BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

トライアル第2戦ダイジェスト

 

“節イチ”の弱点

 

11R 進入順

①小野生奈(福岡)10

②日高逸子(福岡)15

⑤永井聖美(愛知)20

⑥守屋美穂(岡山)22

③水口由紀(滋賀)27

④平高奈菜(香川)27

 

 ファンファーレと同時にスタンドがどよめいた。永井聖美がピットから脱兎の如く飛び出したのだ。

 まさか、インまで!?

 という勢いだったが、さすがに届かず3コースまで。さらに、顔に似合わず勝負に辛い?守屋美穂がしっかり連動して4コースに潜り込んだ。守屋にとって、この4コースは僥倖だったと思う。押し出された水口由紀はスローの5コース。同じく外に弾かれた平高奈菜は、颯爽と艇を引いて単騎がましに構えた。が、今日の「1-2水面」での6コースは、さすがに遠かったか。

 

f:id:boatrace-g-report:20171218132641j:plain

 小野生奈、やはり大物である。このもつれた待機行動にも動じることなく、インからコンマ10のトップスタートを決めた。続く2コースの日高逸子がコンマ15で、外の4艇はすべてコンマ20台。「外からは何にも来ない」という隊形で踊るように1マークを旋回し、アッと言う間に独走態勢に持ち込んだ。必勝の隊形だったとは言え、この勝ちっぷりは強い。

 

f:id:boatrace-g-report:20171218132652j:plain

 熾烈を極めたのが2着争いだ。日高が差して外を突き放すかと思いきや、生奈の引き波を超えるのにやや苦労した。軽々超えると思っていたので、これは意外な発見だ。日高がもたつく間に、外からぶん回した永井が襲い掛かる。一気に抜くか、という勢いだったが、そこから日高の69号機が火を噴いた。出足~行き足、自慢の中間速パワー。舳先を並べたまま抜かせず、しっかり面倒を見てから永井を置き去りにした。

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171218132704j:plain

 が、まだ2着は決まらない。一の矢・永井に代わって、ニの矢が飛んできた。昨日同様、バックで最内から妖しく伸びる守屋だ。2マークで日高の前を横切り、3番手を確保する。日高との差は1艇身。そこから全速全速の握りマイで日高に迫ったが、猛追も一歩及ばなかった。

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171218132717j:plain

3周に渡って一の矢、二の矢を交わし続けたグレートマザー53歳、さぞや疲れ果てたことだろう(笑)。ただ、ふたりの後輩のスピードターンを完封した足色には、見た目以上の余裕を感じさせた。やはり、出足~行き足にかけてのパワーは節イチ級だと思う。唯一の課題は、「引き波を超えて行くレース足」か。明日はいよいよ平山智加との直接対決で、同じく2号艇。今日のままの足では強い追い風などにならない限り、最大のライバルを差しきるのは難しいだろう。

 

鎌倉の進化

 

12R

①平山智加(香川) 10

②寺田千恵(岡山) 16

③海野ゆかり(広島)09

④岸 恵子(徳島) 11

⑤鎌倉 涼(大阪) 09

⑥三浦永理(静岡) 09

 

 昨日のコンマ07に続いて、今日はコンマ10。文句の付けようのないスタートで、今日も平山智加がインから押し切った。ただ、今日の勝利はギリギリのイン逃げだった。この不動の本命に鈴を付けに行ったのは、昨日の惨事を引き起こした海野ゆかりだ。智加よりも早いコンマ09から、満を持してまくり差しのハンドルを入れた。2本の引き波を超えて、ギュッと加速する。さすが評判機、この引き波を超えるパワーは11Rの日高よりも強いと見た。

 

f:id:boatrace-g-report:20171218132736j:plain

 逃げる智加と追う海野。バック中間までに、2艇の差がジワジワ縮まってゆく。おそらく、前検で智加が首を捻っていたのはこの部分の足だろう。中間速は明らかに海野に分があった。が、その部分を乗り切ってしまえば、今度は智加が強い。一瞬だけ内に掛かった海野の舳先を、強烈な伸びで突き放した。薄氷のイン逃げではあったが、ここまで来ればあとは一人旅だ。

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171218132749j:plain

 2番手をガッチリ海野が獲りきり、そこからかなり千切れて寺田千恵、三浦永理、鎌倉涼の順で続く。2連単の1-3を買っていた人は、もはや安全圏とほくそ笑んだことだろう。だがしかし、ひとりのレーサーが空恐ろしいミラクルをやらかした。5番手を追走していた鎌倉涼。まずは2周1マーク、鎌倉は外から外へ、大きな半円を描いてぶん回した。このターン一発で、寺田と三浦を瞬時に千切り捨てた。前を行く海野との差は3艇身。2周2マークもぶん回して、その差は2艇身。そして3周1マーク、再び大きな流線型を描いたモンキーターンは、海野を軽々と捕えていた。ありえない大逆転。

 茅原か!!??

 悠々2番手を走る鎌倉を見ながら、私は心の中でこう呟いた。そのターンは、確かに最近の茅原悠紀のそれに似ていた。

「やっぱエンジンがええんやなぁ」

「そら、あのエンジンやでぇ」

 レース後、隣のオッサンたちがこんな言葉を交わした。それは違う。パワーじゃなく、ターンだ。茅原と同じかどうかはわからんが、あえてサイドを掛けず、遠心力と慣性の法則に逆らわず、流れるように同心円を描くそのターンは、茅原のそれに酷似している。

 

f:id:boatrace-g-report:20171218132809j:plain

 ニュージェネレーション・ターン!?

 平和島グランプリで確信した新時代の到来を、この住之江でも再確認した気分だった。正直、女子レーサーではまだまだありえないと思っていたのだが……。このクイクラでの大きな楽しみが、またひとつ増えた。明日以降、鎌倉涼がどんなターンを魅せてくれるのか。おそらく、本人にとってはまだ完璧にマスターしたものではなく、非常にリスキーなターンでもあるだろう。事実、1周2マークで鎌倉はソレを繰り出そうとして、あさっての方向にぶん流れてもいる。今は両刃の剣とも言うべきターンだと思うのだが、その危険な宝刀を抜くや抜かざるや。平山VS日高の直接対決と同じくらい、“その瞬間”を楽しみに待ちたい。(photos/シギー中尾、text/畠山)