BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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尼崎オールスターTOPICS 2日目

イン地獄のち天国

 

 BOATBoy誌の6月号に「尼崎水面は前半が荒れやすいから、穴党は早起きしなさい」みたいなことを書いた。オカルトでもなんでもなく、直近1年のイン1着率は1~6Rが46%で、7~12Rが64%。前後半で18%も差があるボート場は、尼崎くらいなのである。今日は、まさにその傾向がまんま水面に投影された。

 

 

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 まず、1Rが365で約200倍。笠原亮の伝家の宝刀・5コースまくり差しが炸裂したのだが、立役者は6号艇の西島義則だろう。前付けの4コースからスタートを決め、笠原にせっつかれる形で内の艇を絞り込んだ。そのまま「まくるぞ」と見せかけて、西島&笠原のWまくり差し決着。西島のまくりを警戒したインの吉田拡郎は大外に流れ、なす術なく大敗した。

 

 

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 続く2Rのイン日高逸子も、茅原悠紀のジカまくりを浴びて大敗(234は1番人気ではあった)。3Rでは、ここ半年のインコース31戦28勝という安定感を誇る山口剛までが、下條雄太郎のまくり差しに屈して5着惨敗。4Rの原田幸哉も桐生順平&服部幸男のWズブ差しを喰って3着に敗れ去った。服部11号機はやはり軽快。突き抜けるほどの破壊力はなかったが、全部の足が強めで並んだら抜かせない安定感があった。後半11Rも3着にまとめて123で節間8・00。この勢いなら準優の好枠をゲットできるだろう。

 

 

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 イン受難は5Rになっても終わらない。重成一人がきっちり逃げきったかと思った瞬間、遠藤エミの高速2コース差しが突き刺さった。213決着は裏目千両の140倍! 「尼崎は2コースが鬼門」というイメージがあるが、それは年間を通じて強めの向かい風が吹き荒れるから(24場でいちばん多い)で、今日のようなほぼ無風の静水面なら2コースも普通に活躍する。エミちゃんにとっては、ラッキーな2号艇だったと言えるだろう。この貴重な1勝で、節間成績6・67。すでに5・6号艇を消化しているエミちゃんだけに、予選突破の可能性はグッと高まった。本人も、「今節こそは!」と気合を入れなおしたことだろう。

 前半最後の6R、波乱を演出したのはまたしても西島義則。しかも、今度は4号艇から有無を言わさぬイン奪取だ。「もしかして、西島が逃げきってインコースの連敗を止めるのか!?」と思ったものだが、2着止まり。地元で気合パンパンの吉川元浩が凄まじいまくり差しを決めて、220倍の大穴となった。インの強い尼崎で、まさかまさかのイン6連敗!!「前半は荒れやすい」と予告はしていたが、これほど極端な結果が生じるとは……。

 

 

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 そして、後半。それまでの波乱が嘘のように、尼崎水面はイン選手を手厚くもてなした。7Rの湯川浩司から12Rの松井繁まで、6戦5勝2着1回。準パーフェクトの成績で、それなりにしっかり帳尻を合わせたのだった。まあ、結果としては、私の予告した通り。で、今日の私の立ち回りはといえば「前半は裏や抜けを食らい続けて丸坊主。完全にヒートアップしてしまい、後半もインを蹴飛ばし続けた上に投資金額もアップして自滅、轟沈」という愚かな失態を演じてしまったのだった。バカすぎる。

 天気予報を見ると、明日も尼崎水面は今日と似たような環境になりそうとのこと。穴党の読者はしっかり早起きして、前半戦のうちにケリを付けていただきたい(笑)。

 さて、そんなトホホな2日目を過ごしているうちに、V戦線の輪郭が少しずつ見えてきた。パワー番付は坪井康晴、服部、茅原、峰竜太の順で、これはそのままV候補。予選トップに立った峰は外枠を残しているが、リズム&レースっぷりが文句なし。そのあたりは篠崎元志も同じだ。気迫という点では、3年ぶりにSG復帰した西島がトップ級か。ピットアウトから闘魂むき出しで222着=8・00は流石の一語。足的には上の下あたりで、このまま準優まで2着を揃えそうな気もするな(笑)。

 

 

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 もっとも不気味なのは桐生順平で、こと伸び足に関しては節イチ級(レースではあまり目立たないが展示タイムが毎度抜けている)。この伸び足が生きる展開になれば、アウトからでも一撃がありえる。そして、尼名物の向かい風が強くなればなるほど、その可能性は高まる。以上の6選手が、現状の私のTOP6だ。

 王者・松井繁&投票1位・山崎智也ももちろんV候補から外すわけにはいかないが、パワー的に劣勢なのがかなり気になるところだ。期待している太田7号機は、今日はまったく気候に合っていなかった、と思う。白井英治の大敗も、なんだか1号機の底力のなさを露呈したようで、ちょっと気になるなぁ。明日以降の巻き返しに期待する。(photos/シギー中尾、text/畠山)