BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

びわこレディースオールスターTOPICS 4日目

THE勝負駆け①予選トップ争い
やっぱり最後は……!?

 

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 昨日の当欄で「桃佳vsエミの一騎打ちムード」的なことを書いたが、果たして10Rでその構図が確定した。2号艇の遠藤エミが凄まじいパワー差しで1着。いやぁ、参った。34号機が直前に叩き出した展示タイムは断然シリーズレコードの6秒66。その直線足は実戦にも直結し、スリットほぼ同体からグイグイ伸びて行った。戦前から期待していたスーパーエース機の行き足~伸びが、ついに完成の域に到達した(冷えれば冷えるほどパワーアップするようだ)。

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 ただ、今日の34号機でもっとも評価したいのは、むしろ出足系統だ。伸びて行った1マーク、早差しを意識してややターンマークに寄り過ぎたため、マイシロを失ってわずかにキャビテーションを引き起こした。一発ブルゥンと唸って失速したのだが、そこからだ。ターンの出口からまるで何事もなかったかのように加速し、さらに加速し、逃げる大山千広の内に舳先を突っ込み、突き抜けた。それは、初下ろしの頃から何度も見てきた34号機のサプライズパワーそのものだった。昨日のパワー評価で「節イチは廣中51号機、節ニはエミ34号と千広38号」とランク付けしたが、このレースでは明らかにエミが千広を上回っており、5Rの廣中51号機(1マークで展開なく5着)と同等かそれ以上だったと思う。

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 トップ争いに戻ろう。この1着で暫定トップの8・67まで引き上げたエミではあったが、まだ当確ランプは点らない。続く11Rの3号艇・中村桃佳が①着なら8・83、エミのそれを上回る。エミか桃佳か……明暗を分かつ11R、桃佳はスリット横一線の3コースから鋭角なまくり差しを狙ったが舳先は届かず、3着争いで競り勝つのがやっとだった。
 予選トップ・遠藤エミ、同2位・中村桃佳、確定。
 うーーん、このたったひとつの順位の差がどれだけ大きいか。インが苦戦している今節のびわこ水面だけに予断は許さないが、『遠藤エミ&34号機』というブランドはあまりにも巨大な気がするなぁ。

THE勝負駆け②準優ボーダー争い
連覇への進軍

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 準優ボーダーをはるかに超越したのだが、今日のMVPは前年度覇者の山川美由紀っきゃないでしょ。昨日まで12位だった美由紀姐さんに残された枠は3号艇と6号艇。トップ18入りに、決して低いハードルではなかった。
 が、まずは3号艇の5R、3コースからコンマ06まで踏み込み、ナタで叩き割るようなまくり差し一撃。嗚呼、なんという強さ! そのまま独走の一人旅に持ち込み、この時点で準優の当確ランプを点灯させた。

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 こうなると、後半9Rは準優好枠へのアタックチャンスだ。6号艇だけにピットアウトから今節第1号の前付けがあるかと思いきや(初日1Rから全レース枠なり中!)、今日の山川はどっしりと6コースに構えた。そしてそして、コンマ13のトップスタートから内のダッシュ2艇を早々に飛び越え、マサカリで叩き潰すようなまくり差し一撃。嗚呼、強すぎる!!
 いや、強いだけに留まらず、この2勝ともにバック最内からグイグイ伸びたストレート足も目を引いた。そう、前検あたりは中堅ど真ん中と見ていた66号機は、日に日に少しずつ上積みされて、今や上位級のひとつと言いきって間違いないだろう。ピンピン20点を加算して、予選が終わってみれば3位=準優1号艇。上には地元の大本命が立ちはだかってはいるが、「連覇」の2文字が一気に現実味を帯びてきた!

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 さてさて、実際の準優ボーダー付近に目をやると、ここでもちょっとした“事件”が起こっていた。優出が当たり前と目されていたドリーム2号艇の長嶋万記と同3位の小野生奈が、「あわや脱落か??」という大ピンチに立たされていたのだ。特に小野は昨日まで23位という崖っぷち。今日の7Rで①着なら当確に近づいたのだが、まくって先頭に立った清埜翔子を捕えきれずに2着フィニッシュ。「1着のない6・00」というかなり絶望的な立ち位置での結果待ちを余儀なくされた。
 生奈=暫定18位で迎えた最終レース、6人の勝負駆けはこんな塩梅だった。
12R
①長嶋万記…②着当確
②五反田忍…②着当確
③細川裕子…完走当確
④中谷朋子…④着当確
⑤倉持莉々…完走当確
⑥浜田亜理沙…―
 結果待ちの生奈からすると、「A/1=2決着なら文句なしに脱落、B/長嶋か五反田のどちらかが②着以内で、かつ中谷が④着以内でも脱落」というまさに首皮一枚の状況だ。

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 もちろん1号艇の長嶋にとっても絶対に負けられない1戦でもあったのだが、しっかりとトップスタートを決めて、ターンの出口で準優入りを決定づけた。逆に五反田は1マークで後手を踏んで5・6着争いに。こうなると最後の1議席は「中谷か生奈か」に絞られ、中谷が4着を取りきれば自力での予選突破となったのだが……道中で3・4着争い(つまり安全圏での戦い)をしていた中谷に、思わぬ伏兵が襲い掛かる。1周バックで最後方だった倉持莉々だ。一時は大差に近いほど離された莉々だったが、追い上げる足が凄まじい。1周2周と徐々に追いつめ、ついに3周目に4番手の中谷を攻め潰してしまった。この瞬間に、準優メンバーは中谷→生奈に入れ替わったと言っていいだろう。

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 最後の最後に、命からがら準優チケットを得た生奈。結果的にその手助けをした莉々。ふたりは明日の12Rでシノギを削ることになる(長嶋万記も)。今日の微妙な順位の入れ替わりが、明日の結果=優勝戦メンバーにどんな影響を及ぼすのか。6号艇の選手が選手だけに、そのレースぶりに注目したい。

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 最後に、初日から当欄で絶賛してきた110期台の面々(全13人)は、最終的に4人の精鋭が準優へと駒を進めた。中村桃佳、大山千広、倉持莉々、小池礼乃。去年がゼロだったことを思えばやはり「大活躍」だし、もちろん隙あらば優勝の可能性もある、と思っている。今後の2日間のどちらかで、あの『びわこの絶対女王』&『讃岐の最強アマゾネス』を両方とも倒すことができれば、だが……(笑)。
(text/畠山、photos/シギー中尾)