BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@シリーズ――来年への力強すぎる足掛かり!

 

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 オールレディースのピット取材というのをしたことがないので、これが「いつものGⅢ」と書くわけにはいかない。だが、やはりGⅠやSGとは空気が違う。レース後の様子を一言で言うと、そういうことになる。敗者たちの表情は、その数十分後の敗者たちと比べれば、どこか淡々としていると感じざるをえない。

 もちろん、それぞれに悔恨のかけらは見えた。宇野弥生がモーター返納に向かう顔つきが、ほぼ無表情であったこと。露骨に顔をしかめたりはしないが、しかし無表情の奥には抑え込んだ感情がある、はずである。2着の岸恵子にしても、2着で満足などということはありえない。ピットに戻ってきた直後の表情はどこか引きつって見えたし、腹の底に悔しさがあるだろうことは推察できた。

 それでも、やはり淡々と見えた敗者たちの様子。もしかしたら、平山智加にほとんど何もさせてもらえなかったことが、惜しかったぁ~、とか、やるだけやったという思いとか、そういうものを奪い去ってしまったのだろうか。

 

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 やはり平山智加は強かった! トップスタートを決めて、文句なしの快勝である。実に順当な結末。空は青いですかと聞かれて、もちろん青いですと答えるかのような、実力者の勝利。平山智加はここでは役者が違ったのだと、そう書くしかないような勝利だったと思う。

 簡単に勝ったわけではないはずではある。シリーズの優勝など嬉しくもない、なんてこともない。ボートリフトに乗ってヘルメットを脱いだ平山は爽快に微笑んでいたし、山川美由紀や柳澤千春らの出迎えにも、弾ける笑顔で応えていた。舞台がどうであれ、優勝はやはり嬉しい! 優勝戦1号艇はやっぱり緊張するし、それを克服して勝てればとことん嬉しいのである。そう、レース後の笑顔は、平山が全力で戦い、心から勝利を欲していたという証し。順当な結果と評価するのはあくまでもこちらの話であって、平山自身は心をこめて勝ちにいったわけである。

 

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 平山にとっては、今年はやはり不本意な年だったと思う。クイーンズクライマックス出場をノルマにしてもおかしくない存在なのだから、そこに届かなかったことには忸怩たるものがあるはずだ。そうした1年をきっちりと優勝で締めた平山は、やはり“持っている”と言うしかない。大晦日の優勝はこれが初めてではなくて、12年も優勝している。平山はこの年、それまでに15回も優出しながら優勝を逃し続け(1号艇優出のレディチャンも含む)、大晦日にようやくその年の初Vを果たした。悔しさばかりを味わった1年の大晦日に結果を出したのである。その翌年がどうだったかといえば、1月に尼崎周年を制し、12月にクイクラを制した。13年を平山智加の年にしたのである。

 そう、この大晦日Vは、来年への力強い足がかりである。来年はまず間違いなく、12人に残っているはずだと確信する。今日の優勝は、いわば来年の活躍への布石。今日の強い平山が、2016年はさらに上の舞台で発揮されると信じつつ、あの笑顔を脳裏に焼き付けておこう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)