BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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QCシリーズ戦TOPICS 初日

アミ・シキ

 今節の最若手23歳コンビ=清水愛海&高憧四季が、初日から非凡な才能を魅せつけた。清水は口開け1Rの6号艇6コースから、あっという間の2着GET! 1マークの旋回も素晴らしかったが、圧巻は1周2マーク。前を走る諸先輩のど真ん中に舳先を突っ込んでの悶絶ターン~ガッチリとサイドを掛けて前へ突き進んで2番手を取りきってしまった。ファイティングスピリット溢れる初動も天晴れだし、複数の引き波を超えてもブレない体幹の強さ、混戦の中でまったく怯まない重心移動にも見蕩れてしまった。

 返す刀で後半8Rは、2コースから切れ味鋭いスピード差しで圧勝! 第29代女王・滝川真由子と真っ向勝負で差し抜いたハンドルワークも見事なら、ここでも目を奪われたのは1周2マークだ。外の滝川をブロックしつつ、内から足を伸ばした富樫麗加にターゲットチェンジ。少し内に寄るのが早いようにも感じたのだが、麗加嬢に強ツケマイを浴びせながら力強く前進してひとり旅に持ち込んでいた。
 おそらく相棒の65号機もシリーズでは上位パワーだと思われるが、それにしてものターンスピード! さすが127期の首席(リーグ勝率7・12)にして養成所チャンプ、素質の高さを目の当たりにした2着・1着だった。明日の愛海(あみ)は【6R3号艇】。ここもセンターから自力勝負で1着⇒予選の暫定トップなんてことになっても、もはや誰も驚かないだろう。

 もうひとりの23歳、カミカミながら選手宣誓の大役を果たした高憧四季も、しっかり水面で存在感をアピールした。まずは2R1号艇で、今節イン逃げ一番乗り。これはまあ幸先のいい1勝として、惜しかったのは後半11R。3コースのスリット同体から、例によって1ミリの迷いもない全速の握りマイ!
  巧く表現できないのだが、四季のまくり軌道は他の選手とかなり違っていて「そんなん届かんやろ」という初動から気づいてみたら内艇を呑み込んでいることが多い。風変わりな初動とターン軌道……単にターンスピードが速い、とはちょっと違うんだよなぁ。
 今日もそんな感じでイン大瀧明日香を呑み込みかけたが、いつもに比べてもうひと押しのパワーが足りない。おそらく明日香51号機のレース足も強力で、その部分の差でバック直線は逆に伸び返されてしまった。残念ながら、現状の四季82号機はあって中堅、おそらく下位グループに属するだろう。それでも、この子のスリット攻撃はいつだって軽視は禁物なのだ。

『穴・極撰』でもちょいと紹介したが、四季は押しも押されぬ「まくり怪獣」だ。今年のまくり17発も素晴らしいし、2~6コースまでどのコースでもどんなスリット隊形でも全速で握り倒す習性を持っている。
 最近、惚れ惚れその雄姿を眺めたのが11月19日・戸田ヴィーナスシリーズだ。四季は3号艇3コースだったが、内のスリット隊形は【①コンマ08~②コンマ11~③15】。お世辞にも有利と言えない半艇身遅れから、不思議な初動・旋回であっという間にまくりきっていた。さらにその翌日も、5コース一撃まくり(インの富樫麗加がコンマ08⇔四季はコンマ21ってあなた!)~2コースジカまくりでまくり3連発!!! すべてインよりスタートが凹んだ隊形からの3連発に、私は目を細めながら「なんだろ、この子は」と空恐ろしいものも感じたりしていた。
 11R5着で成績を落とした四季の明日は【1R6号艇・7R4号艇】。前半は愛海が2着を取りきった舞台でどこまで暴れるか。後半は4カドからあの不思議な旋回軌道で勝ちきってしまうのか。そのためにはパワーの上積みが必要ではあるが、とにもかくにも若きまくり怪獣の進軍を見守るとしよう。(photos/シギー中尾、text/畠山)