BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――レア前検

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 まあ、とにもかくにもレアな前検だった。
 モーター抽選が42人で行なわれたこともそうだし、その後の前検作業も42名で行なわれたことも同様。もっとも、いつも通りに慌ただしく動く選手たちを見ていると、10名少ないということは実感できない。と言いつつ、時計を眺めれば午後4時30分。デイレースの前検では、とっくにすべての作業が終わっている時間帯だ。やはり、レアな経験なのである。まったくの偶然だが、峰&中田のW竜太が隣同士で装着作業をしているのも、なかなかレアであります。このあと試運転に向かった峰は、陸に上がってくると「クロちゃん、出てる!」。なぜか声を潜めて、興奮気味に言っていた。優勝した下関周年よりも前検の手応えはいいらしいぞ。

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 16時50分頃から、ドリーム選手の記者会見は始まっている。菊地孝平は「今日は試運転から大時計が回っていた」と言った。そう、スタート特訓が始まる前から、スタート練習っぽいことをしていたのを発見、大時計を確認したらたしかに回っていたのだ。試運転に臨む選手たちが、アトランダムに参加して、思い思いのコースからスタートしていた。試運転中に大時計が回っているというのも、またレアなシーン。菊地は「いつもの前検よりたくさん練習ができた」ともコメント。こりゃあ、初日からビシッと決めてきそうだなあ、この人なら。

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 ドリーム会見が6人すべて終わって、ピットに戻ると、吉川元浩が! 15時からのモーター抽選に間に合わなかった10人のうち、吉川が他に先駆けてレース場に到着したのだ。その姿を見かけた魚谷智之が、笑顔で吉川に駆け寄る。吉川も、「大変だったよ~」みたいな感じでおかしそうに笑い返していた。同県ながら、前乗りした魚谷と当日移動の吉川で、明暗(?)があったわけだ。ともあれレース場で顔を合わすことができて、安堵した様子の2人だった。
 42名のスタート特訓とタイム測定が終わり、吉川はその後に水面に降りている。無人の水面を、ひたすら走る吉川。大時計はやはり途中で回り出し、吉川はほぼあらゆる起こしからスタート練習していた。これはかえってポジティブ要素になったのか?

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 それからしばらくして、帰宿の1便が出発。徳山の宿舎はピットに隣接しており、本来なら今日は全員一斉の帰宿となるはずだった。しかし、今日は前検修了が遅くなるのが必至なので、急遽1便2便制となった次第。地元では、今村豊は選手班長のため最後まで残るが、白井英治と寺田祥は1便組に加わっている。

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 18時少し前、残りの9名がようやく到着! 赤岩善生が「京都に6時間も止まってたよ」と疲れた顔を見せながら苦笑する。いやあ、それはキツいよなあ。誰もが同様に、疲れた笑みを浮かべていた。急いで私物検査が行なわれ、18時30分頃から、9名がモーター抽選に臨んでいる。赤岩が残されていた好機・24号機をゲット。平本真之に「いいヤツ」と言われ、「…………なんで知ってんの?」とキョトンとした顔を見せていた。この巡り合わせがどんな結果をもたらすか。

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 9名は即座にモーターを受領し、大急ぎで装着作業に入る。1便で帰らずに残った選手たちも、できる限り動き回って、9名が作業しやすい環境を作ろうとしていた。池田浩二が赤岩の艇番を用意したり、原田幸哉が愛弟子の柳沢一を気遣うのは、まあ当たり前。同県のメンバーがいない茅原悠紀や篠崎仁志も、率先して動いていた。非常事態には、選手たちが養成所から叩き込まれてきた精神が、ごくごく当然といったふうに自然にあらわれるのである。

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 もうかなり暗くなってきていた19時頃に9名のスタート特訓とタイム測定がスタート。最後に平本真之がボートリフトに乗ったのは19時15分だった。デイレースでこの終了時刻は、おそらく艇界レコードであろう。もっとも選手たちは、19時45分まで作業。選手たちにとって、あるいは関係者や報道陣にとって、今日はなんとも長い1日となったのであった。

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 ともあれ、前検は終了! 64年ぶりの徳山SGは、こんなふうに幕を開けたわけである。明日からはこんなハプニングも吹き飛ばす熱い戦いを期待するとしよう!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)