BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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丸亀メモリアルTOPICS 3日目

コースの魔術師

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 2走目から怒涛の4連勝。毒島誠がSG連覇にぐんぐん近づいている。初日はコースも着順も枠番通りの3・1着だったが、2日目8Rは噂のスーパーピット離れがフル稼働。6号艇のピットからロケット花火のように飛び出し、わずか数秒で2コースGET(その気になればインまで奪える勢いだった)。ピット離れコース取りの一大メリットは、前付けのそれと違って深くならないことだ。6号艇なのに、2号艇まんまの2コース進入。たっぷり助走距離をとった毒島は、コンマ09のスタートでイン新田雄史をズッポリ差しきった。

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 そして今日の2走は、これまた毒島の最近の主武器である「勝てるコース取り戦略」がものの見事にハマった。まず5Rは4号艇ピットからシュッと覗き、③池田浩二と②山口裕二を抱き込むようにして2コース奪取。と思いきや、そこに大外から林美憲が強引に襲い掛かると、今度はその前付けを受け入れつつスーーッと艇を外に持ち出して美味しい3コースをモノにした。そして、コンマ06で一気にまくりきってしまった。あの若松オーシャンカップの準優(3号艇からピット出で2コース優先権→徳増の前付けを入れて3カド選択→まくり圧勝)と同じパターンだ。

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 一方、後半10Rでは、真逆とも言うべきコース取り戦略を採用した(と思う)。5号艇のピットから例によって鋭く飛び出した毒島は、内の④濱野谷憲吾を完全に出し抜いた。そのまま絞め込めば、軽く4カドを取りきれるポジションだった。が、オレンジブイを回った毒島は、それをしなかった。③森高との隙間を開けて、再び濱野谷を潜り込ませた。私の目には、そう映った。それが作戦だったとするなら、毒島の脳内に理想的なレース展開があったからだ。そして、その脳内レースは忠実に再現された。4カドから伸びる濱野谷が、まったく伸びないカド受けの森高をまくりきった瞬間のマーク差し。
 いやいや、自力まくりの4カドが見込めるのに、あえて5コースを選ぶバカはいないでしょ?
 そう反論する方も多いだろうが、あの待機行動は意図的な5コース選択にしか見えなかったなぁ。7月の平和島周年ファイナルでは、3号艇という好枠から2艇の前付けを入れて5カドを選択した毒島(コンマ03、まくり圧勝)。出たり入ったり入れたり引いたり……昔はそんな選手が五万といたが、現在のSGでこれほど変幻自在に動くレーサーは他にいない。とりあえず、ここ数カ月の毒島には「コース取りの魔術師」という称号を贈りたい。明日の毒島は2号艇の1回走り。1号艇の西山貴浩からロケットバナレでインを奪うのか、逆に松井・前本の外枠勢を入れて4カドに引くのか……諸葛亮孔明の如き知略を堪能したい。

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 続いてのトピックは、選手というよりアレだな。げに恐ろしきは風の魔力よ。台風が去ったはずなのに、今日の丸亀水面は7m前後の追い風が吹き荒れた。(おそらく)その影響で、スタート慎重なインコース選手がまくられるわ差されるわ、フルボッコ状態だった。もちろん配当も荒れに荒れた。特に潮が低かった前半戦は外枠勢が大暴れ。1Rは⑤笠原亮が4カド片岡雅裕のまくりに乗ってのマーク差し一撃、3Rは④秋山直之のスピード差しが突き刺さり、4Rは④湯川浩司が気合のカドまくり、5Rは前出④毒島誠がピット離れで3コースを奪って一気まくり、そしてそして6Rは⑥柳沢一が根っこ差しでバック先頭まで突き抜けた。都合4~6号艇が6戦5勝!

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 そんな中、前半戦で唯一インコースから勝ちきったのが、SG初出場の大池佑来だ。それも、ありえないような大逆転の1着。まず、1マークでは4カド山田康二にものの見事にまくられた。バック直線は5番手あたり。2マークを回っても4番手だったが、先頭集団の競り合いに乗じて2周1マークの小回りターンで一気に先頭に躍り出た。もちろん、この逆転の水神祭にも強風が大きく関与していたはずだ。このレースの2連単の形勢は、ターンマークごとにくるくると変化した。羅列すると
 2-5→5-6→1-5→1-2→1-6
 MAX5-6の大穴からMIN1-2の大本命まで激変したわけだが、多くの選手たちが風に煽られて流れたり失速したり、てんやわんやの道中だった。年間では追い風が少ない丸亀、我々は非常にレアな1日を目撃したのかも知れないな。
 それから、このS勘が難しい強風の中、F2の身の上で3カドに引いて強引にまくった中村亮太(惜しくも3着)、劣勢のパワー&F持ちで逃げきった赤岩善生には「天晴れ」を贈りたい。(text/畠山、photos/シギー中尾)

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