1R、上平真二がまくり快勝! 昨日は1号艇、2号艇で独占していた勝ち星が、2日目初戦にして他の艇番に渡った。豪快な一撃での勝利は価値が高い! 大きい配当を叩き出したことも含めて。
それにしても、上平の雰囲気には波がない。淡々という言葉では軽すぎるほど、勝っても負けても、変わらない。1着選手はJLCの勝利者インタビューに呼ばれ、ブースに向かう姿にはやはりそれなりの勝者らしさが見えるものだが、SGジャンバーに着替えを終えてあらわれた上平は、インタビューではなくプロペラ調整にでも向かうような風情に見えた。派手さはないが、実力確か。職人のような頼もしさを感じさせる上平である。
2Rを勝った秋山直之も、ピットではあまり目立った動きを見せない人である。オールスターにも選ばれるように人気は高いし、レースはスピード豊かで豪快、しかし陸で見せる姿にはギャップがある。秋山ファンの方は、当欄にあまり秋山が登場しないことを訝しく思っていたりするかもしれないが、ようするに特別に目を惹くようなアクションをピットではあまり見せない人なのである。強引に取り上げるとするなら、毎度毎度、「淡々と作業していた」とか書くことになるだろう。
だから今日の勝利後も、歓喜を見せるでもなく、表情を特に変えることなく、その後のルーティンをこなしていく。こうして平常心を保っていくことで、水面で見せるパフォーマンスのための準備を積み上げていく、ということだろうか。上々の序盤2走となったが、この後も引き続き、秋山らしく戦っていくだろう。
三嶌誠司もまた、ピットでは粛々淡々と作業をこなしていくタイプだ。SGを獲り、グランプリにも出場した10年前などは、もっと派手な動きをしていたような印象があるが、来年マスターズデビューとなる年齢にもなって、いぶし銀の雰囲気が醸し出されるようになっているということか。ワタシは同い年ですが、あんまり粛々するほうじゃないな、うん……。もっとも三嶌の場合は、作業などを終えてリラックスしたタイミングなどでは、明るい笑顔を見せてくれる。20年ほども前、開会式を沸かすエンターテイナーだった三嶌だが、その頃を思い出させる陽気さが顔をのぞかせる。「クロちゃん、俺らはレース始まればアルコール抜けるけど、クロちゃんは呑みすぎたらアカンで~」みたいな。ああ、俺ってほんと落ち着きのないおっさんなんだなあ……ってのはともかく、いつも気遣ってくれる三嶌さんには感謝しております!
さて、SG2節目の久田敏之。初出場のダービーでは準優進出、今節もここまで2着3着と上々の走りを見せている。この人も決して派手な存在ではないが、SGでも戦える力があるのは間違いないし、実際それを証明しているとも言える。ここからが華やかな同期=たけし軍団や後輩=毒島誠らに負けない活躍を見せるべき時だ。
その久田が、係留所で山崎智也とかなり長いこと話し込んでいた。なぜかふたりとも正座で。智也と接する機会はもちろん山ほどあっただろうが、この大舞台で絡むことはまた違った意味があるはずだ。目の前の最高峰決戦を戦う先輩の姿を見ることは、きっと久田にさらなるパワーを与えるだろう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)