 5045 4949
田中信一郎(3R8R)5022 4926
この範囲の中でどれだけ稼ぐかで、とりあえずこの3人の順列が決まる。田村はとにかく1円でも賞金を加算して、8R石野&田中の特別選抜B戦と優勝戦の結果を待つのみ。石野と田中はB戦の直接対決も含めて、この3人対決のトップに立つことがかなり重要だ。ちなみに石野は明日1・1着なら、優勝戦で「濱野谷1着、吉田俊彦2着」にならない限りグランプリ進出となる。この争いについては、明日の当該レースの結果を踏まえて、6R後と8R後あたりに速報として状況をお伝えしたい。
で、優出組では吉田俊彦は1・2着なら確定、憲吾の場合は1着確定&2着の場合は「石野が1・1着で、しかも吉田俊彦が優勝」という要素が重ならない限り確定となる。
クイーンズクライマックスの行方
一方、女子の賞金ランク12位争いは、9位・小野生奈、10位・海野ゆかり、11位・岸恵子に当確ランプが点った。つまり、最後の1議席を争う戦いなのだが、これまたちょっと複雑ではあるな。可能性があるのは、3選手だ。今日までの賞金と明日のMAX、MINを記しておこう。
12位・高橋淳美 2380 MAX2404 MIN2383
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14位・守屋美穂 2297 MAX2697 MIN2375
21位・向井美鈴 2017 優勝2417
それぞれの選手の状況は
★高橋…とにかく2走で賞金を加算し優勝戦を待つのみ。
★守屋…ただひとり自力当確がある。優勝戦3着以内で確定、4着なら「向井優勝」以外確定、5着は「向井優勝」以外で高橋との賞金勝負、6着は高橋を超えないのでアウト。
★向井…優勝&「守屋4着以下」で確定。
体感温度としては、守屋絶対有利ではあるな。こちらも明日の高橋の結果を踏まえて、8R後あたりに男子とともにお伝えしたい。
(photos/シギー中尾、text/畠山)