BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――とことん頑張る!

 

 

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 今日も10Rが終わるとピットは一気に閑散としたのだが、ペラ室や整備室にはちらほらと選手の姿が見えた。

 たとえば、西山貴浩。今日は1R1回乗りで、午前11時前からたっぷりと時間は残されていた。それでもまあ、1便バスで帰ってもよさそうなものだが、11R発売中にもペラ室にこもり、黙々と調整を続けていた。つまり、5時間ほども調整を続けたことになる。ここまでの成績はゴンロクで、モーターはまったく言うことを聞いてくれない模様(出足が弱いようだ)。ひょうきん者だが、レースに対しては真面目な西山だから、諦めることなく、逆襲を期して、調整の手は抜かないのである。

 

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 同じく1R1回乗りの笠原亮も、1便バスには乗らずに居残りペラ調整を続けていた。1Rは1着だったわけだが、昨日の9Rに転覆して転覆整備を行ない、今日は1Rに出走。モーター整備自体は間に合った、というか、むしろパワーアップに転じたようだが、プロペラを自分の形に調整しきれずにレースに向かわなければならなかった。というわけで、レース後に残された時間にペラと向き合い続けたわけである。本来なら1Rに組まれたのはアンラッキーな面もあったわけだが、1着を獲れたとなれば、その後に調整時間を確保できたわけだから、かえってラッキーだったかも。そして、1Rで手応えを得た笠原は、「この後は良くなっていく一方です」と強気な言葉も発している。

 

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しレース後はひたすらペラ室にこもっている。エンジン吊りには顔を見せるが、それ以外で菊地の姿を装着場で見ることはなかった。必死なのだ。

 成績自体はまとまっていると言っていい。2日目終了時点で11位は、6号艇を消化したわけだから、上々と言ってもよい。ただ、わずかながら装着場で見られた菊地の様子を見るに、いまだ調整途上だと思われる。一人でいるときには、ひたすら考え込んでいるのだ。聡明な菊地がコンピュータをフル稼働させている状態だ。調整の方向性を脳内で模索しているとしか思えない。菊地がどんな解答を導き出すのか楽しみだ。

 

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 整備室には新田雄史の姿があった。新田は朝も、ここにいた。そのときは本体整備をしており、今度はギアケースの調整をしていた。本体から外回りまで、一日かけてひと通り確認し、手を加えたわけだ。調整を終えたのは、12R発売中。時間を完全に使い切っての調整だった、というところだろう。ここまで5着2本、今日の仕事の成果が逆襲へとつながるだろうか。明日の4R6号艇は正念場である。

 

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 レースを終えた選手ではないが、やはり時間をかなり使って調整していたのは毒島誠である。11R発売中、他の12R出走選手がボートを展示ピットに移動してもなお、毒島のボートは試運転用の係留所に残っていたのだ。毒島がようやく調整を終えてペラを装着し、展示ピットへと動いたのは締切10分前ほどのことだったか。まさにギリギリまで妥協なく頑張っていたのである。

 それだけに、12Rの転覆は残念だった。妨害失格をとられたうえに、負傷による途中帰郷となってしまった。頭部を打ったようで、自力歩行でレスキューを降りたものの、その後は脇を抱えられて医務室に向かっている。脳震盪により、大事をとっての処置のようだ。努力は必ず結果につながるとは限らないが、しかし最悪の事態となるのを見るのはせつないもの。まずはしっかり療養し、また万全で戦いの舞台に戻ってきてほしい。そして、次こそ努力を成果につなげてほしい。毒島を得票2位に押し上げたファンの方たちも、それをきっと願っている。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)