BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――女王が微笑ましい

 

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 後半の時間帯、整備室を覗いたら毒島誠がゲージ擦りをしていた。2日目終了時点で予選トップ、レースを見れば足色の良さは一目瞭然だが、この姿がまた、毒島のモーターが噴いていることを証明しているといえよう。ようするに、緊急に手を入れる箇所がモーターにもペラにもないから、ゲージ擦りに移れるのである。

 昨年あたりから、毒島は凡機に苦労させられた。必死の立て直しで優出まで辿り着いたことは何度かあったが、毒島らしいレースができないことも多々あった。それが今節は、毒島らしい素晴らしい走りを披露できている。やはり、こうした毒島が見られるのは痛快なことではある。一気に18位以内へと駆け上がるシーンもおおいに期待できそうだ。

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 そうそう、三井所尊春がまたもやギアケース調整。最近のSGでここまでペラではなくモーター自体に調整を施す姿はなかなか見ない。もちろん、赤岩善生の徹底整備はよく見かけるわけだが、三井所のように特徴のあるスタイルで戦う選手は、多くがペラでそれを引き出しているというイメージがあるのである。

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 森高一真もまた、ペラではなくモーターに触っていた。キャブレターを手にしているのを見たので、洗浄作業だったか。森高はどちらかというと赤岩に近いタイプで、動きに納得がいかないと本体にも徹底的に手を入れることがたびたびある。今年の鳴門グラチャンでもその様子をここで記した。

 三井所にしても森高にしても、明日には成果が出るかどうかに注目したい。特に三井所の伸びは、来れば一目瞭然なので、期待をもって足色を確認したい。

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 女子選手でも、本体整備をしている選手は多い。というか、女子はけっこう部品交換しますよね。今日の後半から終盤にかけては守屋美穂がモーターと向き合った。整備士さんとの会話のなかでは笑顔も見えており、切羽詰まったものはあまり感じない。守屋のほかでは、7Rの後に小野生奈が整備室に飛び込んでいた。

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 その小野については、こんな微笑ましいシーンが。6R後にモーターをいちど外した峰竜太が、8R発売中に再装着。弟子の山田康二がヘルプし、たまたま通りかかった山崎智也もこれに加わった。それを遠目に見つけたのが小野生奈。これは私の出番とばかりに駆け寄った。ところが峰のボートに辿り着く前に装着は終わり、智也が架台を置き場に運ぼうとした。小野はここで大きく軌道変更。智也さんにそんなことさせるわけにはいかない、と智也を追いかけ始めた。ところが智也は近くにいた人がやればいいとばかりに、どこ吹く顔で置き場に向かう。ようやく小野が追いついた時にはまさに置き場に置こうとしているところで、小野はついに何もできずにただ駆け回っただけということに相成ったのだった。ダハハ。それじゃあ収まらんということなのか、最後の最後に智也から架台を奪って、置き場にセットしたのは小野だったが、移動したのは20cmくらい。まあ、大先輩が雑用のようなことをやっているのを見たら、若手としては素通りできませんわな。なかなかほのぼのとした光景でありました。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)