後半の時間帯になって、やはり調整のピッチが一気に上がっていた。クライマックス組もシリーズ組も、全員をプロペラ調整所で見ている。最後に合わせる作業を懸命に行なっているわけだ。ペラをある程度叩いて、試運転へ。それで得た感触をもとに再びプロペラ調整。このループはすべての優出組に共通していると言ってよい。
そうしたなかでさまざまな組み合わせが見られている。香川素子と池田紫乃。香川は元長崎支部で、滋賀支部に移籍するまでふたりは同支部だった。長崎支部は女子選手が少なく、公私ともに支え合い励まし合った二人だろう。香川と話している様子を見ると、池田はリラックスできているようだった。優勝戦に向けて緊張感は高まっていくはずだが、我を見失うようなことはなさそうだ。
ペラ調整所で隣り合っていたのは今井美亜と細川裕子。ペラと向き合うまなざしは真剣そのものだが、時に談笑する様子もあった。その表情は柔らかく、細川はもとより、今井もモーターの感触が上向いているのではないかと思わせるものがあった。
大山千広のペラ調整には、川野芽唯が寄り添っていた。大山にとって、川野は尊敬する姉貴分的な存在。そういう関係を結んでいるわけではないけれども、師匠のように慕っているそうだ。レディースチャンピオンを優勝した時も、支えてくれる川野に勝つ姿を見せたかったと言っていた。そんな川野が、大山の大一番前に身近で力を与える。大山は心強いエールを得て戦うことができる。
クライマックス組では、寺田千恵の緊張感が高まってきたように見えた。ようするに戦闘モードに入ったということだろう。遠藤エミは変わらずペラ調整に没頭し、守屋美穂も淡々と調整や試運転を進めている。いずれも顔つきは朝より引き締まっている。レースが近付いて、調整のピッチを上げると同時に、やはり気持ちのスイッチも入ってきているのだ。
シリーズ組では、堀之内紀代子に比較的余裕があるように見受けられた。平田さやかと落合直子は懸命な試運転。94期の同期コンビが絡めば高配当必至!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)