BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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とこなめレディースvsルーキーズTOPICS 4日目

THE勝負駆け
白組は順当、紅組は下克上!?

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 今日は団体戦とともに「個人戦の準優・勝負駆け」という重要な1日でもあった。その準優の椅子はレディース・ルーキーズともに6席のみ。男女W優勝戦で言うなら、いきなり4日目でファイナル6PITが確定という感じでもあり、通常のシリーズよりもかなり狭き門の勝負駆けと言えるだろう。
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 まず、ルーキー組は昨日までのトップ6から暫定5位だった尾上雅也が賞典除外(3Rで妨害失格)、同6位の中村泰平が重い着(5・4着)を並べて圏外へ脱落した。今節、ダークホース的存在だった尾上は上位級のパワーとともに白組を盛り立てたが、思わぬ落とし穴にハマってしまった感じか。明日からも団体戦が続くだけに、この一事をもって軽視するのは危険だとお伝えしておこう。

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 このふたりに替わって昨日までの圏外からトップ6に浮上したのは、暫定7位だった吉川貴仁と同9位の畑田汰一。今日の1・2着で準優4号艇まで浮上した貴仁は、この大会でもっとも活躍している常連レーサーのひとり。今や『ミスター紅白戦』と名付けてもいいくらいで、同期の栗城匠と宮之原輝紀に挟まれた明日も、当シリーズでの“格上”の貫禄を魅せてもらいたい(笑)。

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 122期の赤丸急上昇ボーイ畑田汰一も、8Rの逃げ一発で6号艇の座を射止めた。今節の畑田のターンはもはや「SGレベルか!?」と唸るレベルで、今日もインモンキーからくるりと回り終えた瞬間に後続を3艇身ほどもぶっちぎっていた。もちろん6号艇は勝ちきるには遠い枠番だが、「3日目のもらい事故(2着争いで落水)がなければ、おそらく2号艇だった」というポテンシャルの高さは肝に銘じておきたい。

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 初日ドリーム組がすべて予選突破するなど比較的順当だったルーキーズに比べ、レディース組は数字的にも拮抗した大混戦となった。最終的に昨日の圏内から脱落したのは白組と同じふたり。まずは昨日までの暫定4位から、2・4着で8位まで滑り落ちた寺田千恵。2日目の山川美由紀のフライングに続き、紅組の大将格がまたしてもV戦線離脱となった。金田幸子も含めて、紅組のドリーム3戦士はすべて予選敗退。3人ともに予選突破した白組との差が、なにかしらの形で表出する可能性も考えておきたい。

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 もうひとりの脱落者は、テラッチよりも残酷な形で振り分けられた。最終レースが終わって予選成績7・33が4人。この4人は着順点とタイム差で優劣が決まったのだが、最上位は節間3勝を挙げた出口舞有子。次も出口とまったく同じ成績だった松尾夏海(タイム差)。

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 ちなみに、夏海は昨日も2連勝とノリノリだったが、時を前後して兄の松尾祭も下関最終日でピンピン連勝!! しかも2個目の10Rは6コースからのゴボー抜きで3連単2400倍という「松尾兄妹祭り」をやらかしている。うーーん破天荒ブラザース!!
 で、7・33カルテットの3番手は節間2勝の原田佑実で、ここまでが準優進出。ただひとり、関野文だけが第7位の次点で脱落の憂き目を見た。初日から団体戦を大いに盛り上げ、123323着とすべて舟券に絡みながら、アタマの数が足りなかった。本当にハナ差のような次点になってしまったが、明日からは団体戦の主役として奮闘してもらいたい。現時点でもMVP候補のひとりと見ているのだが、どうか。

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 そしてそして、この大接戦を尻目に、堂々と1・2位を分け合ったのが堀之内紀代子と浜田亜理沙だ。内枠ばかりが勝ちまくった今日、9Rの堀之内だけが5コースから豪快なまくりで圧勝。浜田は2Rで2コースジカまくりなど節イチパワーを如何なく発揮。それぞれの持ち味をフル稼働し、大将格に替わって紅組の両輪となった。
 堀之内は準優1着ならファイナル1号艇も確定。浜田が1着でも白組・井上が1着ならファイナル2号艇となってしまうが、今節の亜理沙47号機は枠番を問わずに頂点まで突き抜ける相棒を持っている。つまりは枠の利、機力の利ともに、レディース組に一日の長があると思うのは私だけではないだろう。ドリーム3戦士も含めてスピード自慢が勢ぞろいした白組との最終日が、今から楽しみでならない。
 と、今日はやや個人成績に偏りつつ、最後に団体戦の結果をば。今日は好枠シード番組が「白組5vs紅組3」と白組に有利だったのに、紅組が外コースから3発のブレークに成功して6勝2敗と完勝! 4日間のトータル成績はちょっと驚くほどの大差となった。

紅組2111白組

 ほぼほぼダブルスコア?? 第1回大会がまったく逆に白組がダブルスコア級だったことを思えば、実に不思議な数字に見えるな。明日以降もレディースが圧倒するのか、はたまた白組が猛追しはじめるのか。ラスト2日の終盤戦に注目するとしよう。

ほろ苦BIRTHDAY

明日のブライトホース
5002上田健太(愛知・121期)
3R3号艇・9R6号艇

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 今日が25歳のバースデー。昨日までルーキー組の8位で準優が狙えるポジションだったが、6R2号艇で6着惨敗。地元水面でほろ苦い記念日となってしまった。「誕生日がダメダメで翌日スパーク」というパターンも多いので、今晩は宿舎で唇を噛みしめつつ明日のリベンジを期してもらいたい。

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 養成所リーグ勝率7・41。121期の首席をリーグ初戦から修了記念まで守り続けた俊英だ。その修了記念で取材したときには、成績のみならず端正な顔立ちにも驚かされた。正直、脳裏をよぎったのはドラえもんに登場する「出木杉くん」。
――こんなに超イケメンで、しかも断然のトップ成績って、出来すぎにもほどがあるだろ~~!
 面接しながら、心の中ではこんなことを思っていた。ラストの養成所チャンプ決定戦は伏兵・澤田尚也の3コースまくりに屈したが、上田健太は間違いなく121期のスーパーエリートなのだ。

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 もちろん、そんな出木杉くんだから、デビューしてからも順調にエリートコースを歩んできた。2年目の去年には勝率5点に届こうかという成長ぶり。ただ、ここ数カ月は伸び悩みというか迷いがあるというか、ちょいと煮えきれないレースが続いている。

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 先の児島ルーキーシリーズでは、初下ろしで抜群気配だった柳沢一の34号機をGET。上田クンは柳沢の弟子だからして「師匠のモーターを引き継いで、どんだけ活躍してくれるんだ!?」と大いに期待したものだが、シリーズ終盤まで中間着に喘ぎ続けた。児島のピットに張り付いていた記者さんの話によると「師匠のままのペラでは乗りにくく、あれこれ迷いの中に入り込んで着を落とし、最後に元に戻したら2勝を挙げた」とのことで、やはり昨今はエンジン出しで悪戦苦闘しているのだろう。
 どんなに強い選手にもスランプあり。青春の蹉跌があってこそ若者はさらなる成長を遂げるわけで、上田クンもこの迷いを抜けきってA級街道へと突き進むことになるだろう。人生の四半世紀という節目を迎えた今日、心機一転のフレッシュな気持ちで明日へと向かってほしい。その才能は、出来過ぎくらいに潤沢なのだから。(photos/チャーリー池上、text/畠山)