西島義則がいい笑顔を見せていた。1R、6号艇4コースから、笠原亮を止めて内を叩き、吉田拡郎を行かせてのまくり差し。2着ではあったが、進入からさまざまな仕事をやってのけての上位入線に、気分は上々のようだった。
エンジン吊りをしながら、山口剛も笑顔で返す。辻栄蔵はにこにことやり取りを聞いている。広島勢が先輩の快走に相好を崩した瞬間だ。それにしても、西島のこの笑顔は久しぶりに見たような気がする。マスターズはひたすら気合の塊だったし、今節も昨日までは同じ様子だった。そんななかでも笑顔を炸裂させたくなる、そんなレースだったということだろう。
勝った笠原亮は、完全に心を弾ませていた。
「つながった!」
初日は5着と転覆。転覆は選手責任外ではあったが、初日を終えてたった2点しか獲得できない状況に、あきらめ半分といった心持だったようだ。この1着で得点率は4・00まで上昇。残り3走で24点(ボーダー6・00として)を獲らなければならないから、厳しい状況には違いないが、しかし可能性がぐんと広がったことを笠原は喜んでいる。
足も、転覆整備をして良くなっているようだ。それがまた笠原の心を弾ませる。乗ったら強い男だけに、ここから一気の巻き返しに出る可能性は充分にありそうだ。
2R、茅原悠紀も爽快に笑顔を見せていた。2コースからまくり切っての1着。力強いレースだった。快勝後の表情は、やっぱり清々しい。エンジン吊り後に、吉田拡郎とともに寺田千恵を囲む。女子戦でよく見る“岡山会議”がここでも!? 茅原が一言寺田に声をかけると、キャハッと寺田が笑う。吉田も笑って、茅原の笑顔はさらに深くなった。会話の内容はまるで聞こえなかったが、楽しそうな話であったのは間違いない。
2着の菊地孝平は、かなり大声で服部幸男に話しかけていた。ヘルメットをかぶっているので自然と声が大きくなった? ターン回りとかの言葉が聞こえてくるので、レースの回顧なのであろう。ただ、聞いている服部が実にニコニコとしているのだ。うんうんとうなずきながら、どんどんと笑顔になっていく。よく見ると、坪井康晴もニコニコと笑っており、もしかして菊地は2着に敗れた愚痴をこぼしていた? 後半は6号艇だけど、心の底からの笑顔を!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)