BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――6号艇の会心

 

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 1Rで吉田一郎がフライングを切ってしまった。ピットに一人で真っ先に帰ってくる姿を見るのは、何度見てもつらいもの。3日目までの成績が悪くなかっただけに、なお痛々しさを感じずにはいられない。吉田はもちろん無念の表情。着替えを終えてふたたび装着場に戻ってきたときも、顔がやや引きつっているように見えた。

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 レース後、日高逸子がやけに甲高い声をあげていた。ボートリフトで陸に上がりながら長溝一生に何かをまくし立てている。長溝はにっこりとうなずきながら、それを聞いていた。エンジン吊りが終わると、垣内清美、谷川里江との“女子会”でまたまた大騒ぎ。ようするに、自分もフライングではないかと焦った、ということのようだ。日高のスタートタイミングはコンマ02。早いというのは感じていただろうから、スタート判定中が見えたときには自分を疑ったわけだ。ギリギリ生き残ってホッと一息、ということで、テンションが上がったのだろう。グレートマザー、良かったっすね!

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 このレースを勝ったのは藤丸光一だ。決まり手は恵まれながら、5コーススローから抜け出した走りっぷりはさすがであった。Fが出たレースということもあって、レース直後は淡々とした様子だったが、北川幸典に祝福されると破顔一笑。どんな形であれ、勝利の価値は重たいものだ。しかも、1着条件の勝負駆けを6号艇でクリアしたのだから、会心の勝利に決まっている。

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 今日の前半は、1~3Rがすべて6号艇の勝利という珍しい流れになった。もっとも、藤丸、西島義則、今村豊なのだから、それほど異常事態というわけではないが。2Rの西島は4コーススローからまくり一撃。まだ準優当確とはいかないが、転覆の分を見事に巻き返していると言っていい。西島も、レース後はニコニコ。新良一規がずっと話しかけていて、西島はそれに笑顔で応えていた。やはり会心の勝利!

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 艇界を代表するイン屋が外枠という厳しい1号艇を2着に残した丸尾義孝には、山室展弘が寄り添って祝福した。レース前にもこの二人は絡んでいて、そのときは山室が丸尾をからかったらしい。丸尾が山室の腰を抱いて、「先輩、勘弁してくださいよ」ってな感じのアクションをしていたのだ。レース後は、健闘を称えたのだろう。山室に話しかけられて、丸尾も満足そうに微笑んでいた。

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 さてさて、今日も朝から試運転に励んでいる選手が多く、特に目立ったのは市川哲也だ。3R出走ということもあって、調整と試運転の繰り返しにとにかく忙しそう。試運転は、展示航走が終わり、しばらくしてから許可が出る。どのピットも緑のランプが点滅したら、走り出してOKの合図。赤のランプが点滅したら試運転タイム終了で、ピットに戻らなければならないわけだ。市川は、エンジン吊りが終わると速攻で係留所に降りていき、ヘルメットとカポックを装着。そして、ボートに乗ってすぐにエンジンを始動した。もう、緑のランプがつくのが待ち切れない、という感じに、ランプをじっと見つめているのだ。緑ランプがついたら、即座にGO! その素早さに、レースへの、あるいはパワーアップへの執念を感じた次第である。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)