気の持ちようかもしれないが、グランプリ組に比べると、シリーズファイナリストたちからは、サバサバした印象を受けた。今回の優出メンバーは、みなSG優勝経験のあるレーサーばかり。ただあまり笑顔は少なく、今なすべきことを淡々とこなしていた。
トライアル1st敗退からシリーズ優勝戦に回ったのが田中信一郎、前本泰和、深川真二の3人。
田中信一郎はいつものごとく、力強い表情でピットを闊歩している。10時25分ごろ、石野貴之と木下翔太がいる喫煙室に入ったとき、一瞬だけ表情は緩んだのが印象的だった。グランプリは惜しくもトライアルに散ったが、目の前のチャンスを生かすべく田中は邁進。地元の期待に応える競走を期待したい。
記者や選手たちと話をしている姿をよく見かけたのが深川真二。コースに関して聞かれているようだったが、本人も出たとこ勝負といった感じだ。「目の前のレースを勝つだけ」がモットーの深川。もともとが引き締まった男っぽい顔つきということもあるが、緊張などは微塵も感じなかった。
早い時間からペラを叩いていたのが前本泰和。こちらはいつもどおりの飄々とした雰囲気で、ペラ室とピットを往復。13年のシリーズファイナルは1号艇で制したが、今回は4号艇。深川の前づけにどう対応するか試案のしどころだろう。
シリーズの予選を勝ち上がってきたのが新田雄史、湯川浩司、中島孝平の3人。
もっとも忙しそうに動き回っていたのが湯川浩司。ペラ室と艇を細かく動き回り、ペラの仕上がりを確認していた。湯川の76号機は、行き足が上々のエンジンで、スタートもバンバン決まっている。さらなる上積みを目指して湯川が動く。
ほとんど姿を見かけなかったのが新田雄史と中島孝平。新田は池上カメラマンがペラを持って移動しているのを見たとのことだが、中島は本当に見かけず、艇も陸に上がったまま。ただし、優勝戦6選手で、トライアル組でも特選組でもなく、一般戦から上がってきたのが中島。水面でも気配を消しての一発があるかもしれない。
(TEXT/姫園 PHOTO/池上一摩)