10Ｒと11Ｒは似た展開になった。３コースがまくり、１コースが受け止めてこらえる。逆に言えば、３コースがまくりで１コースでインを脅かしたレース。豪快に握ったのは、10Ｒは清埜翔子、11Ｒは高憧四季だ。実に惜しいレースだった。
敗れたとはいえ、いい攻めができたという実感があるのだろうか。清埜も高憧も、レース後はサバサバした表情であった。笑みも見えていた。あと一歩、足なのか、スタートなのか、握るタイミングなのか、何かが噛み合えばまくり切っていたかもしれないレース。悔しさももちろんあるはずだが、単に不甲斐なく負けたのではないという手応えはあっていいレースでもあった。清埜は、インで張り気味に粘った今井裕梨とスッキリとレースを振り返り、高憧は出迎えた原田佑実の笑顔にやはり笑顔で応える。うーん、ナイスファイト！ 明日からはあと一歩を煮詰めるべく、調整にも精が出るだろう。
11Ｒのイン大瀧明日香は、２マークでキャビって後退という悔しいレースになってしまっている。失速した間に抜いていった倉持莉々が挨拶に来たときには笑顔も見えてはいたが、心からの笑みとはいかないところ。高憧のまくりを受け止めている間に、倉持、若狭奈美子が差し込んできていたから、それを握って交わそうとしてキャビ、という感じだっただけに、忸怩たるものがもろもろ残るイン戦となってしまった。大瀧もまた、明日からこの躓きを取り返すべく、調整を煮詰めていくことになるはずだ。
倉持はさすがにいい笑顔でしたね。大瀧に対しては、敵失で勝利を掴んだという面もあっただけに、ちょっと恐縮する様子も見えてはいたが、大瀧に笑みを返されると次第に顔はほころんでいった。今日は２着１着の好発進。先々の展望が明るくなったということもあり、気分上々といった雰囲気だ。
2着1着といえば、清水愛海も初の“大舞台”で好発進。８Ｒでは２コースから歴代レディチャン覇者の滝川真由子を差し切っている。ただ、そこは新兵中の新兵。好成績に浸っているわけにはいかない。その後もとにかくピットを走り回っていて、しっかりと若手らしい仕事をこなしているのだった。先輩たちもみんなこうして強くなった。明日からはトップ12もやって来て、ますます大舞台感は強くなってくるだろう。その空気のなかで新兵仕事に駆け回り、そしてしっかり自分の戦いにも臨む。今節はきっといい経験になるはずだ。
水面を走り回っていたのは、上田紗奈と西岡成美。若手が遅くまで試運転を続けるというのは、このシリーズだったり、レディースオールスターだったりの風物詩ではある。上田は１回乗りで６着。西岡は２回乗りで５着４着。初日は悔しさばかりの着順だっただけに、水面に出ずにはいられないといったところだろう。
この二人もまた、清水同様にとにかく元気いっぱいに新兵としての仕事に励んでいる。たとえば後ろから誰かが駆けてくる気配がして振り向くと、上田か西岡か清水だった。あるいは視界に右から左に駆けていく姿が入って確認すると、上田か西岡か清水だった。そういうケースが今日はそれぞれ複数回あった。３人とも頑張れ！ とエールを送ったところで、さらに上田と西岡には明日の巻き返しに期待しよう。上田は地元、西岡は好モーター。発奮する材料はふたりともある。あ、明日は１Ｒで直接対決じゃないか。上田は１号艇、西岡は４号艇。ワンツー決めたら最高ですね。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 ＴＥＸＴ／黒須田）
