BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

チーム浪花の底力

10R
①木下翔太(大阪)02
②中村晃朋(香川)07
③井上一輝(大阪)06
④仲谷颯仁(福岡)12
⑤吉田裕平(愛知)16
⑥黒野元基(愛知)13

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 ご覧のとおり↑スロー3艇だけがゼロ台突出。とりわけインの木下は「正直、やらかしたかも、と思った」ほど踏み込んだが、ギリギリセーフ。もちろん、このスリット隊形でインから負ける男ではない。格上の木下が豪快に逃げて、パワー優勢な一輝がそれを抱いて回って、バック中間でもはや「後ろからなんにも来ない」という1-3展開になった。準優的に大阪コンビの圧勝劇。レース後に一輝本人も「翔太さんの外を抱いて回るつもりでした、イメージ通り」と吐露しており、大阪ラインとしてはしてやったりの理想的な一戦だったことだろう。

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 木下22号機は前検のドリーム組ではかなりストレートが劣勢だったはずで、本人も「両サイドに出られる」と不安を公言していた。が、そこからがSG常連の底力。翌日のドリーム戦ではすでに不安視していた行き足が他と同じレベルになっていたし、3日目あたりには逆にスリットから覗くほどにパワーアップしていた。成績も機力の推移まんまの324111着。それでも私は「正味の足としては中堅上位~上位の下。この成績の半分以上は木下翔太という選手の力量」だと思っている。もちろん、明日も1号艇=インコースなら人機の総合力で軽々と逃げきって不思議じゃないが、2、3号艇ではどうか。おそらく、その場合は単なる正攻法のみならず、本命の1号艇に何らかの陽動作戦や勝負手を突きつける可能性もあるだろう。それがたとえ同県の後輩であっても。

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 簡単に2着を取りきった一輝29号機は、私が前検でS級=トップ足に指名している。が、いざ実戦では私が期待したほどの大物感は漂わず、「出足系統が抜群レベル&ストレートは上位の一角」という感じ。つまりはスリット同体から自力で攻めきれるパンチ力はなく、外枠の明日もよほどスタートで突出しない限りは他力で展開を突く1マークになりそうだ。もちろん、それはそれで勝ち負けに持ち込めるだけのレース足はある、とは思っている。

韋駄天マアコ、終章

11R
①磯部 誠(愛知) 13
②関 浩哉(群馬)   14
③出口舞有子(愛知)05
④大上卓人(広島)    07
⑤松山将吾(滋賀)    14
⑥宮之原輝紀(東京)16

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 終わってみれば、10Rよりもガッチガチの1-2決着。だがしかし、スリット~1マークはあっと驚く大波乱の展開だった。仕掛け人は、今日も今日とて3号艇の韋駄天マアコ!! 今節、52人の中でただひとり平均コンマゼロまで踏み込んでいるサプライズ女子が、またしてもコンマ05(おそらくほぼ全速)で内2艇を圧倒した。なんちゅう子ぢゃ!

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 で、攻めっ気120%の舞有子はすぐに絞めまくりに出たが、まくられたら万事休すの関が捨て身で抵抗。流れ的に差すべきマイシロがなくなったため、舞有子を止めながらの先まくりを放った。あっという間に人気の磯部vs関の大競りに! これはもう、どこからどう見ても500倍が当たり前の大波乱の展開だ。
 で、関に先を越された舞有子は2段まくりは無理として一気にスピードダウン。すぐに舳先を内へと傾け、窮屈ながらも鋭い差しハンドルを突き入れた。この機敏な作戦変更が見事に功を奏して、ターン出口で先頭に踊り出す。なんかどこかで見た光景だな、と思ったら、つい昨日の舞有子が勝った展開と瓜二つ。スリット隊形こそ違え、「スタートをぶち込んで絞めまくりつつ、内を慌てて攻めさせてのマーク差し」という戦法(パターン・マアコと呼ぼうかw)が今日も炸裂したわけだ。

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 バック中間でのアドバンテージは約2艇身。このまま2マークをすんなり先取りできれば圧勝もありえるポジションだが、もちろんビッグレースの準優は甘くはない。内からするすると2番差しの大上が忍び寄り、外からは1マークで競り合った磯部と関がひたひたとにじり寄る。ど真ん中にいた攻めっ気120%の舞有子は、外の2艇を捨てて内の大上を絞め倒しに行った。ぐんぐん2マークへ寄ったが、もはや絞め込めるほどの余裕はない。かと言って勢い的に後戻りもできない舞有子は2マーク同体からツケマイを放ったが、寄り過ぎてマイシロのないそのツケマイは抵抗する大上もろとも真横へと流れ去った。おそらく、この2マークでの正着は「外を牽制しつつ、内の大上を先に回してからの差し」だと思われるが、勝ち気に逸った舞有子には難しすぎる“正解”だったろう。

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 この2マークの出口vs大上の大競りによって、再び息を吹き返したのが1マークでほぼ共倒れになったはずの磯部と関だった。ぽっかり空いた最内をズブズブ差し抜けて1-2決着。今日の準優、いや、すべてのレース(1号艇が準パーフェクト)の中で唯一の「水上の格闘技」が繰り広げられたというのに、今日イチ堅い3連単710円となったのは皮肉としか言いようがない。大金星を逸した舞有子には同情の念を禁じ得ないが、今節の6日間で全国の津々浦々に舞有子ファンが誕生したことだろう。初日の3コースまくりでGI水神祭、7人の女子で唯一の予選突破、F持ちながら平均コンマ08で猛者どもを攻め潰したレースっぷり……今大会の陰のMVPは出口舞有子以外にありえない。

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 さてさて、薄氷の流れで1着を獲った磯部41号機の評価は、先の木下翔太22号機と同じく「中堅上位から上位の下」あたり。ドリームのイン逃げからオール3連対で優出できたのは、エンジンではなく選手の力量があればこそ。選考基準1位の強さを随所に魅せているシリーズではあるが、こと機力に関しては優勝戦で目立つレベルではないと思っている。

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 2着の関53号機は見た目も本人の評価も一致していて、「回り足はトップ級のひとつだが、直線は至って普通」、これに尽きる。あまりにも性格がはっきりしているので、明日になっていきなり超抜の行き足~伸びになるとは思えない。むしろ、自慢の回り足にさらなる磨きをかけて、自在に展開を突けるズボズボパワーにするのが得策だと思うのだがどうだろうか。

ラスボス決戦へ!

12R
①上田龍星(大阪) 05
②春園功太(三重)   08
③吉川貴仁(三重)   09
④羽野直也(福岡)   14
⑤木田峰由季(福井)15
⑥野中一平(愛知)   10

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 11Rのサプライズ1-2とは打って代わって、こちらはレース展開そのものが大本命決着。10R同様にスロー3艇だけがゼロ台突出。「スタートがやや不安」としていた龍星はここいちばんでしっかり踏み込み、このスリット隊形の時点でほぼ明日の1号艇も約束された。インからしっかり伸びきって、1マークをくるり回って2艇身。龍星38号機のこの部分の出足系統には、たったひとつの不安すら見い出せない。

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 もちろん、明日も同じだけスタートを張り込めば、パワー的にGI初優勝の可能性はメチャクチャ高い。ただ、明日のファイナルはパワー勝負のみならず、「SG常連スター」が内から外から襲い掛かる修羅場でもある。先にも少し触れたが、今節の木下翔太と磯部誠は道中であの手この手、時には老獪な勝負手を放ち、時には格の違いを見せつけるスピードでファイナル2、3号艇まで勝ち抜いてきた。臨機応変に柔軟・硬軟の戦法を使い分ける猛者がツープラトンで襲い掛かることだろう。たとえ同県の先輩であっても。ホーム追い風でも磯部のサプライズ・ジカまくりを警戒すべきだし、木下先輩の見えないところからの仁義なきツケマイも念頭に置かねばならない。ピットで精神的に追い込まれるような“前哨戦”はないと思うが(笑)、明日はパワー勝負、スピード勝負だけでなく、「水上の心理戦」としてできる限りの局面を想定して戦う必要があるとは思っている。

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 一方、2コースからすんなり差して2着を獲りきった春園46号機は、本人が「至って普通」と言いきるほどの凡機ではないと値踏みしている。初日あたりはスリットからズンッと出て行く不気味なパワーが感じられたし(何人かの選手も「春園さんが出ていた」とコメント)、今日もスリットから力強く出て行ったのは、私が大いに期待していた吉川21号機ではなく春園の方だった。

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「もらってからずっとノーハンマー」という本人の言葉を信じるなら、5号艇の明日もスリット付近のパワーは軽視できないはずなのだ。スリットからズンズン出そうな選手たちが次々と自滅して、出足系統が主戦力の人機ばかりが残った今節のファイナル。もちろん、スリット同体から一撃あり、などと言うほどのレベルではないが、明日の6人の中でもっとも不気味なパンチ力を秘めているのは春園46号機ではないか、などと思っている次第だ。(photos/チャーリー池上、text/畠山)