BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

大村クラシックTOPICS 3日目

 いやぁ、11Rで絶好調の渡邉和将や西山貴浩、古澤光紀が集団Fという大波乱が起きた大村3日目。私が「今日は5発の万太郎が出る!」と胸を張って予言した舟券の方の大波乱は……あのプロ野球ニュースの軽快なBGMに乗って、行ってみよう!

今日のホームラン!

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 はい、5発どころか1発たりとも快音は響きませんでした。私の予言に乗ってせっせと万舟券を買ってくれた読者さま……生きててすんませんっ!! 私自身もちょっきりマイナス2万円で、2日間トータルではマイナス2040円。昨日のエミ基金をすべて大村の水底に沈めてしまいました。またいつの日か「帰ってきたウルトラ万太郎フェスタ」をぶち上げるとして、今日は通常のTOPICをお届けしま~す。

エミトップ!!

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 なんとなんと、遠藤エミが3日目を終えて予選トップに君臨してしまった。今日のエミは6R3号艇のワンバトル。5号艇には昨日まで暫定トップの毒島誠がいて、ポールポジションを巡る1位vs2位の直接対決という体裁だ。
【1着を獲ったほうが暫定トップ】の分かりやすいバトルは、1マークでケリがついた。3コースの遠藤が鮮やかすぎる強ツケマイで独走態勢に。一方の毒島はスタートで後手を踏み、得意の5コースまくり差しが空を切って4着まで。もちろんコースの利が明暗を分けたとも言えるのだが、それにしてもの凄まじいエミまくりだった。

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 初日の当欄で、私は「1号艇を残して連勝した毒島はVの最有力候補」と書いた。気は早いが、心の底からそう信じて。そして昨日は、遠藤に「ガチで予選トップを狙うつもりで戦ってもらいたい」と書いた。正直、毒島は超えられないだろ、という含みを持たせたエールだった。それくらい、今節のブス君の牙城は強固で難攻不落と思い込んでいた。その要塞を、まだ道半ばとは言えエミ68号機が攻落してしまうとは……。

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 明日のエミは【4R6号艇・9R2号艇】の2回走。準優ボーダーに関しては、無事故完走で当確とお伝えしていいだろう。4走で36点を取りきったのだから。では、「この枠番でピンピン連勝なら文句なしの自力トップ当選」と聞いた時、その実現を手放しで信じられる人はどれほどいるだろう。

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 多くの女子レーサーにとって、SG予選4日目は鬼門として立ちはだかってきた。低いハードルでも躓いて準優の門を閉ざされた。男子レーサーのガチの勝負駆けの前に、待機行動から外コースへ吹き飛ばされた女子も多い。明日、ワンランク上の勝負駆けに挑むエミがどんな心持ちで水面に降りたつのか。どんな気迫で猛者どもに襲い掛かるのか。4Rのスタート展示から、エミの一挙手一投足をしっかり見守り続けたい。もちろん、舟券とともに。

未来世紀オームラ

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 遠藤エミが暫定トップに立った直後の第7Rは、妙に煌びやかなオーラに包まれた“聖戦”に見えた。どんなエピソードがあったか、箇条書きにしてみよう。
★今をときめく「まくり大怪獣」③藤山翔大が例によって伸び型に特化、チルト0・5度で節イチの展示タイムをマーク。
★同じく「まくり大怪獣」④菅章哉がチルトMAX(1・5)に跳ねて翔大に迫る好時計をマーク。
★地元のエースとして気合パンパンの⑥原田幸哉が、そんな伸び~~る若造なんぞは歯牙にもかけずにオラオラ前付けで2コース奪取。
★スタート展示では3コースに潜り込んだ⑤平高奈菜が、いざ本番は伸び~るコンビをマークする6コース選択。
★これで翔大の4カド確定かと思いきや、②渡邉和将がやおら艇を引っ張って3カドの奇襲! さらにコンマ02まで踏み込んで一撃まくり。藤山、菅のお株を奪う怪獣戦法で見事に大乱戦を制圧した。レース後のインタビュー「どうせ絞められるくらいなら、自分から絞めようと思って3カドに引きました」

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 キーワードだけを列挙すると【節イチ展示時計、チルト0・5、チルトMAX、前付け、マーク戦法、3カド戦法、タッチスタートまくり】。これらのファクターが単発で出現するレースはままあるのだが、そっくりてんこ盛りになったレースは超レア中のレア。もしかしたら、ボートレース史上初のてんこ盛り。つまりはピットアウトから1マークまであれやこれや、瞬きすらできないほどの緊迫した名勝負だった。ついでに言うと、1号艇の中野次郎にとっては地獄のようなイン戦だったことだろう。災いのてんこ盛りが漏れなく自分に襲い掛かってくるのだから(笑)。

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 おお、これってもしかして、近未来のボートレースなんじゃないか……?
 スリリングな実戦の余韻に浸っていた私は、そんなSFチックなことを考えた。超伸び型のまくり怪獣の出現が、前付けやマーク策、2カド3カドなどドラスティックな進入争いを誘発し、チルト角や伸び型仕様など物理的な常識をも変えていく。それら日々微妙な変化進化が、今日の大村7Rにある程度の凝縮形として具現化したのではないか。
“競艇発祥の地”から、未来世紀オームラへ。舟券はちっとも当たらなかったけど、6R~7Rで楽しい妄想が膨らむ、ちょいと幸せな1日でもあった。(photos/シギー中尾、text/畠山)