BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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セミファイナル終了! ピットから

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 セミファイナル、まず勝ち上がったのは田村隆信だ。スタート展示は2コースに入りながら、本番は江口晃生の前付けを入れて、さらに石野貴之をマークする4コース。これがハマった! 石野が下條雄太郎と競り合う間隙を突いて、先頭に立った。「(4コースにして)大正解だったね」と江口に声をかけられて、田村はニンマリ。進入の駆け引きを日々仕掛けている男の真骨頂といったところだろう。

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 その江口は、着替えを終えてピットに姿をあらわすと、「イン獲らせてもらえないからな~」とボヤいた。5mほど離れた場所で報道陣と話し込んでいたのが1号艇の下條雄太郎。絶対に聞こえるように言ったな(笑)。さらに江口は、今度は下條に向かって直接、「イン獲らせてくれれば、余裕でまくれたのに」(笑)。下條は苦笑いでいやいやいや、と手をひらひらさせた。はい、イン獲らせてたら江口さんが逃げてたと思います(笑)。これもまた駆け引きなのかもしれないが、それ以上にベテランが作り出した和やかな空気が心地よかった。

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 その下條は2着で、ファイナル行きに望みを残している。ただしトーナメントは3着。同1着、2着からセミファイナル2着が出ればその瞬間に脱落となる。「あとは3着の選手を応援してくださいよ~」と下條。「トーナメント3着の選手が2着になりますように」という応援はなかなか難しいですけどね(笑)。

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 で、10Rではトーナメント2着の上田龍星が2着入線。下條選手、残念でした。これでセミファイナル2着選手のファイナル行き権利はトーナメント2着以上に絞られた。

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 その10R、森高一真が前付け3コースからまくり快勝! 白井英治も「恐ろしい男だ」と呆れたように、インパクト抜群の一撃だった。なにしろ100mを切るくらいの起こしからまくったんだから。
 レース後、森高にサムアップで祝福。すると森高に詰め寄られた。
「舟券は獲ったんか?」
「…………ん?」
「獲ったんか?」
「…………むむ?」
「獲ったんかい!」
「…………へ?」
「獲らんヤツから祝福はいらんわい。俺らはそういう仕事なんやから」
 実際は終始笑顔でのやり取りというかじゃれ合いだったのだが(つまり森高は嬉しそうだった)、森高に叱られて涙目のワタシでした。舟券獲れてないし。森高は「おかげで舟券獲りました、ありがとう!」にいちばん喜ぶ男。自分の舟券を買ったファンを大事にする、男気のレーサーなのである。

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 11R、赤岩善生が差し切って1着。3コースの仲谷颯仁の渾身のまくり差しを、あたかもツケマイを受け止めるようなかたちで押し切った。これで今節は無傷の3連勝! 3日間の超短期決戦は、モーターを仕上げ切ることもなかなか難しい。なにしろ、6日間開催なら、今日は予選の折り返しに達したところなのである。そんな短時間でもモーターを仕上げるあたりが、整備巧者たる赤岩の真骨頂だろう。赤岩の信条が、この3日間開催で見事に実を結んだと評価していいはずだ。
 赤岩も、快勝にゴキゲンだった。12R終了後、「クロちゃん、どさくさに紛れてMAXと一緒に見てただろ!」。12Rの発走直前に今日のイベントゲストのMAXさんが僕がいつもレースを見ているピットの隅っこにやってきて、並んでレースを見ることになったのだ。いやいや、赤岩さん、どさくさ紛れも何も、僕がいたところに向こうが来たんですって! そりゃあ、綺麗な方たちでしたけどね、エヘヘ。森高につづいて赤岩にも叱られた2019年1月13日である。というか、赤岩もよくそんなところを見てたな(笑)。

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 11Rの2着は仲谷で、トーナメント3着。そう、実は1着しかファイナル行きの可能性がないという勝負駆けだった。会心のまくり差しが受け止められたこともあり、やや意気消沈気味のレース後であった。

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 12Rは桐生順平が3カドまくり! 豪快かつ鮮やかな、桐生らしい勝ちっぷりであった。レース後はもちろん充実感にあふれた表情をしていたが、同時に対戦相手に頭を下げまくってもいた。まくった相手の山田雄太、深川真二。4カドにしたかったであろう井口佳典。もちろん勝負の世界、勝った桐生は何にも悪くないのは当たり前だが、こうして礼を尽くすのも選手たちの性質というもの。もちろん頭を下げられた選手たちも悔しさを押し隠して、桐生を祝福していた。

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 最後の2着は井口佳典で、トーナメントは3着。というわけで、ファイナル行きは上田龍星に決定! 12Rのエンジン吊りを待つ間、さっそく田中信一郎に祝福と激励を受けていた。大阪支部は田中と石野貴之という豪華布陣だったわけだが、ファイナルに駒を進めたのは後輩の上田となった。強すぎる大先輩の後押しを受けて、大金星を目指せ!(PHOTO 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)