BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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若者の気合あり、痛恨ありの2日目前半ピットから

「気合しかないです!」
「うん、大丈夫、大丈夫!」
 そんな会話を交わしていたのは、門田栞と大豆生田蒼。もちろん前者が門田、後者が大豆生田だ。8R、大豆生田が1号艇、門田が2号艇。内枠で並ぶ二人が、レースについて話し合っていたのだと思われるが、なにしろ門田はこれがデビュー以来3度目の2号艇。過去2度のうち1回は3着に入っているのだが、まだまだスローからのレースは不安も少なくないに違いない。しかも団体戦の大事なレースなのだから、なおさらだ。それを大豆生田が励まし、門田は気合で乗り切ると表明したということか。デビュー2年目の門田にとって今はすべてが勉強! こうして先輩の力も借りつつ、一歩ずつキャリアアップしていけばいいのだと思う。

 同じころ、装着場のど真ん中で西岡成美と井上遥妃が話し込んでいた。井上は今節、女子の最若手。そして、ふたりとも地元徳島支部だ。その直前には試運転をしていたようなので、足の仕上がりについての情報交換だと思われるが、井上にとっては心強い先輩の言葉がすべて学びになっているはずだ。今節は一般戦とはいえ、独特の企画レースであり、また業界的にもイチ推しの注目度が高いレース。こうした場で、先輩の声も吸収しながら戦うのは、きっと今後につながるはずだ。7R4号艇、ルーキーズに一矢報いることができるのか、注目しよう。

 さて、5R。西村美智子が痛恨のフライングだ。レースが行なわれている最中にピットに戻ってきた西村は、出迎えたレディース勢に「すみませんでした」と頭を下げている。そう、このレースは新田芳美が逃げ切り、西橋奈未が差して追走しているが、ポイントはルーキーズに与えられる。いちばん痛いのは西村自身ではあるが、その痛さはレディース全員にも波及してしまうのが団体戦。詫びの言葉にはその意味も込められていただろう。

 装着場のモニターでは、宮脇遼太らルーキーが何人かレースを観戦していたが、さすがにポイントゲットの喜びをあらわしてはいなかった。淡々とレースを見つめ、3周目に差し掛かった頃に静かにボートリフトへと向かった。相手のミス、しかも決して他人事ではないフライングがあっての勝利に、選手たちの思いはやはり複雑となろう。これが後々の戦況に効いてきたとしても、ここで素直に喜ぶようなボートレーサーたちではない、ということだ。

 それはこのレースを走ったルーキーズ3人も同様。最先着した谷口知優ももちろん、粛々とエンジン吊りを進めるのみだった。ポイント獲得という以上に、彼らはレースで敗れてしまった3人でもある。まずはその悔しさが大きいだろうし、1点獲ったと喜んで帰ってくるわけがないのである。

 6Rもレディースのワンツー。細川裕子が関野文のツケマイを受け止めて逃げ切り。関野が追走した。関野のツケマイはかなりいいタイミングで放たれたように見えたのだが、細川の立ち回りもさすがである。

 4カドの島川海輝は、スリット後の雰囲気は悪くはなかったが、差しに回らざるをえず、3着まで。スピードターンで追い上げんとはしたものの、届かなかった。ポイントもレディースに持っていかれ、ドリーム大敗の巻き返しも不発ということで、レース後の島川はやや落胆した表情。まだまだ2日目、勝負はこれから! 思わぬ大差がついている団体戦序盤だが、ここからどこまで巻き返せるかに注目して以降!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)