ピンラッシュならぬ敏ラッシュ!………………などと書いていたら、松村敏の連勝が止まってしまった。前半3コースからのまくりで今節無傷の3連勝。11Rは得意の4コースとあって、カド一撃が充分にあるかと思われたが、結果不発で6着大敗。松村は前走地の芦屋で後半6連勝で優勝しており、つまり前半まで9連勝だったのだが、2ケタに乗せることができなかった。まさにビンラッシュがストップしたのであった。
松村のスタートタイミングはコンマ04。ひとつ内の篠崎元志がコンマ12だから、スリットでは松村が半艇身のぞいていた。ところが1マークまでに完全に舳先は並んでいる。
「めっちゃ放ったでしょ!」
レース後、歩み寄った松村に元志が笑いながらそう問いかける。松村がうなずくと、瓜生正義や平田忠則が大笑いしていた。松村も連勝を意識していたのだろうか。つい早く仕掛けてしまい、しかし放らねばならなくなって、差し回っての大敗。そんな松村をおかしそうに見つめる先輩たちに、松村自身はただただ力なくうつむくのみなのであった。まあ、これで少しは肩の荷も下りたはず。また一からビンラッシュを目指せ!
8Rで松本晶恵が転覆。選手責任でマイナス5点となっている。ひとまずケガはなく、エンジン吊りが行なわれている間にレスキューで戻ってきて、他の5選手に頭を下げて回っていた。その後は転覆整備が始まるわけだが、これを積極的にヘルプしていたのが海野ゆかりだ。同支部、同地区の選手がヘルプするのが通例だが、山崎智也と毒島誠は直後にレースを控えており、桐生順平も最終Rに登場と、関東勢が多忙であった(というか、埼玉と東京が一人ずつなのか……)。それもあってか、女子選手仲間の海野が駆けつけて飯山泰らとともに松本の面倒を見ることと相成った次第で、松本も同性の先輩の存在を頼もしく感じているようだった。
先の宮島レディースオールスターも含め、海野と松本の絡みはあまり見た記憶がない。地区と世代を考えればそれが自然なことで、しかしSGの舞台ではやはり仲間意識も強くなろう。整備が終わると、海野が笑顔で松本の肩をポン。そのひと叩きが、松本の気持ちを楽にさせたのは間違いないと思う。
もう一人の女子選手、長嶋万記は10R4着。長嶋の4着は1月20日、丸亀ヴィーナスシリーズ初日12R以来である。その間は、というと、これがなんとオール3連対! すげー。今節以外はすべて女子戦ではあるものの、しかしSGでも前走までは舟券絡み(というか3連続2着)を続けていたのだから、とてつもないリズムの良さだ。このレースでも3番手を走っており、競り負けたかたちでの4着。さすがに女子戦のようにはいかない道中戦で、連続3連対がストップしたという次第だ。
3番手争いに絡む形となっていたのが赤岩善生。3周1マークで赤岩が内から仕掛けていった際、これを意識したかやや寄りすぎになって減速&流れ気味になったところを差されて4番手に後退した長嶋だった。3周2マークでは、両者の艇が接触してもいる。まさにSGの洗礼を赤岩に浴びたということになるだろう。その後、二人は肩を並べて笑顔で会話を交わすシーンがあった。接触した件に関してはもちろん遺恨は皆無。長嶋がうなずく回数が多かったところを見ると、赤岩セミナーみたいなものが“開講”されていたのだろう。最後に赤岩が長嶋の背中をポン。そのひと叩きが、長嶋をまたひとつステップアップさせたことだろう。
さてさて、本日水神祭の江夏満はとっても人気者で、九州の後輩たちは江夏Tシャツを嬉しがって着ているし、他の支部の選手でも江夏に絡んでいく選手は少なくない。なかでも、太田和美の江夏ラブっぷりといったら! とにかくもう、なんだかんだで江夏に絡みまくり。エンジン吊りを待つ江夏を見つけると、後ろからシャツの襟口をつかんで持ち上げようとしたり、江夏がモーター格納をしている間ずっとつきっきりで話しかけたり、いちどは控室に戻りかけたのにまた戻って話しかけたりと、とっても仲良しなのだ。江夏の人柄もよく伝わる光景だし、何より太田さんの笑顔が最高です! 今節は福岡勢も大挙参戦しているし、他支部の大先輩もイジってくれるし、江夏はSG初出場の気後れみたいなものは何もないんだろうなあ。さあ、明日は勝負駆けだ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)