BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

熾烈勝負駆けの4日目終盤ピットから

●女子勝負駆け①もったいない!

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 10R、5号艇5コースの實森美祐は豪快に握って回って、バックでは2番手につけたが、2マークで外を回る間にずぶずぶと差されて3艇並走に。荒牧凪沙が1マークで転覆していたので、最外の實森は3艇のなかでは優先順位最下位で4番手に下がってしまった。結果的に2着のままだったら、予選トップだったのだが……。今節、實森は2マークで着を落とすのはこれで3度目。もったいなかった……。
 と思っていたら、先輩の新田有理も「1マークはよかったのに、2マークがもったいなーい」と声をかけているのだった。實森も同じ思いでいたはずで、苦笑いを浮かべるのであった。明日も活躍すれば特別選抜B戦出走は有力なだけに、そちらで鬱憤晴らしを!
●女子勝負駆け②91期静岡コンビ

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 その10Rでは、三浦永理が3着、長嶋万記が5着。トップ通過も見えてきた二人、特に大きな着をとってしまった長嶋には複雑な思いもあっただろう。それでも、これで予選突破は確実にしている。レース後は二人ともペラ叩きに取り掛かっていたが、並んでハンマーを振るう三浦と長嶋、楽し気に会話を交わしながら調整を進めるのだった。91期静岡コンビ、明日は揃っての優出を目指す。
●女子勝負駆け③テラッチ、まさかの……

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 12R2号艇で出走の寺田千恵は、勝てば予選トップ通過、大敗なら予選落ちという状況だった。今節の気配を考えれば、トップ通過の可能性も十分だったし、そうでなくとも準優進出となるだろうと思われたのだが……。
 5コースから伸びてきた上田龍星と競り合う格好になった寺田は、なんとバック6番手。2マークで高木圭大を交わしたものの、そこまでが精いっぱいだった。5着でまさかまさかの予選敗退。足は良かっただけに悔やまれる。
 ボートリフトにあがって仲間の出迎えを受けた寺田は、まあ愚痴る愚痴る(笑)。それもかなりの大声で。だから、ピットにはしばし寺田のハイトーンボイスが響き続けていた(笑)。カポック着脱場への道中でも、カポックを脱ぐときでも、まあ愚痴る愚痴る。はっきり確認できたのは「5番が目の前にいて、バカだもんで握っちゃった。落とせばいいものを」でありました。あの1マークを悔やむ、テラッチなのだった。
●女子勝負駆け④逆転準優行き!

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 大山千広は前半2着に続いて、12Rは逃げ切り1着。寺田と上田のまくり競りをブロックしながらの逃げはお見事であった。これで逆転準優行き!
 で、テラッチとは対照的に、淡々と振舞っていたレース後の大山。急ぎ勝利者インタビューに向かうときにも、実に自然体なのであった。実際は会心の勝負駆けと感じているはずで、明日はこの勢いに乗って優出を目指したいところ。
●男子勝負駆け①滑り込み!

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 前半5着大敗で絶体絶命のピンチだった鈴谷一平は、10Rを逃げ切り! まくらせず差させずの快勝であった。これで得点率6位に滑り込み。11Rに登場の畑田汰一の結果待ちではあったが、なんとか最低限の結果を出してみせた。
 レース後はさすがに安堵の表情を見せていた鈴谷。それでも気を緩めることなくプロペラ調整に臨み、12R発売中まで明日への準備を怠りなく行なっていた。
●男子勝負駆け②個人連覇ならず

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 で、11Rの畑田汰一は1着で鈴谷を超える計算。トップスタートを決めて2コース差しを放ったが、イン宮之原輝紀に舳先は届かず。2着には入ったものの、次点にとどまった。前回常滑大会は個人優勝を決めた畑田、連覇は泡と消えた。
 ピットに戻ってきた畑田からその無念はあまり伝わってこなかったのだが、着替えを終えるとペラ調整室にこもって、残された時間は短いながらもペラと最後まで向き合っていた。それは、今日の敗戦と向き合う作業でもあったことだろう。明日しっかり結果を残せば特別選抜B戦の出場が濃厚なポジション。常滑では手にできなかった団体優勝に貢献する場は残されている。
●男子勝負駆け③トップ争い直接対決

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 12Rの吉川貴仁と上田龍星は、速報にもあったように、男子トップ通過をめぐる勝負駆けを直接対決で争うことになった。上位着で先着したほうがトップという一騎打ちは、1周目バックで2番手並走という真っ向勝負となっている。
 バックは吉川が内で有利なポジション、2周目ホームも吉川がやや先行したが、2周1マークは先マイに出た上田が逆転。レース前の時点でトップだった上田が死守したかたちとなった。この接戦ばかりは、完全に個人戦のガチンコ勝負。高木圭大が6着だったので、どちらが先着しても団体ポイントは獲得できなかったわけだが、団体戦の雰囲気はあまり見えないバトルだった(4着なら予選突破、それを把握していたか、5番手から3周2マークで逆転を狙って4番手の原加央理にアタックした寺田もそうだったが→先述した愚痴とは別に、原に謝ってもいました)。

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 同期の宮之原輝紀と並んで会話を交わしながら控室へと戻る途上、吉川が一瞬だけ「そうか……」と言いながら悔し気に目を細める場面があった。やはり予選トップが欲しかったわけで、淡々と振る舞いながらも胸の内に悔恨が渦巻いていたわけだ。いったんは先行していたのだからなおさらだ。ミスター紅白戦が味わった少しばかりの蹉跌。これがさらに吉川にパワーを与えると思うのだがどうか。
(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)