BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――11Rと69期

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 田頭実がニッコニコ。2着とはいえ、5コース選択が当たったかたちだから当然だろうか。過去1年、田頭の5コース進入は4回だけ。5号艇26回中、24回は枠より内に入った。本来、黄色いカポックの田頭はまず前付け、なのだ。しかし、今日は臨機応変に枠番のコースを選んだ。枠なり進入とはいえ、スローが深くなったのだから、大正解である。この駆け引きも、ボートの醍醐味だ。

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 田頭は、“行ってくれた”仲口博崇にもニッコニコで話しかける。ダッシュ連動のワンツーを決めたことは、会心でもあっただろう。ところが、仲口の顔にはなかなか笑顔が浮かばなかった。並んでカポック脱ぎ場に入室するときには笑い合っていたが、それまでの仲口は淡々とした表情を崩さなかったのだ。今日はピンピン連勝! 前半の逃げ切りのあとも、笑っていなかった仲口は、何か胸に秘めるものがあるだろうか。1月のバトルトーナメントでは同じピットで仲口に会っているが、どうも雰囲気があのときとは違うな。

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 前付けもコース獲れず、結果として仲口のまくりをお膳立てするような格好となってしまった江口晃生は、逆に笑顔が見えた。といっても、もちろん「苦笑い」だ。「やるせない」をくっつけてもいい。今節はひたすら進入で盛り上げているが、盛り上げ役でいいとなど少しも思っていない、のである。しかし結果がなかなか出ないジレンマは、表情を暗くするよりも寂しい笑いを引き出すのであろう。

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 そして、1号艇を活かせなかった市川哲也には、はっきりと落胆が見えた。深い起こしでやむ得ない部分もあったが、それを言い訳にするわけにはいかない。ただただ白カポックで得点の上積みができなかったことを悔やんでいるように見えた。そこに田中信一郎が歩み寄って慰める。1号艇でまくられた悔しさは、きっと選手の誰もが共有していると思う。

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 その11Rだが、10R終了後に帰宿バスの1便が出ていたので、エンジン吊りは手薄となっていた。特に陣容が揃わなかったのが仲口で、唯一の同支部選手である西山昇一はお帰りしており、東海地区=静岡支部からは同レースに野長瀬正孝が出ていたため、そちらに向かう(こちらも12Rに服部幸男が出ているから、そもそも手薄だった。なお、三重支部からは出場選手がいない)。というわけで、仲口のもとに駆けつけたのは田中信一郎と太田和美。にわかに69期トライアングルが形成された。花の69期と言われた彼らもマスターズ世代。今のニュージェネのようにSGを席巻した若い力が、円熟期を迎え、今ここに顔を揃えている。ほぼ同世代のこちらとしても、なかなか感慨深いことだ。

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 その69期が、今節は活躍! 3日目を終えての暫定トップは野添貴裕である。明日、明後日の結果次第なのだが、もしこのまま優勝戦まで野添が突っ走ったら、約20年前のとあるレースのことを強く思い出すだろう。そのレースは、野添が優勝戦1号艇。69期勢は4人が優出して、優勝も69期から出た。それが何であるかは、もうおわかりの方もいるだろうし、野添が優勝戦ポールポジションを手にしたときに改めて書くことにしよう。

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 今節は69期から5人が参戦。もうひとり、三嶌誠司も明日は勝負駆けに臨む。優勝戦に何人を送り込むことができるのか、楽しみに注目しよう。三嶌はやや厳しいノルマを抱えるが、表情は決して暗くない。2、3枠と充分チャンスありと見た!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)

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太田と今垣光太郎の談笑シーンは珍しいような気がします。太田の表情は前半に比べて柔らかくなっていました。足は上向いていると見た!

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10Rを逃げ切った平石和男が好調モード。実に穏やかな表情を見せております。