今日の児島ボートは本当にたくさんのお客さんが詰めかけている! レースになると、水面際にファンが鈴なりになっているのがピットからよく見える。
「節ちゃん、行ったれーっ!」
2Rの待機行動中に響く田口節子への声援。これがピットにもよく響いて、重成一人が嬉しそうに「節ちゃん、行ったれーっ!」とファンの声に乗っかった。
祝日だった初日も多くのお客さんが入場されていて、山口達也が「テンション上がりますわ」と喜んでいたものだ。選手はやはり、大勢のお客さんの前で走ることが喜びだし、ぎっしりのスタンドを見れば力も入る。そして、より激しいパフォーマンスを見てくれる! 観客スタンドの状態は、ボートレースのクオリティにも関わってくるかもしれないのだ。というわけで、ご都合が許す方はぜひ児島本場へ! あ、もちろん開催中のレース場の場間場外でも!
その山口が朝からペラを叩き、さらに焼きを入れたようだ。前半はノーハンマーだったが、今日は一世一代の大勝負。「この日のために1年やってきたんだから」と渾身のレースを心に期している。地元の砦の戦いぶりを、ぜひとも注目してほしい。
準優組は、それぞれが勝負のための準備に精を出している。本体整備は木下翔太。優出に向けての勝負整備だ。木下が出走する12Rは進入から盛り上がりそうな、なんとも濃い番組。ここを勝ち抜くための、木下の勝負手が本体整備ということか。
毒島誠はゲージ擦りをしていた。エンジン好調の選手がその痕跡を手元に残そうとゲージ擦りをするケースが多いように思うが、今日の毒島はプロペラをさらに煮詰めようという動きだろう。1Rのエンジン吊りを終えて、まっすぐゲージ擦りのテーブルに毒島が向かうと、後を追うように江口晃生が整備室に入って、毒島の隣に腰かけた。師弟の和やかだが真剣な会話が続く。師弟優出なるか、も今日の準優の見どころとなる。
石野貴之は1R発売中から試運転に励んでいる。準優組では着水がかなり早い部類だった。足合わせをした白石健との情報交換も長く続く。顔つきは昨日までにもまして引き締まってきており、勝負モードに入った様子と見える。2R発売中にはいったんボートを陸に引き上げており、ここからはさらに調整を煮詰めていく作業となるだろう。
前田将太はリラックスモードだ。前田の場合、仕上がりに納得がいくと、目立った動きを見せることなく、レースに集中する傾向にある。今日はまさにそんな雰囲気で、エンジン吊りにも控室から出てきており、大きな作業はしていない。岡崎恭裕や篠崎元志ら福岡支部の先輩らと談笑する様子からは、平常心を保っているものとうかがえる。
予選トップで準優を迎える田村隆信はペラ調整。決して楽なイン戦にはなりそうもなく、それを乗り切るための方策を頭に描きつつの調整だ。プレッシャーに苛まれるなどということがこの人にあるとは思えないが、しかし大一番を前にした緊張感も見えるような気がした。足は節イチクラス、しかしそこに気を緩めることなく、万全の態勢で優勝に王手をかけにいく。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)