BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――気合充満

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 日々緊張感が増していくのは、どのSGでも変わらないことだが、今日はそれをいつにも増して強く感じる。グランプリロードも佳境を迎えているから、と時期的なものを結びつけることもできるが、さてどうだろう。まあ、それが最もしっくりくる理由ではあるのだが。
 磯部誠を見ているからだろうか。当たり前のことだろうが、1カ月前のヤングダービーと今節では雰囲気が違う。悪ガキっぽいたたずまいを見せるには見せるのだが、浜名湖でのようなはっちゃけた様子はない。戦う相手の違いというのを、磯部を見ているだけで実感させられる。まあ、今回は新兵でもあるんですけどね。そもそも立場が違うということもあるにはある。

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 前検日から一貫して、井口佳典の気迫がいつもとは違って感じられる。そんな話を昨日も一昨日も酒場で話して、「でも、なぜ今節?」とその理由は思い浮かばない。井口は常に気合を感じさせるたたずまいなのだが、それがもう一丁、高まっているように見えるのはなぜなのか。目前と言えるグランプリベスト6当確を、ここでしっかり決めようという決意なのだろうか。2Rはピット離れで2コースを奪っているが、彼の場合はペラとかモーターとかいうよりも、気持ちが飛ばしているような気にもなってくる。

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 峰竜太も、ゾーンに入っているようだ。リラックスしているときは、向こうからこちらを見つけて話しかけてきたりするのに、今日あたりは50cmくらいのところをすれ違っているのに気づかない。こちらも顔つきを見て、声をかけるのを控えたりして。集中しきっているときの峰竜太によくあることで、これもまた気持ちの入り具合やモーターの仕上がりのバロメーターかなと思ったりもする。とにかく、今日はひとつの勝負どころと捉えているのは間違いないと思う。

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 1R、ピット離れで2コースを奪い、接戦を制して2着を獲り切った毒島誠。しかし、レース後はまったく頬をゆるめたりはしなかった。むしろ、表情はカタい。レースぶりは良かったと思うし、足も確実に上向いているように思えるのだが、本人の納得の域にはまだ達していないということだろうか。2着では、残り2走ピンピンが得点率6・00を上回る条件、ということも関係しているだろうか。毒島は厳しい表情のままピットに戻ってきて、速攻で5Rの準備を始めた。その立ち居振る舞いには、とにかく力がこもっているのだった。
 こういうモードに入った選手には、話しかけるタイミングがなかなか見つけにくかったりするのだが、しかしその雰囲気は見ていて非常に気持ちがいいものだ。やはり戦士の顔をしているレーサーというのは、カッコいいものなのだ。

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 もちろん、ワイワイしているレーサーも素敵ではあります。1R、1号艇で大敗を喫した今村豊は、ピットに上がるや白井英治らに何かをまくしたてる。ミスターは負けた時ほどよくしゃべる(笑)。悔しさをまぎらわし、発散し、次なる戦いに向かうという今村流のやり方だろう。エンジン吊りが終わると、倉谷和信をつかまえてわーわー話す。年長ツートップが、ピットのど真ん中で笑い合っているわけだ。元気いっぱいな今村を見るのも、ひたすら気持ちいいのである。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)