BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

個人戦と団体戦~ピットから~

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 女子の勝負駆けは大接戦。5Rで関野文が3着となり7・33で予選終了。予選突破を決めたかと思いきや、この7・33にズラリと並んだ。6Rの原田佑実、7Rの出口舞有子と立て続けに7・33。真っ先に7・33となった関野は上位着順の差で最も不利なポジションとなってしまったのだった。

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 8Rでは寺田千恵がボーダー7・00なら届く4着でゴールしたのだが、7走の寺田は7・14となり、7・33勢には届かなくなってしまった。そのあたりを把握していたかどうか、寺田はレース後には淡々とゲージ擦りに取り組み、10R終了後の1便バスで帰宿している。金田幸子は7R4着で予選突破が厳しくなっており、山川美由紀はFで賞典除外。事実上、この8Rで女子ドリーム組がすべて予選で消えることとなってしまった。

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 9R、堀之内紀代子が5コースまくり一撃。得点率が8・33となって準優当確。お見事すぎる一撃に、堀之内の相好も崩れる。堀之内は寺田とともに1便バスで帰っていったが、気分良くバスに乗り込めたことだろう。

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 10Rは松尾夏海がイン逃げ。これで3連勝だ。そして、得点率は7・33。1着3本は出口とともにこの得点率群ではトップタイだから、予選突破確定! 見事な勝負駆けだった。松尾も目を細めていたが、出迎えた西村美智子らの顔が明るかったのが印象的だった。安河内健の攻めを受け止めてのイン逃げは鮮やかだっただけに、また団体ポイントもしっかり獲得しただけに、見ていた周囲も心弾む3連勝だったということだろう。

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 同じレースでは中村桃佳が3着で、これも勝負駆け成功。ただ、レースとしてはやや不満だったということなのか、顔をしかめる場面も見られた。同じ予選突破、団体ポイント獲得に貢献、であっても明暗分かれるものとなっている。

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 11Rでは、節イチパワーの浜田亜理沙が、この時点ではまだ当確が出ていなかったものの、パワーにモノを言わせての3着確保で、予選突破に成功した。それにしても、オール3連対でも準優当確が出なかったのだから、この大会独特の「6名準優出」はなかなかシビア。いや、関野文もオール3連対でありながら、ということは団体戦のポイントにおおいに貢献しているはずなのに、結果的に次点で予選落ちとなってしまったのだから、最も準優の門戸が狭い大会と言えるのかもしれない。

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 男子のほうはといえば、勝負駆けに失敗する選手が次々に出てしまっている。前半でも書いた尾上雅也の賞典除外や、上田健太と中村泰平の6Rでのピン勝負失敗など。上田と中村は地元なだけに、この敗退は悔しかろう。

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 8Rで畑田汰一が1着で得点率6・67に。この時点で、これが男子の6位ボーダーラインとなった。で、結果を書いてしまうが、最終的にここがボーダーとなって、畑田は予選突破! 昨日の落水失格がありながらの準優進出は価値が高いし、明日は6号艇といえども軽視はできないだろう。畑田はもちろんその後の結果待ちということは把握していたはずだが、淡々とペラ調整を続けるのであった。

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 9Rは栗城匠が3着、中村魁生が4着で、ともにボーダーをクリア。それにしても、栗城は2日連続の1号艇で、ともに5コースの女子にまくられて敗れているのだから、ツキがないというか何というか。昨日の時点では1コースまくられ率0%だったのに、あっさり2回もまくられるとは。それでも、勝っても負けてもあまり感情が見えない男だけに、その心中を察するのは表情からは難しかった。着替えを終えて出てきたら、マスクをしていたからなおわからん。そうそう、女子では関野が1着ありのオール3連対で予選落ちなら、栗城は1着ナシのオール3連対で予選3位。こういう事態もまた、この大会独特ですね。

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 11Rは宮之原輝紀、吉川貴仁の同期ワンツーで揃って予選突破。ふたりはレース前からじゃれ合う姿が見られ、レース後はやはり顔を見合わせてニッコリニコニコと笑っていた。うむ、仲良きことは素晴らしきかな。今節は栗城、佐藤悠など118期勢が楽しそうに絡んでいる様子を何度も何度も見ている。このうち3人が予選突破を果たし、佐藤も惜しい次点だった。今年のルーキー世代は118期が牽引役となるのかもしれないですね。

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 とまあ、井上忠政が早々に無事故完走当確を決めていたのも含めて、男子のほうは大きな動きが見られなかった勝負駆けである。それでも、こちらは女子とは正反対で、ドリーム組が全員駒を進めてきた。団体戦では依然として女子がリードしているが、個人戦については男子の布陣がかなり強力と言えるだろう。

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 ところで、今日は気温がグググと上昇し、明日もまた同様の天候と予報されている。今日は気圧も下がったようで、回転が上がりにくい一日だったようだ。それもあって、レース後もペラ調整に励む選手は数多く、装着場からは金属音が聞こえてくる一日であった。遅い時間帯、山川美由紀の姿もペラ室にあった。Fを切ってしまったが、そう、団体戦は終わっていないのである。賞典除外で個人優勝争いは無縁となってしまっても、団体優勝争いは続く。つまり、消化試合ではないのだ。まあ、そうでなくとも、きっちり仕事を尽くすのが山川美由紀ではある。団体戦があるとなれば、闘志はさらに燃えるはずだ。

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 白組の登番最上位の鈴谷一平は、5Rで逃げ切ったあともペラ調整と試運転に励んでいた。勝利者インタビューではやはり回転が合わないという嘆きを口にしていたが、それを解消するべく、乗り込んで叩いて、を繰り返したわけだ。鈴谷は今日の1着でもボーダーには届かず。しかし、こちらもやはり、団体戦は終わっていない、いや、追撃をしなければならない立場なのだ。今日の鈴谷には、最年長が身をもってその決意を水面に叩きつけているように見えた。残り2日、後輩たちにハッパをかけつつ、奮闘してもらいたい。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)