12Rの結果を受けて、山崎智也のファイナル行きが決定。セミファイナル2着の選手で、トーナメント1着だったのは智也だけとなったのだ。松本晶恵が駆け寄って、さっそく祝福。ところが智也は顔色ひとつ変えず。
「あ、俺?」
バトルトーナメント初出場の智也だから、ルールをあまり把握していなかったのか、それとも知っていてクールにふるまったかはわからない。近くにいた瓜生正義が追い打ちをかける。
「(ファイナルに)出れますよ」
智也はふむふむとうなずいて、エンジン吊りに参加している。まあ、5号艇ですからね。明日も気楽に一発を狙ってくるだろう。
9Rでいったんは先頭争いに加わった吉田凌太郎に話を聞いた。まくった智也に舳先がかかり、2マークまで引かずに突っ張った。これが捌かれたわけだが、「普通なら引いてる場面ですけど」と振り返る吉田は、もちろん自分は2着では望みがないことを把握していた。「あそこで引いたら1等はないと思いました」と、大先輩の智也に真っ向勝負を挑んだのだ。その意気や良し! そして、これがバトルトーナメント! この若武者はバトルトーナメントを、またその舞台でギリギリの勝ち上がり局面を経験したことによって、成長度を増すことだろう。ナイスファイト!
というわけで、2日間の戦いが終わり、明日はいよいよ最終日。12R終了後にはもろもろの抽選が行なわれている。今日の抽選はガラポンではなく、すべて封筒を選ぶかたちで行なわれた。開封すると、当たりかハズレかがわかる形式です。
まずは、選抜戦2個レースの枠番。これは、「セミファイナルの着順上位が内枠。同着順の選手については、トーナメントの着順上位が内枠。これもまったく同じなら抽選」ということになっている。セミファイナル2着が1人ファイナルに行き、復活戦から1人ファイナル行きが出るから、たとえば選抜戦の1号艇に入るべきセミファイナルの2着選手は3人ということになる。今回でいえば、篠崎元志がトーナメント2着、松本晶恵と宮本夏樹がトーナメント3着で、元志の選抜戦1号艇は決定だが、もうひとつの1号艇を松本と宮本で抽選する、というわけ(松本がゲット! 宮本は2号艇。写真の○数字は順位を示すもので、宮本は③だから3位。選抜戦は2個レースだから、1位と2位が1号艇、3位は2号艇となる)。
さらに、ファイナルに5人、選抜戦に12人がセミファイナルから出場するので、セミファイナリストのうち7人は選抜戦には乗れない。6着4人はまず脱落だが、5着のうち1人だけは選抜戦に乗れることになるわけで、今日の5着選手のうち3人がトーナメント1着だったので、その3人で選抜戦出場を賭けた抽選も行なわれたわけだ。今日の抽選会ではこれが最初の抽選になっており、笠原亮、市橋卓士、松尾充が参加。松尾が当たりクジを引いている。笠原は露骨に落胆しておりました。
まあ、選抜戦の抽選は、枠番ひとつを争うだけなので、わりと淡々と進みました。2号艇と3号艇を争った湯川浩司と小野生奈の抽選後、2号艇を引いた湯川が「ごめんな、そんなつもりなかったんやけど」と小野に謝っていたのが可笑しかったけど。顔がちっとも「ごめんな」になってなかったもんね(笑)。
にわかに盛り上がったのは、復活戦組の抽選だ。新田雄史、原豊土、権藤俊光によるファイナル行きを賭けた抽選。居残った選抜戦組も興味津々で、外れた選手は選抜戦にも乗れない「ファイナルか一般戦か」という極端な局面であることを知って、さらに盛り上がる。湯川など「これがいちばん盛り上がってんで」と嬉しそうに新田に声をかけていた。
抽選は選考順なので、まずは新田が3つの封筒のうち真ん中を選び、次に原が左を、権藤が残った右を手にした。合図によって開封すると……新田だ! 嬉しそうに「○」が書かれた紙を見せつける新田。天を仰ぐ原。そのコントラストに、見ていた選手たちは全員が大笑い。さらに新田が「おーっ、急に楽しくなってきた!」とわかりやすすぎるほどにテンションをアップさせて、報道陣も含めて大爆笑となったのだった。うん、たしかにこの抽選がいちばん盛り上がるな(笑)。そういや、去年も一昨年も、ここの抽選はギャラリー爆笑の連続だった。
ファイナル5号艇は無抽選。にもかかわらず抽選会場に召集をかけられていた智也は、単なるギャラリーとしての参加でしたね(笑)。というわけで、最後はファイナル1~4号艇を決める抽選。これも4つの封筒が用意され、選考順に吉川元浩、中田竜太、仲口博崇、篠田優也の順でチョイスしている。吉川は10R後の会見で「(トーナメント、セミファイナルと1号艇を引いた)篠田が引くような気がする。でも、アイツ、2回とも逃げてへんからね。アイツが1号艇ならチャンスかも(笑)」と笑いを誘っている。果たして篠田は残り福で1号艇をゲットするのか……。
結果は、既報のとおり、中田竜太が1号艇をゲット! 開封して出てきた紙に書かれた「1」を見て、さすがにニンマリでありました。それを見て湯川が「まくられといて、1かいな」とからかう(笑)。だはは、元志に1回まくられたもんね。しかし、それでも1着に残して、おまけにファイナル1号艇とは、流れは完全に来ているとも言える。中田が3代目チャンプに王手か!?(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)